LINEでしょ、やっぱり

タブレットやスマホと言えばLINEなんでしょ、やっぱり。ほとんど死に物狂いでがんばらないといけないかと思いきやそうでもなかったLINE格闘記です。

苦手なことはさっさと誰かに任せて

心得2 何がわからないかが確実になるまでは他人に質問してはいけない」を守りつつ、とにかくiPadのホームみたいなところにアイコン?みたいなものが並んでいないとどうにもならないことがわかったので、「LINE」を設定してもらいました。LINEの中には自分と「おともだち」に、AさんとBさん、「テスト用グループ」に自分とAさんとCさんという状態をつくってもらいました。

学生さんの逆みたいな時間割で

まずはAさん相手に試してみました。だけど、入力がきついわけです。VoiceOverでスクリーンキーボードを操作するのはとっても大変でした。「だっかっら『音声入力』すりゃいいじゃん」と言うAさんとそこそこの言い合いをしまして、このことは話せば長くなるので回を改めてたっぷりお届けしますが、「音声入力」と「音声メッセージ」の違いがまだちゃんとわからなかった私はいろいろやってみたもののすっかり疲弊してしまいました。

心得1 つらくても1日1時間はiPadに触れる」は守っていましたが、夢中になると2時間を超えてしまい、3日間ほど激しい頭痛に見舞われました。しばらくは「10分操作+50分休憩」という学生さんの逆みたいな時間割を設けてやっと頭痛が軽減していくという日々なのでした。

ぐっとくるグループ名にほだされて

そんな50分の休憩中に、Bさんのある言葉を思い出したのです。「LINEのグループがあったらいいなあ」と。そういやあそんなこと言っていたな、ここに私とAさんとBさんのグループとやらをつくればいいんだろうなと思い始めたら、ぐっとくるグループ名を思いついてしまっていてもたってもいられなくなりました。グループ名さえ正しく入力できれば何とかなりそうだったのでやってみたところ、もともとあった「テスト用グループ」に並ぶ感じでそれっぽいものができたのです。

おだてられて木に登る私

多分できた、間違っていてもあとで修正してもらえばいいやと再び50分休憩に入ることに。そうしたら、AさんとBさんからコメントが入ってくるではありませんか。「ちゃんと名前もついてる!」「すばらしい!」と。普段は他人にほめられる前に自分でほめてしまうものだから、思いがけないタイミングで久しぶりに他人にほめられてすっかりいい気分になりました。頭痛も吹き飛ぶというものです。

「○○ちゃんと△△くんが『VoiceOver』難しいって」

しばらくすると、Bさんから「○○ちゃんと△△くんが『VoiceOver』難しいって」というコメントが入りました。一瞬、なんのこと?と思ったのですが、すぐにBさんの界隈でVoiceOverを体験しているのだろうということに気づきました。おそらく、見えない私がLINEのグループ作成に成功したことをネタにわいわいとやっているのだろうと。これまた思いがけないことで、急にふわ~っと熱いものがこみ上げてきました。どうしてしまったのだろう私という恥ずかしい思いとの狭間でいろいろなことを思いました。

一時でも関心を持ってもらえたこと

多分ですが、Bさん界隈ではiPhoneが使用されていたのでしょう。Bさんが「あなたのそれもしゃべるよ」とVoiceOverを設定してみたに違いありません。これまでの私の環境ではこういうことができませんでした。音声ブラウザ使用の様子を伝えるためには、実演したり動画を見せたりしていたわけです。それが、体験したい人が自分の持ち物ですぐに体験できる環境が普通にあるのだということに気がつきました。何とも新鮮な感覚です。

私とは直接関わりのないBさん界隈の人々が、会ったこともない私の立場を想像して「音声でLINEってどうやるんだろう?」と一時でも関心を持ってくれたことと、それを叶えてくれる機器の存在に深く感謝するできごとでした。俄然やる気になった私。LINE談義はまだまだ続きます。乞うご期待!

逆デジタルデトックスへの挑戦

※先に「デジタルデトックスをしてみた理由」を読むことをおすすめします。

その日のうちにたちまち困って

デジタルデトックスを開始したその日から、逆デジタルデトックスに挑戦するという何だかわからない展開ですが、そっぽ向かずに読んでみてほしい。デジタルデトックスその後のお話です。

身内8名にデジタルデトックス宣言をしてデトックス開始はしたのですが、その日のうちに困りはしました。どうしても通信をしたい、情報を得たい人が8名の中に一人いたわけです。その人に通信断絶の報告とともにつらつらと愚痴をこぼしていたところ、そうだそうだ、ずっと苦手で避けていたタブレット系機器があったなあということを思い出したのです。iPadを習得せずに愚痴をこぼしてよかったのだろうか、機械に使われるのではなくてスマートに使いこなす私になれば、この人と安心な通信環境が得られるのではないかと思い直し始めました。

1日1時間だけがんばろう!

この機会に私は億劫だったiPad習得を目指すことにしました。さっき引き出しに封印したばかりのiPadをさっそく取り出すことに。まったくデトックスじゃないではないかと言うなかれ。私にしてみれば逆デトックスで、それはそれでつらいのだから。習得に向けて以下の3か条の心得を設定しました。

  1. つらくても1日1時間はiPadに触れる
  2. 何がわからないかが確実になるまでは他人に質問してはいけない
  3. 疑問はひとつづつ解決していく

とりあえず2本指で上にスワイプだな

とにかくジェスチャーがよくわからない、実は今も用語がよくわからないままなのですが、とりあえず「設定」→「アクセシビリティ」→「VoiceOver」と選択していって、VoiceOverのページを熟読しました。何から始めていいかわからなかったけれど、パソコンの音声ブラウザによる閲覧で慣れているページをじっくり読んでみることにしました。いつもYahoo!JAPANのトップページは見ていたのでVoiceOverで聴いてみることにしました。

とにかく「2本指で上にスワイプ」です。それ以上画面に触れずにひたすら聴きます。パソコンでの閲覧時と同様の内容が聞こえてきたので一安心し、このページで操作を練習することに決めました。

これまでの失敗その1 スワイプがへたくそ

触っているうちにこれまでの失敗の原因がわかってきました。まずは操作というかジェスチャーが異常に下手だったらしいということです。「1本指で右にスワイプ」がとにかくへたくそなのです。しかし、自分は正しくやっているつもりなのでへたくそであることに気づかなかったのです。パソコンではちゃんと読むのにiPadになるとどうして同じことばかり言うんだろうと思っていました。何のことはない、私が「1本指で右にスワイプ」しているつもりだった操作は「タップ」だっただけのこと。自分が思うよりももうちょっと長く、もうちょっと強く画面に触れるといい塩梅のようです。

これまでの失敗その2 もともと作りの悪いページばかり見ていた

もうこれは運が悪いとしか言いようがないのですが、「エキスパートになってはいけない私」当時、閲覧しようとしたページの作りがことごとくよくなかったということです。パソコンの音声ブラウザで不具合があるページをiPadではどうだろうと検証したので、そうなることは当たり前と言えば当たり前なのですが、今となっては自分の根気のなさを呪います。もっといろいろなページを閲覧してみるべきでした。

ささやかな欲みたいなものが

6年くらい前のiPod時代に始まり、昨年春のiPad mini購入時(「エキスパートになってはいけない私」参照)と、タブレット系機器に挫折に挫折を重ねている私ですから、気合に気合を入れて、デジタルデトックスなどという大きな大きな環境を味方にでもしないともう一度iPadにとはならなかったと思うのです。大変に個人的な小さな小さなささやかな欲みたいなものが、どういうわけか再びiPadに向かわせてくれたようです。まだまだ続きます。3話目も乞うご期待!

デジタルデトックスをしてみた理由

2019年12月初旬から年始にかけて、約1か月の間、パソコンのコンセントを抜き、ガラケーの使用をやめてみました。偶然とも意図的ともとれる取り組みのご報告の第1話です。

家電が次々と壊れる問題

買いそろえる時期が同じだから買い替えの時期も同じになりがちとは耳にしていましたが、2019年は実にいろいろな機械が壊れました。買い替えにトラブルが生じたり、新しい機械に慣れることに苦労したりと散々な一年でした。特に、私個人の生活や商売を支えるコンピュータ周辺機器の不具合には泣かされました。

2019年不具合の連鎖

6月に読書用アプリケーションソフトが動かなくなりました。これはPCの買い替えで解決しました。(「見えない人は新しいマシンで」参照)しかし、これが縁で買い替えたスクリーンリーダーと音声ブラウザが買い替えた途端に新製品になり、またまた買い替えることになりました。(「音声ブラウザに苦しめられて」参照)そして、この買い替えが縁で、もともと壊れかけていたポータブルの読書機もついでに買い替えようということになりました。このポータブル読書機の具合が悪くて、ある日プチっと音声が切れたきり、うんともすんとも言わなくなってしまったのです。これが12月初旬のことです。

プチッと切れたらプツッと切れて

そうでなくても家電の不具合に振り回されていたためか、読書機の停止とともに私自身もプツッと切れてしまいました。電化製品に振り回されている自分も電化製品がなければ成り立たない暮らしもみ~んな嫌になってしまったのです。パソコンもガラケーもiPadもキーボードもイヤホンもネックスピーカも読書機もそれにくっついているさまざまなコードたちもすべて小さな引き出しに詰め込んで封印しました。すべて詰め込んでも小さな引き出しの半分にしかならなくて、こんな小さなものたちに苦しめられているかと思うと笑えてきました。

誰にも引き止められない私

とりあえず、会社にしばらくの廃業宣言をし、ガラケーに登録してあるわずかな人々に電話もメールも通じないことを連絡して電源を切りました。この時代に、しかもインターネットを生業にしている私がデジタルデトックスをしてどうなるのだろうと急にわくわくしてきました。途端に発見したことというか自覚してしまったことは、商売上のやりとりは会社に任せるとしても、私個人のやりとりは最大で見積もっても8名だったということです。この8名に「電話もメールもしばらくやめます」と宣言すればそれだけで、しかも誰からも「困る!」というようなことをまったく言われないままにデジタルデトックスが完了してしまったということです。

この悲しき事実ををどう落とそうか

先は長くなりますので、今回のコラムはここで締めたいのですが、この悲しき事実を一体どう落とせばよいのでしょうか。一つ利点があるとすれば、今月末で失明20周年を迎える私には携帯のアドレスにたったの8名しかいないことからわかりますように、ごく少数の人間関係の中で生きています。失明を機になんとなくそうなってしまっただけなのですが、いわゆる盲教育を受けていないことや視覚障害者のコミュニティに属していないことは、純粋な視覚障害者と言いますか、稀有な属性のようで、ときどき研究などに重宝されます。私自身の商売もこの属性を売りにしているところがあるわけですが、そういうことですので、純粋視覚障害者の能力が必要なときはいつでもお声掛けください。そして第2話も乞うご期待!