熊本市

「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」の表示形式を部分的に取り入れて特設サイトが仕立てられている。大きなボタンを設け、余裕のある画面構成としているが、ボタンの見た目と実際にクリック可能な領域が一致していないところにストレスを感じる。

福岡市

「支援したい方向け」を分類として設けていたり、「使い捨てマスクがない場合」「消毒用アルコールがない場合の消毒・除菌」など、ほかではあまり見かけない情報を提供している。各ページには3段階の見出しレベルを用いて文書を構造化しているが、いずれの見出しも文字サイズや左右幅(インデント)に違いがないために視覚的な区別がしにくい。

北九州市

「新型コロナウイルス」の階層ではなく「感染症」がローカルナビゲーションとして展開されている。そのため、新型コロナウィルス感染症に関する情報群の行き来が円滑に行われない。CMSの仕様と言えばそれまでかも知れないが、一つ下の階層(表示されているページと同じ階層)を表示するよう改めることが望ましい。

広島市

ローカルナビゲーションに並んでいる各分野の項目数は5が上限のようである。そのため、6以上の項目を有する分野については、すべてが表示されていない。現状、各分野の項目数は最大でも8に収まっており、上限項目数や分類の仕方を見直すことで、全項目が列記されたナビゲーションを実現できると思われる。無駄な遷移を減らすために調整する価値があると考える。

岡山市

調査期間中に新たなサイト「スイッチ!おかやま」が公開された。感染症そのものよりも「新しい生活様式」への対応・取組にフォーカスが当てられている。今回の調査対象の中で、岡山市と岡山県だけが独自ドメインによる新型コロナウイルス感染症関連サイトを公開しているが偶然なのだろうか。

神戸市

神戸市公式サイトを踏襲しながらも、グローバルナビゲーションなどを除いた形で特設サイトとして仕立てられている。感染症そのもの、発生状況、支援、会議資料など明確な分類が示され、テキストを中心としたシンプルな画面構成を採用している。

堺市

「新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた対応(8月21日から8月31日まで)」というタイトルのコンテンツがあるが、この更新日は「2020年5月29日」と示されている。このコンテンツは、イベントや施設に関するルールを記したものであり、5月時点で8月下旬を記しているのは不自然に感じられる。正しい情報更新日を記載してほしい。

大阪市

「支援」の情報に特化した特設サイトが公開されている。「個人」と「事業者」、それぞれへの支援内容が整理され、様々な方法で検索できるようになっている。感染症そのものや、感染症拡大防止に向けた取り組みは別コンテンツとなっていて、お互いへの動線はないものの、目的を重視した一つの完成形と言えるのではないだろうか。

京都市

京都市のページであるが、最上部には京都「府」が提供するコンテンツへのリンクが掲載されている。府と市、それぞれが担うべき情報は異なっているとは言え、京都市のページを訪れた利用者に対しては、市として伝えるべき情報をきちんと提示する必要があると感じる。

名古屋市

「新型コロナウイルスに関連する肺炎について」と称されているが、国、厚生労働省、日本感染症学会でも「新型コロナウイルス感染症」の呼称を統一的に用いているため、明確な意図がないのであればそれに倣うべきではないだろうか。別途開設されている特設サイト「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策特設サイト」は、ページ内の目次はクリッカブルではなく、掲載される情報の多くは紙での提供を前提としたものが画像化されただけ、かつ、鮮明な画像へのリンクは用意されていない。画面構成としてはスマートフォンを優先しているように思われるが、一部の機能は「PC推奨」など、用途や利用シーンがイメージしにくいものとなっている。

浜松市

アクセスする上での実害はないと思われるが、アドレスが「corona」ではなく「korona」なのが気になる。市長記者会見を見る際、動画とテキストの動線がバラバラで両者をスムースにつなぐことができていない。動画一覧ページやYoutubeからはテキストへ、記者会見ページからは当該動画へ、それぞれ誘導することが望ましい。

静岡市

市長記者会見動画は、細かなズームイン・ズームアウトが繰り返され、画面が安定しないため、内容への集中が阻害されてしまう。市長と手話通訳者、スクリーンとの距離の調整や、画面の分割など、動画配信をする前提で画面構成を考えてもいいのではないだろうか。

新潟市

4月の市長メッセージ動画では手話通訳を伴っていないが、5月の動画では手話通訳が付加されていて、聴覚障害者に対する情報保障の面で向上が見られる。その一方で、ページに備わる主たるメニュー画像の代替テキストが空(alt=””)に設定されていることは、視覚障害者(音声ブラウザ利用者)への配慮に欠け、許されるものではない。

相模原市

一定時間ごとに画像が入れ替わる表示形態をとっている。利用者の意思で停止することはできるが、それぞれ7秒程度であること、リンク先で詳細を伝えられることを考慮すると、画像に情報を詰め込みすぎている。重要な情報を繰り返し伝えることは重要であるが、情報過多と感じられるようでは逆効果だと思う。

川崎市

最終更新日と思われる「2020年7月14日」が示されている。この日に、総合ページ自体の構成が最後に変わったと解釈すればいいのだと思うが、更新された箇所や更新頻度を予見できる情報が何も示されないので、新たな情報を効率的に得ることが難しい。これだけ状況が変わっている中、1ヶ月以上も構成を変えずに運用できるのはいいことなのか、悪いことなのか。

横浜市

相談内容や対象者の異なる複数の相談窓口が示されているが、画像上に記される受付時間や電話番号が代替テキストに反映されていない。各窓口の詳細は別ページに記されているものの、画像の使用可否によって閲覧しなければならないページ数に差が生じる状況になっている。少なくとも「注意が必要な ステージ2」にあることは伝えられるべきである。

千葉市

「病床数から見た新型コロナ対応における市内の医療の状況」と題した画像の代替テキストが「iryo_jokyo_0818_01」。基準と状況の両方を伝えている画像であるため、すべてを伝えることは難しい部分はあるが、少なくとも「注意が必要な ステージ2」にあることは伝えられるべきである。

さいたま市

「特別定額給付金を給付します」という記事がある。この記事は、新着情報として掲載されているため、最近になって自治体独自の新たな給付が決まったように読み取れる。ところが実際は、既存施策についての状況報告がなされているに過ぎず、紛らわしい表現と言える。

仙台市

『伊達武将隊×仙台市長「せんだい生活スタイル」』として公開される動画には、書き起こしテキストがなく自動生成の字幕が付与されている。音声が明瞭であっても固有名詞まで正しく認識されることはないことには留意すべきだろう。仙台市長の名は「ポーリがず子」、「せんだい生活スタイル」は「閃雷生活スタイル」と字幕に現れる。どこまでの正確性を求めるべきなのか確認・検証されたい。

札幌市

一般相談窓口だけでなく、身体の状況に応じた別の窓口も合わせて、きちんとテキストで情報を掲載し、さらに、目的や相談内容ごとの詳細な案内も別ページで提供している。ニーズや利用シーンに合わせた情報提供が意識されていると感じられる。

沖縄県

新型コロナウイルス感染症関連情報のトップは「広報課」直下に置かれている。集約した各コンテンツは、本来であれば「医療」や「公衆衛生」など、グローバルナビゲーション配下の各分野に置かれるべきであるが、組織に紐づいているコンテンツが多く正しく分類されていない印象を受ける。

鹿児島県

HTMLページ内では「,」を一貫して使用したり、漢字かな表記の揺れが抑えられていたりと、気遣いが感じられるが、PDF内では単語の途中のスペースが多数存在するなど、通常のページとPDFとで表記・表現の品質に大きな差を感じる。

宮崎県

2020年5月1日の初メッセージ動画ではなかった手話通訳が、次の動画(5月7日)以降つくようになった。一方、字幕や書き起こしテキストは2020年8月31日時点でも準備されていない。特設サイトながら、県公式サイトのアクセシビリティ方針の適用範囲にあることから、適切な対応が求められる。

大分県

県民・事業者支援メニューがPDFだけで提供されている。書式が定まっていたり、紙面での提供を前提としたものであるなら、まだ理解の余地はあるが、ここで提供されている情報はテキストが中心の表組ばかりであり、HTMLで提供できない理由はないように思われる。PDFでの提供自体が常に悪であるとは言えないが、適切な用法・表現でコンテンツが提供されることを望む。

熊本県

「新型コロナウイルス感染症に伴う主な支援一覧」のページは、音声ブラウザで得られる情報が皆無。画像には、助成金・給付金等について対象者・目的・支援内容が記されているが、代替テキストには「ばな1」「ばな2」などとそこに何が記されているのかが理解できない文字列が設定されている。

長崎県

「メニュー」には67ものリンクが並列に収まっているが、階層や包含関係を無視して、無秩序に羅列されている。一方、上位階層であるはずの「感染症」には60のリンクがあり、67とは一致しない。「メニュー」がどこから抽出された項目なのかわからず全容がつかめない。

佐賀県

ホームの一部を「新型コロナウイルス感染症に関する最新情報」に置き換えて、関連情報を提供しているが、その部分の最初のリンクが「記者レク等(新規感染)」という意味が伝わりづらい表現になっている。(視覚的に)大きなボタンであればわかりやすいということではないので、適切な語句を選択してほしい。佐賀県として「記者レク」を一般的と考えているのだとすればそれは誤りと認識すべきだろう。

福岡県

現在と状況が異なる情報について「アーカイブ」として後ろに下げることで情報を絞る工夫が見られる。その一方で、状況に変化があった画像は、該当部分に「×」印をつけて、それを表現している。画像が変化しても代替テキストが変わらないため、状況の変化・要請内容の変化に気づくことができない。

高知県

「他県の方々へ」とされる情報が「発 熱 な ど 新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス が 疑 わ れ る 症 状 が あ る 場 合 、 来 県 はお控えくださいますようお願いします。 他県の皆様へのお願い 高知県」と記されたPDFファイルが1つのみ。単独のリンクボタンを設けるような内容ではないし、まして、PDFで提供すべき理由は皆無と言っていい。

愛媛県

ページ内リンクの掲載順と、実際のコンテンツの配置が揃っていないため、閲覧済みかそうでないのかがわからなくなってしまう。そのリンクテキストとリンク先の見出しの表現が異なっているため、正しくリンク先にジャンプしたのかも信じることができない。

香川県

下線のあるリンクテキストが通常のテキストと同色のため、テキストに強調のための下線があると、両者が全く同じ見た目になってしまい、区別がつかない。リンクテキストの設定方法にも違和感を覚える。「こちら」だけをリンクとする箇所もあれば、同じページにある別のリンクは100文字を超える文全体にリンクを設定していて、一貫性が感じられない。

徳島県

各陽性者に関する詳細情報を得る際のページの作りが不親切。表中で詳細情報が掲載されている資料名(資料1-1、資料3-2 など)を覚え、表の下にあるたくさんのPDFから資料名だけをたよりにリンクを特定する必要がある。表中の資料名にリンクを設定すれば、解決すると思うのだが、なぜこうなっているのだろうか。

山口県

画像で提供される情報に対する代替テキストの不足が否めない。一方「視覚に障害のある方の相談窓口について」として、テキスト情報はツイッター公式アカウントで随時発信しているとのアナウンスもある。現状、両者には情報の詳細度に違いがみられるため、部分的な代替にすぎない状況ではあるが、注目したい取り組みの一つと言える。

広島県

累計感染者数、前日比、(県独自の)感染状況レベルなどが、視覚表現を伴ったテキストでわかりやすく示されている。配慮のされていない文字画像やグラフを多く見てきたこともありたいへん好感を持った。分類の数・粒度、掲載順にも意図が感じられ、情報を整理して発信しようという姿勢が見える。

岡山県

都道府県で唯一、独自ドメインによる特設サイトを開設している。情報の見せ方や色彩がキャンペーンサイトのようで違和感を覚えるが、必要な情報をわかりやすく伝えるための方策と理解すべきか。実際には、ほとんどの個別記事は県の公式サイト内に存在しており、特設サイトは入口や分類としてしか機能していない。

島根県

ページタイトルに、注記やすべての階層の名称を含んでいるため、70文字を超える長いタイトルとなっている。「ポータルサイト」を謳っているものの、いつ、どの情報が更新されたのかを列記していないため、全体の状況を俯瞰するのには向いていないように感じられる。記者会見動画ページから、各動画ではなく「しまねっこCH」(動画チャンネル)にリンクしているため使い勝手が悪い。

鳥取県

鳥取県のウェブサイトがつながりにくくなった場合に備えて、Yahoo!JAPANと岡山県、それぞれとの協定に基づいた代替サイトが開設されている。どんな時でも情報提供を継続させる取り組みの一つとして評価できる。凝縮されたリンクテキスト、不意に現れるリンクによって開閉するエリア、意図のわからない余白など、整理整頓すべき箇所が散見される。

和歌山県

時系列で積み上げるのではなく、対象や目的、現在と過去を意識したうえで、きちんとウェブページ化していることに好感を抱く。一部、読み上げ順序が考慮されていない表組が使われているため「個人の方への情報」「県内事業者の方への情報」「対応状況等」とそれぞれのリンクリストとの関係性が伝わりづらくなっているのがもったいない。

奈良県

「緊急版の専用トップページ」として新型コロナウイルス感染症対策のコンテンツが表示されている。ページ上に配置される表示枠の位置や大きさ、余白のとり方が一定でなく、不安定に感じる。文字画像のコントラストが低い部分も目立つので、視覚表現の品質をもう少し意識できるといいだろう。

兵庫県

暫定的に県のホームとしているページと、通常版ホーム内にある「新型コロナウイルス感染症に関する情報」の両者が同一でなく、どちらがより包括的な情報を扱っているのかが判断できない。

大阪府

内容としては「新型コロナウイルス感染症関連の特設サイト」であるが、「ホーム」として扱われているためタイトルが「大阪府(おおさかふ)ホームページ [Osaka Prefectural Government]」となっている。「外国人の皆様へ」というリンクが日本語表記しかないのは不親切な印象を受けるが、別の入口を経由したり、ページ全体を翻訳して使ったりすることなどを想定しているのだろうか。

京都府

分類それぞれに、京都府が提供している情報と、厚生労働省などが提供している情報が混在している。コンテンツの目的や対象者に合わせた並びであれば大きな問題ではないが、掲載順に意図は感じられず、整理されていないという印象を抱いてしまう。

滋賀県

「新型コロナウイルス感染症対策サイト」は公式コンテンツとして扱われているはずだが、滋賀県の本体サイトからのリンクが見つけられない。この調査で起点ページとして扱っているコンテンツは「滋賀県の状況トップページ」「新型コロナウイルス感染症に関する滋賀県の状況について」「滋賀県の状況トップページ」などとサイト内の呼称が統一されていないため戸惑いを覚える。

三重県

三重県公式サイトのデザインやレイアウトをベースにしているが、グローバルナビゲーションなどを取り去って特設サイトとして公開している。ページタイトルが「三重県」となっているが、ページ内の表記に合わせ「三重県新型コロナウイルス感染症特設サイト」と改めるべきだろう。

愛知県

感染症発生状況については、画像で示されていて適切な代替テキストが設定されていないため情報が得られない。多くの情報が「県民の皆様へ」「県の情報」の2つにしか分類されていないうえ、分類内で類似する情報を近接させるような配慮もなされていないため、目的の情報が探しづらい。

静岡県

ページには多くの画像が用いられているが、代替テキストが壊滅的。状況を説明していないばかりか「torikumireiryuuitenniconn」「iryoujyuujisyaiconn」などローマ字表記のため、例えシンプルな文字画像だとしても音声ブラウザでは意味の取得が困難な状況にある。

岐阜県

「岐阜県 新型コロナウイルス感染症対策サイト」で用いられている水色がとても淡い色(#70C7EA)のため、白(#FFFFFF)との組み合わせでは、コントラスト比が2.0:1を下回ってしまう。誰にとっても見やすい配色とは思えないので、より高いコントラストが確保できるよう配色の見直しを検討してほしい。

長野県

知事記者会見などの動画は、公開から2ヶ月以上経過しないと(書き起こし)テキストが公開されない状況にある。全く公開されないよりはまだましとも言えるが、より早期にテキスト情報が掲載されることが望ましい。リンクテキスト色には県章と同じ緑色(#18844F)が用いられている。JIS X 8341-3:2016で求められるコントラスト比は満たすものの、より高いコントラストが確保されるのがベター。

山梨県

「広報広聴グループ」のコンテンツとして扱われているため、ローカルナビゲーションに、動画制作の業者選定やコミュニティラジオに関する記事へのリンクが並ぶ。サイト構成上仕方のないことかも知れないが、専用カテゴリを設けるなど、関連情報だけを効率的に閲覧できるような工夫が望まれる

福井県

マスクをした女性のイラストの代替テキストが「マスク」。それ以外にも「○○バナー」や「○○アイコン」を代替テキストとする画像が多数配置されている。これを以ってアクセスできないという状況にはならないものの、代替テキスト設定のルールを見直してほしい。

石川県

「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」の派生サイトを、県の新型コロナウイルス感染症対策サイトとして位置付けているが、本体サイトにも個別の情報が掲載されている。ただ、パンくずリストが生成されておらず、所属カテゴリがわからないため、同カテゴリ内の関連情報を次々に見るという閲覧行動をとることができない。

富山県

ページ内のすべてのリンクテキストに下線がないため、リンク箇所の判別が難しい。そのうえ、複数のリンクを読点でつなぐかのような表現がなされていると、(リンクのない)普通の文章に見えてしまう。全く同じ文言のリンクテキストも多く、総じてリンクの認知・判別が困難な状態にある。

新潟県

各部署に点在する関連情報を集約し、新着情報やRSSを配信するなど丁寧な発信が行われているが、代替テキストが「基準」「推移」だけで、画像上に記された内容を一切反映していない画像が散見されるのはたいへん残念に感じる。

神奈川県

「神奈川県 新型コロナウイルス感染症対策サイト | 神奈川県 新型コロナウイルス感染症対策サイト」と不自然なタイトルが付けられている。サイトのURLが単なるお知らせ記事の一つのように見えるのは奇妙な感じを受ける。「知事メッセージ動画」のリンクをたどっても別の動画を含む一覧に遷移するなど細かなズレが生じている点は要改善。

東京都

オープンデータを用いた新型コロナウイルス感染症対策サイトの先駆け。公式・非公式の別はあれど、多くの他団体でこの派生サイトを作成・公開するに至っている。他言語や「やさしいにほんご」での情報提供が行われているものの、言葉が置き換わらない箇所が見られるなど改善を要する部分も散見される。

千葉県

感染者発生のたびに、疾病対策課から報道発表がなされているが、新型コロナウイルス感染症対策サイトでは、2020年7月25日を境に、それ以降の「お知らせ」が掲載されなくなっている。千葉県においてはこれを公式サイトと位置づけているため、正確な情報が発信されることを望む。

埼玉県

「新型コロナウイルス感染症総合サイト」はサイト構成上、ホーム直下に設けられているが、配下のページは公式サイト内に分散している。既存分類に「感染症対策」があるものの「新型コロナウイルス」という分類は設けられていないため、インフルエンザ等の感染症情報と混在した一覧ページが見えてしまうのは使い勝手がよくない。

群馬県

「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」の派生サイトを、県の新型コロナウイルス感染症対策サイトとして位置付けている。群馬県公式サイト内には別途「新型コロナウイルス感染症まとめページ」が設けられ、県の方針・施策などはこちらを起点に情報を得る構成となっている。画像の代替テキストが不適切で情報が伝わらない。

栃木県

各部署の新型コロナウイルス感染症関連情報を集約し、「医療・福祉・保健」「生活・税金」などの分野を設定して丁寧にまとめている。が、発生状況・検査状況等は、ほぼすべてがPDFによる情報提供にとどまっている。知事のメッセージ動画は記者会見の一部ではなく、そのために撮影されたもので画質・音質とも良好。

茨城県

ホームからのリンク先は「感染者の発生状況及び報道発表資料など新型コロナ情報まとめ/茨城県」であるが、実際にはもう一つ上の階層に「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」というインデックスページがあり、どちらを起点にすべきか迷う。グラフ、表組等が表現された画像の代替テキストが不十分なため得られる情報が極めて少ない。

福島県

新型コロナウイルス感染症の特設サイトが構築されている。専用のナビゲーションを備えており、情報が整理されている。知事メッセージの英訳、全都道府県の発生状況のまとめなども提供され「関連情報ポータル」の名にふさわしい情報集約がなされていると感じる。

山形県

ページ内リンクを多用した長大な1ページ構成となっている。PDFで提供される情報が多い。リンクテキストの表現に一貫性がなく、ファイル形式やファイルサイズの記載の有無が定まっていないため、慎重な判断・操作を強いられる。見出しや本文の書式もまちまちで構造の把握にストレスを覚える。

秋田県

コンテンツ内の分類を分野ではなく「A 県民の皆さまへ」「 B 事業者の皆さまへ」などとしているのが特徴的。県内症例の一覧はページ内の表組で確認できるが、個別の症例についてはPDFによる情報提供となっている。

宮城県

画像で提供される情報が多く、「10のポイント」「実践例」「健康相談窓口」などタイトルに該当する内容しか代替テキストに反映されていないため、情報が得られない。動画については「Youtubeの字幕設定で字幕を表示することができます」との案内があるが、自動生成される字幕が表示されるに過ぎず、十分な精度になっていない。

岩手県

検査数、陽性判明者数はページ内で確認できる。各陽性者に関する情報は1名につき1ページが用意され、行動歴等もまとめられている。東北6県の状況についても、他県コンテンツへのリンクを伴ってまとめられており、丁寧な運用がなされている印象を受ける。

青森県

ホームのバナーからは「青森県新型コロナウイルス感染症対策総合サイト」、ホーム右上からは「新型コロナウイルス感染症情報」と異なるページへ誘導される。さらに「新型コロナウイルス感染症について」(保健衛生課)にも多くの情報がある。それぞれ、だれがどんな用途で訪れるべきなのか判断が難しい。

北海道

ほとんどの情報がPDFで提供されているため、HTMLで確認できる情報が極めて少ない。画像内やセルの背景色など、色だけで区別されている情報があり、音声ブラウザ利用者が取得できる情報が制限されてしまう。

花王のWebアクセシビリティからの

ユニバーサルデザインと言えば真っ先に思い出す花王、Webサイトも気を遣ってくれています。花王のWebサイトに見る代替テキストの考え方を記します。

シャンプーボトルのきざみは花王さんのアイデアです

花王のユニバーサルデザインの取り組みと言えば、シャンプーボトルのきざみですよね。シャンプーとリンス(今はコンディショナーかな?)との区別のために、シャンプーボトルに最初にきざみをつけてくださったのは花王です。

これが国内標準になり、さらに国際規格になり、私は日本の誇りだなあと感じています。

突然ですがコロナウイルスの退治方法についてです

マスクと同様に手指の消毒液が不足して、ハンドソープでもコロナウイルスは退治できるという情報が聞こえてきました。早速厚生労働省のWebサイトでお勉強です。

手や指に付着しているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いだけで1/100に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。手洗いの後、さらに消毒液を使用する必要はありません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

ということでした。

なんだあ、消毒液が手に入らなくたって洗っておけばいいんじゃんと一安心。しばらくすると、ぼやぼやしていた私にも手指の消毒液を手にできる時期がやってきました。念のためにとりあえず購入です。

しかし、手洗いができれば手指の消毒液は必要ないということでしたので、買ってはみたものの気休めにしかなりません。これは手指にしか使えないのかしら?ドアノブや手で触れるところへの掃除に使うのはどうなんだろう。再び厚生労働省のWebサイトを読み直します。

手指の消毒液が掃除に有効ということは見当たりません。この商品のアルコール度数が高ければ使えるかもしれませんが、私にはわかりませんでした。モノのウイルス対策には塩素系漂白剤が有効なのだそうです。キッチンハイターとワイドハイターは常備していますので素直にこちらを使用することにしました。

ユニバーサルデザインのパイオニアなリーディングなカンパニー

やっと花王のWebサイトの登場です。さてさて、キッチンハイターとワイドハイターの使用方法をちゃんと知りましょう。商品ページが一番確かですからね。そこで見つけたのです。このような文言を。

※読上げソフトで聴く場合でも情報が不足しないように、画像部分の文字も本文に加えている場合があります。

https://www.kao.com/jp/haiter/hit_kitchen_00.html

と。

わざとらしいと言えばそうなのですが、ユニバーサルデザインのパイオニアなリーディングなカンパニーと思うとよい響きにしか聞こえません。

かぶろうが何だろうが全部書いておけばいいじゃん

私はアクセシビリティアナリストですので、文言がかぶることなく、見える人にも見えない人にも聞こえない人にも手先が不自由な人にも子供にもお年寄りにもみんなに使えるWebサイトを作ることができますが、そうでないなら全部書いておけばいいじゃんという考えを無視するつもりはありません。

なぜなら情報の不足が一番困るからです。

花王さんの場合、情報の不足なきよう「見える人にはうざいところあるかもしれないけれどごめんね」というメッセージなのでしょう。

かぶってももう怒りません

以前は画像の代替テキストと普通のテキストがかぶるだけでかなり怒っていたような気がします。自治体サイトなどで、大量のカテゴリがすべてそうなっているということが多かったので、聞いているだけで気が狂いそうだったのかもしれません。

だけど、画像に大切な情報がある場合、それが聞こえないよりはかぶってでも聞こえた方がいいに決まっています。

JIS X 8341-3:2016の試験やアクセシビリティ調査は別ですが、それ以外は寛容になろうと心に決めた花王のWebサイトとの出会いでした。