有限会社ユニバーサルワークスは、47都道府県・20政令指定都市の自治体公式サイトを対象に、「自治体サイトWebアクセシビリティ調査 2023」を実施しました。今年で21回目となる今回のテーマは「miCheckerなど3つのチェックツールを使ってみた」です。
世の中には、さまざまなウェブアクセシビリティチェックツールが存在します。ですが、チェックツールだけでウェブアクセシビリティ検証を完結させることはできません。デジタル庁が公開している「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」によれば「チェックツールで見つけられる問題は、ウェブアクセシビリティの問題の2割から3割程度」とされていますし、ウェブアクセシビリティ基盤委員会が公開する『Q&A:試験における「miChecker」の利用』によれば、「試験において、「miChecker」はどのように利用すれば良いですか?」の問いに対し、
機械的にチェックできる部分については試験に「miChecker」を利用できますが、人でなければ判断できない部分については、「miChecker」のチェックとは別途、試験を実施しなければなりません。
https://waic.jp/qa/exam-michecker/
との回答が示されています。
加えて、各ウェブアクセシビリティチェックツールは、検証可能なコンテンツや検証基準、検証結果の示し方が異なっています。このことからも、特定のツールのみの結果に基づいてアクセシビリティが確保されたと判断するのは望ましいことではありません。
そこで、今回の調査では、総務省が公開しているmiCheckerを含めた複数のチェックツールを用いて各自治体サイトをチェックしました。その結果に目視評価を加えることで、チェックツールごとの差異や、チェックツール全体として適正な評価を得にくい部分を明らかにしたいと考えたものです。
調査方法
47都道府県・20政令指定都市の公式サイトトップページを、axe DevTools、Lighthouse、miCheckerの3つのチェックツールによって評価し、合わせて評価者(視覚障害者および健常者)が閲覧し、以下に示す内容に沿ってまとめました。
調査期間
2023年8月18日~8月31日
調査機関
有限会社ユニバーサルワークス(静岡県三島市・代表取締役 清家順)
調査対象
都道府県及び政令指定都市の公式ウェブサイト
調査に用いたチェックツール
axe DevTools
名称・バージョン | axe DevTools(Pro) Ver4.62.0 – axe-core Ver.4.7.2 |
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使用した機能 | 「Scan ALL of my page」を用い、問題検出数(TOTAL ISSUES)を記録 |
詳細・入手先 | axe DevTools – Web Accessibility Testing |
Lighthouse
名称・バージョン | Lighthouse Ver11.0.0 |
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使用した機能 | 「Lighthouse Report Viewer」を用い、Accessibility のスコアを記録 |
詳細・入手先 | Lighthouse |
miChecker
名称・バージョン | miChecker Ver3.0.0 |
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使用した機能 | 「アクセシビリティ検証・音声ユーザビリティ視覚化」を実行し、概要レポートの4観点のスコアを記録 |
詳細・入手先 | みんなのアクセシビリティ評価ツール:miChecker (エムアイチェッカー)Ver.3.0 |
調査結果ページの記載事項
チェックツールによる検証結果
- axe DevTools 問題検出数 (最良値:0)
- Lighthouse スコア (最良値:100)
- miChecker 総合評価 (「悪い」「良い」「非常に良い」のいずれか)
- miChecker(知覚可能)スコア (最良値:100)
- miChecker(操作可能)スコア (最良値:100)
- miChecker(理解可能)スコア (最良値:100)
- miChecker(堅ろう(牢))スコア (最良値:100)
評価コメント
各団体の調査結果ページには、評価者(視覚障害者および健常者)が実際に、各コンテンツを閲覧し、チェックツールによる評価結果の考察、目視評価との乖離点、ウェブアクセシビリティ方針や試験結果への疑義や要望、今後の取り組みを進める中で優先してほしいことを「評価コメント」として記しています。
多くの自治体でウェブアクセシビリティに対する継続的かつ実践的な取り組みが進められていますが、この調査がウェブアクセシビリティへの更なる取り組みの推進に寄与できれば幸いです。