待ち人来たる!JRサイトのアクセシビリティ(後編)

前のコラムを先にお読みください。

見えなくても走行位置がわかりました!

今回、私は3時間ほど様子を見ていました。東海道・山陽新幹線が、広いエリアで2時間以上運転見合わせになったケースでしたが、幸いなことに運転が再開されました。待ち人は、本日中に最寄り駅に到着できそうです。ならばその様子も追ってみようという気になります。

いつもはわからないだろうと決めてかかっていた「列車走行位置」にアクセスしてみました。いくつもの列車、しかも動くものがオンタイムで表示されているようです。私には、音声で理解することなど想像ができませんでした。
でも、わかったのです。

待ち人から、乗車した列車番号が知らされました。「列車走行位置」からその列車番号を探してみます。

いたいた!

「走行位置」のページからは、停車しているのか走行中であるのかが正確にはわかりませんでしたが、前後の駅名からおおよその位置をとらえることができました。

しかし、時々刻々と列車は動きます。
こちらは、列車が近づいてくることを期待してリロードをしまくります。そのたびに、目的の列車を探しなおすことを幾度繰り返したことでしょう。「列車走行位置」の駅名に見出しなどの文書構造をもたせてもらえると、より探しやすくなると思います。

「列車走行位置」からわかること

今回は目的の列車がありましたので、その列車個別のページで情報を収拾すれば済むことでした。そういう意味では、「列車走行位置」のページを眺め続ける必要はありませんでした。

でも、「列車走行位置」のページで、私は想像よりも多くの新幹線が同時に走行しているということを知りました。ならば待ち人よ、もっと早く着く列車に乗ることは可能ではなかったのか。そんな思いから、目的の列車の前を走行している列車の様子を見てみることにしました。

ちなみに、「列車走行位置」のページでは、それぞれの列車が予定よりどれくらい遅れて走行しているかということが分単位で表示されていました。
これも音声で理解することができました。

新幹線はどっちを向いてる?

「列車走行位置」を見ていると、のぞみがものすごい勢いで追い上げてきていることや、私の目的とする列車よりも遅れが少ない列車がありそうなことがわかります。やけに遅れが少ない列車があったのでその列車の情報を見てみると、なあんだ下り。

となると、私は上りと下りの別がわかっていないということになります。
見える人にはわかるのかしら。これはお手上げなので、見える人に教えてもらいました。新幹線の向きが形でわかるようになっているのだそうです。

「列車走行位置」の表示の様子。上り・下りの別をアイコンの向きで表現している。

やっぱりねえとあきらめかけたそのときです。「でも、列車番号の偶数と奇数で上りか下りかはわかるけどね」と言うではありませんか。

私は知りませんでしたが、これは常識でしょうか。
もしも常識の範囲を越えるようでしたら、その旨を「列車走行位置」のページにテキストで付記いただけるとありがたいです。そうやって閲覧者に知識を与えることができれば、新幹線の向きをそれぞれの列車にいちいち書いておく必要はありませんので。

一生懸命は伝わる

私の個人的な印象で申し上げると、このところ新幹線がよく止まります。
原因はさまざまです。安全に関わることなので仕方ないとは思いますが、気をもむ日々です。そして、こうしたページは、気をもんでいる人にじっくりと眺められてしまうのです。普通に表示されていても気をもんでいるのですから、なにか気に障る表示があればもっと気を悪くするでしょう。

でも、一生懸命は伝わります。

今回で言えば、メッセージのオンタイム具合は見事でした。
内容も、まわりくどさを除けば納得のいくものでした。
そして、「列車走行位置」には驚かされました。
こんなにたくさんの新幹線がいっぺんに走っている!
後れても挽回しようと一生懸命走っている!

私は、間接的にではあるけれどトラブルに巻き込まれたのです。けれども、「運行状況」のページを読み取ることにより、JRってすごいという結論に落ち着きました。「アクセシビリティが整う=わかる」という状況は、実際のトラブルを乗り越えさせる力があることがわかります。

ありがとうJR、がんばれJR。

ということで、みなさんの情報発信も、同じような観点で見直していただけると幸いです。ウェブの情報いかんでは、リアルトラブルをカバーできるかもしれませんよ。

【別表】メッセージのリライト一覧

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日時 掲載された情報 リライト案
2023/2/16 18:19 運転再開のお知らせ

 

「のぞみ22号」が車両点検を行った影響により運転を見合わせていました。「のぞみ22号」は、後続列車の運転に支障しない位置まで移動しました。最終的な安全確認が取れたため、18時18分に順次運転を再開しました。
順次運転を再開していますが、駅によってはお知らせした時刻よりも運転再開が遅くなることがあります。
あらかじめご了承ください。

下り線の運転再開のお知らせ

 

運転を見合わせていた下り線は、18時18分に運転を再開しました。
順次運転を再開していますが、駅によってはお知らせした時刻よりも運転再開が遅くなることがあります。
あらかじめご了承ください。

2023/2/16 17:34 運転再開見込み時刻のお知らせ

 

「のぞみ22号」は小田原駅に到着しました。現在、上り線の後続列車に乗り換えて頂いています。
後続列車への乗換が終了次第、上り線は運転再開となります。運転再開は上り線が17時30分頃、下り線が18時00分頃の見込みです。

「のぞみ22号」の小田原駅到着/運転再開見込み時刻のお知らせ

 

「のぞみ22号」は小田原駅に到着しました。現在、乗車していたお客様に後続列車に乗り換えていただいています。お客様の後続列車への乗換が終了次第、順次運転を再開します。
運転再開見込み時刻は以下のとおりです。

  •  上り線:17時30分ごろ
  •  下り線:18時00分ごろ
2023/2/16 16:05 運転見合わせのお知らせ

 

「のぞみ22号」の車両点検は、15時51分に終了しました。車両点検の結果、「のぞみ22号」は小田原駅~東京駅間で運休となります。
今後、「のぞみ22号」を小田原駅まで移動させて、お客様に降車して頂き、後続列車に乗車して頂きます。その後、「のぞみ22号」を運転に支障しない位置まで移動させてから、その他の列車が運転再開となります。運転再開までしばらく時間がかかる見込みです。

運転見合わせ/運転再開手順のお知らせ

 

「のぞみ22号」は車両点検の結果、小田原駅~東京駅間で運休となりました。この影響により、そのほかの列車も運転を見合わせています。
今後は、以下のような手順で運転を再開します。

  1.  「のぞみ22号」を小田原駅まで移動させます
  2.  乗車中のお客様に、小田原駅で後続列車に乗り換えていただきます
  3.  「のぞみ22号」を運転に支障しない位置まで移動させます
  4.  そのほかの列車の運転が再開します。
    ※運転再開までしばらく時間がかかる見込みです。
2023/2/16 15:14 遅れのお知らせ

 

「のぞみ22号」は、小田原駅~新横浜駅間走行中、運転台に異常を示す表示を認めたため停止しています。今後、準備が出来次第、乗務員による車両点検を行います(現在は点検の準備中です)。
この点検には、30分程度かかる見込みです(作業の進捗状況によっては点検時間が前後する場合があります)。
この影響により、一部列車に遅れが発生しています。

「のぞみ22号」」の運転停止/列車遅延のお知らせ

 

「のぞみ22号」(上り)は、小田原駅~新横浜駅間で運転を停止しています。これは、走行中に運転台に異常を示す表示を認めたためです。
この影響により、一部の列車に遅れが発生しています。
これから、乗務員による「のぞみ22号」の車両点検を行います。
この点検には、30分程度かかる見込みです。

待ち人来たる!JRサイトのアクセシビリティ(前編)

見えない私は来る人を待っている

今回のコラムでは、JR東海の運行状況のページを取り上げます。その前に、このページをどうして見ているのかということにふれておきたいと思います。

わりとよく見ることは確かです。しかし、私が実際にその列車に乗り合わせているということはまれです。ならばどうして見ているのか。私はいつも、来る人を待っているのです。

そのページのアクセシビリティを考えるとき、たとえば今回のJRの運行状況ということであれば、その車両に乗り合わせる人、または前後の時間帯に乗る予定がある人を想定すると思います。でも、私のように、その車両に乗り合わせている人の様子を知りたいということもあります。

私は待っています、圧倒的に乗るよりも乗っている人を待っていることの方が多い。そして、その人の様子をじーっと見ているという事実を表明しておこうと思います。

メッセージの文言が回りくどかった

なんらかの事情で予定どおりに運行がされないときには、「運行状況」のページにメッセージが表示されます。今回見ていたものは、ほぼオンタイムで表示がされていました。ご苦労が伝わるというものです。
しかし、継続してメッセージを追っている私には、文言がまわりくどく感じられました。

今回たまたま見ていた2月16日のメッセージのいくつかををリライトしてみました。ご興味がありましたらご覧ください。

【別表】メッセージのリライト一覧

好ましいメッセージの条件

時々刻々と状況は変わっていきます。そのたびに、メッセージも更新していかなければなりません。さらに、さまざまな立場で読まれるメッセージです。どのように書くのがベストでしょうか。

私は、以下のようなことに留意するといいと思っています。
このたびのJRの運行状況を例に挙げてみます。

誰に向けて書くのか

以下の3者全員に向けて、過不足のないメッセージであることが求められます。

  • お客様その1:その列車に乗っている人
  • お客様その2:影響する列車に乗っている人・乗ろうとしている人
  • 第三者:乗車客を待っている人など

何を書くか

現状と見通し、そして、その理由があると安心です。

今回の事例では、理由の扱いが難しいと感じました。
書いておく必要がある理由はあると思いましたが、言い訳と響くものや、もういらないと感じられるものもありました。理由は、現状や見通しを伝えるために必須となる理由にとどめ、そのほかは履歴をたどっていただくという意識で作文をするといいと思います。

何を強調するか

上に記した観点で作文をすると、内容がてんこ盛りになっていきます。
以下の点に留意するとわかりやすくなると思います。

  • 対象者に優先度をつける
  • 先のメッセージとの違いを強調する
  • 理由を簡潔に言い換える

長くなりましたので、続きは次のコラムでお読みください。