沖縄県

リニューアル後に新たに方針を定め、試験が実施されている。方針、試験結果の表示は概ね規定に即しており矛盾もない。1点、達成基準チェックリストに関する説明で、表中に存在しない「等級」の語が用いられている点は「達成基準」に修正しておくと良い。

鹿児島県

試験を2022年に実施している一方、アクセシビリティ方針では目標を達成する期限が「2017年3月31日」のままであり、7年以上が経過している。試験の方法や結果表示は規定に基づいているように感じられるので、試験実施結果に合わせて方針の見直しをしてほしい。

宮崎県

アクセシビリティ方針では、適合レベルAAに準拠の目標に加え、適合レベルAAAの達成基準の一つ「現在位置に関する達成基準」を追加で目標としている。一方、試験結果を見るとAAAには言及していない。せっかくAAAを追加したのだから、AAA一部準拠を表明してみてはいかがだろう。

大分県

ランダム選択に際し「各部局・委員会の個別ページからそれぞれ1ページをランダムに選択」の手法をとっている。サイト全体から満遍なく選択する手立てとは思うが、それを「ランダム」と称するのはWAICが示す試験実施ガイドラインにそぐわないのではないだろうか。

熊本県

試験に使用したチェックツールとしてmiCheckerが示され、結果には「問題あり件数」欄が設けられている。これが「0件」であることを以って「適合」と称しているのであれば、試験の観点・手法として適当とは言えない。対応度の記載もなく試験結果表示として不十分である。

長崎県

6つの達成基準を任意に除外し試験を実施している。この状態では仮に適用したすべての達成基準を満たしたとしても準拠の結果を得ることはできない。規定されたすべての達成基準を満たすことが準拠を謳う根拠であり、正しい理解に基づいた試験が実施されることを切に望む。

佐賀県

第三者機関による検査が実施され、達成度が100%に満たないことが明らかになっている。しかし、問題箇所の具体は示されず、PDF、Word、Excelにおける対応の困難さが記されているに留まっている。単に「結果」として公開するのではなく、改修の材料として活用してほしい。

福岡県

「総務省が開発・無償公開しているツールを利用して行いました。」とある。これが目視試験を実施していないという意味であれば十分な試験とは言い難い。直近のサイトリニューアルが2020年3月に対して直近の試験が2018年ということもあり、現状把握が不可欠である。

高知県

達成基準チェックリストにおいて達成基準ごとに問題の具体を記している。代替テキストの不足、一時停止ボタンの不備など、不適合とされた達成基準は多い。しかし、中身を仔細に評価した結果ともいえる。これらの問題点を方針に反映し、今後の取り組みの道しるべとしてほしい。

愛媛県

2024年2月にリニューアルを果たした。リニューアル後に試験を実施したようだが「※2024年4月末頃公開予定」の記載のまま本調査時点では未掲載である。2017年が直近の試験であり、当然現況からは乖離している。今年度の試験結果の掲載を待ちたい。

香川県

JB.3.1 表示事項に則った表示がなされている。試験結果によると各年度でAA準拠を達成していることが記されているので、今後はHTML以外のコンテンツにも対象範囲を広げた取り組みを進めたい。目標を達成する期限についても改めると良い。

徳島県

掲載されている達成基準チェックリストに適否の記載がなく、達成基準一覧表に留まっている。達成基準ごとの適否が示されるからこそ問題箇所・適合箇所が客観的に判断しやすくなるので、検査証明書を適正に読み替えるなどしてより適切な試験結果表示としてほしい。

山口県

「Googleのサービスを使用しているコンテンツ」を含むページを対象外とする記載がある。本サイトではサイト内検索にGoogleを用いているため、上記に従えば、すべてのページが試験対象に含まれないことになる。安易に例外とするのではなく、品質を適正に評価するための結果を示したい。

広島県

AAA一部準拠の結果を得ており「視覚的提示の達成基準」を満たしているとの記載がある。現サイトでは、行長が全角53文字に達しているが、達成基準を満たすには行長を40字以内に収める必要がある。2019年の試験実施当時の状況は確認できないので、現サイトの状況を反映した試験結果の公開を望む。

岡山県

WAICの試験実施ガイドラインやJISにはない「達成度」によって結果が記されており、すべてのページの達成度が100%未満であることが確認できる。「達成度」の読み替えは難しいが、これを以って「AAに一部準拠」、つまりAは準拠しているという達成状況と判定を下すのは極めて困難である。

島根県

試験に用いている実装チェックリストの書式が古いためか適用規格がJIS X 8341-3:2010であったり、旧規格の細分箇条が記されていたりする。過年度から同じ方法で試験を実施していることが原因と思われるので、現在の規格や指針に合わせて試験方法をアップデートされたい。

鳥取県

「対象範囲内に該当コンテンツなし」の注記があり「一部分の言語の達成基準」が適用なしとされている。共通するヘッダー内に各言語ページへのリンクボタンが備わっているため、この達成基準は「適用」と判断すべきである。AAAの一部を対象とする積極性が見られるが精緻さに欠ける印象。

和歌山県

「一部、外部要素(リードスピーカー)による構文エラー有」とある。エラーが存在しているのでA準拠の結果を得ることは不可能である。他にも旧規格名称や旧規格の細分箇条が記されているなど、試験結果の表示に不正確さを感じる。

奈良県

達成基準チェックリストで「一部分の言語の達成基準」が適用なしと記されている。ウェブサイト上には言語選択ボタンが備わっていることから、本来は適用すべき達成基準である。特定の言語で解釈されるべき機能/コンテンツの筆頭とも言える部分であるので改めていただけると良い。

兵庫県

試験結果は概ねJB.3.1に則った記載となっている。しかし、試験が2022年1月に実施されているのに対し、方針に記される目標を達成する期限は2017年3月31日となっている。試験結果を受けて、取組内容の拡大を含めた方針改訂がなされることが望ましい。

大阪府

試験には「ウェブページ一式単位」と「ウェブページ単位」の2種が規定され、大阪府ではそのうち「ウェブページ単位」を用いている。この場合ページごとの試験結果を個別に示す必要があるが、実際には試験対象ページすべてを一括した結果表示となっており、手法と表示が一致していない。

京都府

「音声解説、又はメディアに対する代替コンテンツ(収録済み)」「音声解説(収録済み)」の2つの達成基準について、前者のみが「適用」扱いとなっている。この2つの達成基準はいずれも動画に関連するものであり、通常はいずれか片方ではなく両方が適用されるはずである。ここでは後者のみが適用となっていて、その根拠が不明である。

滋賀県

令和元年度から令和5年度までの試験結果があるが、同じURLが何年にも渡って記載されている。重要ページかつコンテンツに大きな変化が見られるのであれば良いが、軽微な変化しかないページは繰り返し試験をする意義が薄い。試験対象としてより意味のあるページを選択することを望む。

三重県

達成基準チェックリストに「音声、映像コンテンツなし」と記されているが、試験対象ページの一部には動画が確認できる。動画に関連する達成基準は数多くあり、それらを「適用なし」とした試験手法は不適切と言わざるを得ない。

愛知県

非テキストコンテンツの達成基準(A)達成率が94%である。WAIC試験実施ガイドラインには「達成率」は定められていないが、この値が100%ではない場合には何らかの問題があると解釈するのが妥当だろう。そのため、適合レベルAAに一部準拠」の結果は不正確と捉えられる。

静岡県

試験結果資料を見ると、最初の試験時に問題が確認されたページに改修を施した後、同じページを試験、必要に応じて再改修というプロセスが取られたように見える。JIS試験においては、ランダムに選択したページで問題が確認された場合、再試験時には改めてのランダム選択が必要である。再試験の手法の確認を望む。

追記)
試験を行ったページと試験結果(令和5年度)に「ランダムではない方法で選択」した旨が記されていますが、同ページより入手できるExcel資料内に、以下の状況が認められたことから上記コメントとなっています。

  • ランダム選択されたページがあること
  • そのページに不適合箇所が存在したこと
  • そのページが最終的な試験対象ページとして記されていること

岐阜県

試験対象総ページ数が40。ランダムでない方法が12と記されている。この場合、ランダムに28コンテンツを抽出しているはずである。しかし、実際のページ選択方法では、ランダムでない方法で20ページもしくは23ページを抽出しているようであり、記載内容の正確さに欠けている。

長野県

A一部準拠の結果から、コンテンツ上の問題をしっかりと抽出していることが推察される。しかし、各年度の試験結果を見比べたとき、満たしていない達成基準の差異が少ないようにも感じる。試験結果を受けて適切にコンテンツの見直しが進めば結果の進展も望めるはずである。

山梨県

例外事項として「セル同士が結合された表」が記されている。セル同士を結合した場合であっても適切に構造を記すことでアクセシビリティを確保すべきである。セル同士が結合された表自体を除外して評価することや、それを除外してAA準拠を謳うことは適切ではない。

福井県

試験結果は確認できなかった。ウェブアクセシビリティ方針には「定期的にページ検証を行い、不適合となった箇所を可能な範囲で改善する」との記載はある。検証結果が公開されること、また、ウェブアクセシビリティ方針自体の更新にも期待したい。

石川県

平成26年度から毎年度JIS試験を実施していたが、直近の試験結果は令和4年度の実施分で止まっている。一度途絶えたことを境にJIS試験を実施しなくなってしまうことは避けてほしい。来年の本調査実施時には令和6年度実施分が確認できることを願う。

富山県

試験結果は確認できなかった。富山県ウェブアクセシビリティ方針ページは存在しており「目標を達成する期限及び等級」の見出しはあるが、期限に関する言及はなく、現在の取組状況やアクセシビリティ品質についての情報が皆無である。来年の本調査時には試験が実施され結果が公開されていることを望む。

熊本市

ウェブアクセシビリティ方針を記したページから、民間企業発行の検査証明書へのリンクが張られている。検査基準とした適合レベルはAAであり、各試験対象ページの多くで100%に満たない達成度であることは確認できるが、目標とする「AA準拠」を達成できたかは明示されていない。

福岡市

トップページには動画が埋め込まれている。試験結果では動画は対象外と記され、達成基準チェックリストには「対象範囲内に、音声及び映像コンテンツ無し」とある。コンテンツの実態と記載内容に整合性がなく、AA準拠ありきで試験結果表示がなされているのではと感じざるを得ない。

北九州市

方針では外部サービスに付随する動画を例外としているが、試験対象にはYouTube動画が埋め込まれたページが含まれている。ページ内の動画部分のみを除外する場合には準拠ではなく部分適合に留まるし、準拠を謳うのであれば動画に関連する達成基準を適用しないことは不適切である。実態に即した矛盾のない適合判定を望む。

新潟県

試験結果からリンクしている達成基準チェックリスト(PDF)には「【新潟県】miChecker試験結果の達成基準チェックリスト」の見出しがある。目視をせずmiCheckerのみで評価し「問題あり」がなかったことを適合と呼んでいるのであれば正しい試験が実施されたとは言い難い。

広島市

「適合レベル」の見出しに対して「レベルA」「レベルAA」のみ記されている。これでは目標なのか達成したのかわからず、準拠なのか一部準拠なのかも判然としない。記載されているページ選択方法と選択されたページの状況にも乖離があり、正しく試験が実施された根拠を見つけにくい。

岡山市

適合レベルAAに準拠したという結果を「目標とする適合レベル及び対応度」の中に記している。これでは目標と結果を混同しかねないので記載に注意されたい。方針においてAAAの2つの達成基準を追加しているが、試験時にはその達成基準を用いていない。目標に含めているのであれば評価をしておくのが自然である。

神奈川県

委託先民間企業による検査証明書と試験対象ページごとのチェックリストがExcel形式で公開されている。満たしている適合レベルは「レベルAAに一部準拠」とのこと。検査証明書を見ると、1ページのみが適合であり、ほか39ページは「レベルAに一部準拠」としか読み取れない。

東京都

ランダムではない方法のみを用いて試験対象ページを選択している。誤った選択方法ではないものの、そのページだけを試験実施前に改修しておくことや、準拠しているであろうページのみの意図的な抽出が可能であり、平準的なアクセシビリティ品質の確認には適さないだろう。

千葉県

令和4年度、令和5年度といずれも附属書JBに基づく試験を実施した旨の記載があるが、試験対象ページ数やURL、達成基準チェックリストの掲載が確認できなかった。このような状況は試験結果の掲載が確認できた団体の中で唯一である。試験の客観性を保つためにも公開を望む。

埼玉県

非テキストコンテンツ、情報及び関係性、コントラスト(最低限レベル)の3つの達成基準が不適合となっている。これらはコンテンツ内で生じやすい問題に関わる達成基準であり、誤解を恐れずに言えばすべてのページで基準を満たすのは至難の業である。

神戸市

「レベルAA達成基準13項目のうち8項目について準拠している」とある。「準拠」を対応度表記ガイドラインに則って用いているのであれば、これは誤用と言える。準拠ではなく「適合」「満足」「満た」などを用いるべきだろう。試験を含めた取り組み全般の継続性は高く評価したい。

堺市

ウェブページ一式を代表するウェブページは15ページとのことである。しかし、試験対象ページのリストを確認すると、25ページまでは区や施設等のトップページが都合よく抽出されているように見える。任意選択とランダム選択のページ数が逆になっていると思われるので確認いただきたい。

大阪市

「複雑なリスト要素である一部の箇条書き表現」と「外国語で提供するホームページの言語の達成基準」を今回の試験対象外であると記している一方、それに呼応する2つの達成基準はいずれも「適合」と記されている。この矛盾をどう解釈していいのかがわからず、試験結果に信用が持てない

京都市

digitalbook/ 以下のページ等を除外し、AAA一部準拠の結果を得ている。対応は2024年度ではなく2024年度「以降」と記されている。特定のコンテンツのみアクセシビリティを確保することを否定はしないが、より広い範囲の対応が進むことに期待したい。対応時期を明確にしていない点も気になる。

名古屋市

「機械翻訳における言語選択パネルは、キーボードで操作ができません」とある。「Language」を経由すれば同等の翻訳コンテンツにアクセスできるようだが、各ページにはその点が示されていない。これは「キーボードの達成基準」を満たしていないと判断すべきではなかろうか。

群馬県

アクセシビリティに関するコンテンツへの導線が極めて細い。アクセシビリティ方針や試験結果を見つけるためには、「組織から探す」から辿っていくかサイト内検索をするしかない。アクセシビリティ方針や試験結果をウェブサイトのどこにおくかは規定されていないが、見つけやすい場所に置くことで伝わる真摯さもある。

栃木県

40ページを対象とした抽出試験ではAA準拠の結果が示されている。その直前にmiCheckerによるチェックも実施されており、確認された問題点が明記されるなど丁寧な取り組みになっている。一方、「満たすことができないため対象から除外」との説明も見られ、不誠実な印象も受けた。

茨城県

試験結果の代わりに民間企業の発行する検査証明書を確認したところ、達成度100%に至ったページは一つもなかった。達成度という指標の詳細は不明ながら、適合レベルAやAAを満たす品質にないと解釈するのが自然で、目標の「AA準拠」には届いていないと解釈するのが妥当である。

福島県

達成基準チェックリストには、Aの達成基準のうち7つが不適合、AAの達成基準のうち3つが不適合の結果である。これが正しければ「A一部準拠」となるはずだが、「適合レベル A」を満たしているとの記載がある。何を以って満たしていると判断しているのか判然としない。

山形県

動画やPDFを試験対象から除外する団体がほとんどの中、山形県では動画も試験対象に含んでいるようである。キャプションや音声解説、代替コンテンツが付加されない結果、A一部準拠に留まっているが、存在するコンテンツを試験対象に含めようとする姿勢は好感が持てる。

浜松市

10年前に実施した試験結果のみ確認できる。ウェブアクセシビリティ方針はページの更新日こそ2023年5月1日ではあるものの、2014年ごろ記された内容と推察される。現在の取り組み状況は全く見えてこず、極めて残念な状態である。

静岡市

ウェブアクセシビリティ方針には2026年度末までのAA準拠が目標として掲げられているが、政令指定都市で唯一試験結果が確認できなかった。他団体に比べて取り組みに明らかな遅滞が見える。極めて残念な状態である。

新潟市

試験ではAA準拠に至らなかったが、満たしていない達成基準を明確にし修正が施された。今後、問題点を組織全体で共有すること、研修等を実施することなどが記されており、真摯な取り組みが期待できる。1点、現規格に「箇条8」は存在しないため「附属書JB」に改めると良いことを書き添える。

相模原市

試験ではA一部準拠の結果となったが、その後、不適合箇所を改善し問題を解消しているのは良い。試験の目的はAA準拠の結果を表明することではない。アクセシビリティ品質を明確にし、必要な改善を施すことである。お手本にしたい取り組みと言えよう。

川崎市

「一時停止,停止及び非表示の達成基準」を試験時に適用除外している。トップページにカルーセルパネルが存在しているため、これらの除外は誤りである。「アクセシビリティに対応していない部分がある」ことを理由に特定のページを試験対象外としてまでAAを満たそうとするのは本末転倒である。

秋田県

レベルAA一部準拠の結果が記されているが、達成基準チェックリストにはAの達成基準が「不適合」と記されている。レベルAA一部準拠とは、Aをすべて満たしたうえで、AAのすべてを満たすことができない場合の対応度表記であるため、試験結果はA一部準拠に留まるはずである。

宮城県

試験結果は、ドメイン配下のすべてのコンテンツを対象に適合レベルAAに準拠と示されている。しかし、ウェブアクセシビリティ方針においては、AAの特定の達成基準を除外したり、AAAの達成基準を追加したり、特定のディレクトリのみを対象範囲としていたりする。両者が整合した試験結果を望む。

岩手県

試験結果は「A 一部準拠」に留まっているが、トップページに掲載のXのタイムラインが達成基準を満たさないためとのこと。SNS等の外部サービスを任意に試験範囲から除外する団体が見られるが、ページ内に存在しているすべての要素を試験対象に含めている点は適正と言える。

横浜市

『「JIS X 8341-3:2016」の箇条8に基づき』とあるが、この規格には箇条8は存在していない。旧規格(JIS X 8341-3:2010)では箇条8で試験方法を規定していたため、この記載が残っているものと思われるので要修正。それ以外の記載内容は概ね妥当な記述である。

千葉市

昨年度に5年ぶりの試験を実施しAA準拠の結果を得た。しかし、アクセシビリティ方針は2015年以降更新がなされていない。試験結果はJISの表示事項に合わせた内容が記されているが、方針には旧規格に基づく内容が記されている部分がある。方針と試験結果は連動させた取り組みをしてほしい。

青森県

「8.1.3 第三者によるコンテンツにおける例外」として、YouTube、Facebookなどを使用したコンテンツや機能、地図サービス、検索サービスなどが挙げられている。これは、規格に定める第三者によるコンテンツとは異なる解釈であり、例外事項の記載内容として適切ではない。

北海道

「試験を行ったURLリスト」を見ると、空知、石狩、後志などの多くの振興局から2ページずつ選択されている。試験対象のうち30ページはランダムに選択したとのことだが、この場合はランダム選択ではなく、各振興局から同数を抽出したことを明示する方が正確である。

さいたま市

トップページのTwitterやブログの表示欄を試験対象の例外と位置付けている。規格上、ページ内の一部を除外した場合、部分適合の扱いとなり「準拠」の結果を得ることはできない。試験結果では「達成等級AAに準拠」とあるが、正しい試験結果表示ではないことを理解されたい。

仙台市

対象となるウェブページを単にCMSで管理されるすべてのコンテンツとせず、スクリーンショットを用いて例示している。対象範囲がわかりやすいことは良い取り組みである。試験に使用したチェックツールの一部のバージョンが古いようだ。試験への影響は少ないと思われるが、より正確な評価のためにアップデートすると良い。

札幌市

方針を定め、試験を実施し、試験結果を受けて方針を改訂するという理想的な流れが確認できる。AAAの一部の達成基準を追加したり、WCAG 2.2への対応方針検討が明言されたりするなど、よりアクセシブルなコンテンツ提供に向け意欲的に取り組んでいる様子が伺える。

調査概要

有限会社ユニバーサルワークスは、47都道府県・20政令指定都市の自治体公式サイトを対象に、「自治体サイトWebアクセシビリティ調査 2024」を実施しました。今年で22回目となる今回のテーマは「JIS試験、正しく実施できていますか」です。

2016年に、ウェブアクセシビリティに関する公的規格「JIS X 8341-3:2016」が改正・公示されました。それを受けて総務省は「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2016年版)」を公開し、今年5月には、近い将来のJIS改正に向けた動向や求められる取組を記した「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」を新たに公開しました。

「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」では、JIS X 8341-3についてWCAG 2.2に基づいた改正が行われる可能性が言及され、公的機関に対して改正を見据えた対応を求めています。そして、

公的機関ホームページのJIS対応状況に関する調査の結果、JISの適合レベルA及びAAに多数の問題のあるホームページが「問題がない(「AA準拠」している)」と公表している事例があることを確認しています。
(みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版) P38 より)

と、実際のウェブアクセシビリティ品質と公開されている試験結果や準拠状況との間に差異があることが明らかにされています。

そのようなことから、今回は自治体公式サイトにおける試験の実施状況と試験結果に関する書式や記載内容を調査することにしました。

この調査が「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」で求められている、ウェブアクセシビリティへの更なる取り組みの推進に寄与できると幸いです。

調査方法

47都道府県・20政令指定都市の公式サイト内に設けられたウェブアクセシビリティに関連するコンテンツ、特にJIS試験結果を表明しているコンテンツを評価者(視覚障害者および健常者)が閲覧し、調査内容・観点に基づき調査しました。

調査内容・観点は以下の文書に基づくものとします。

  • JIS X 8341-3:2016(附属書の内容を含む)
  • みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)
  • ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)等が示す関連文書

調査内容・観点

調査内容と観点を以下に記します。

ページタイトル

調査対象サイト内の直近のJIS試験結果に関するコンテンツの名称を記しています。

JIS X 8341-3:2016に基づく試験

試験実施の有無

ウェブアクセシビリティに関する試験実施の有無を「あり」「確認できず」で記しています。
JIS X 8341-3:2016には試験方法に関する規定は存在しませんが、「附属書JB(参考)」に基づく試験結果や、各社が提供する評価サービス等の結果が確認できた場合に「あり」としています。

直近の試験実施期間

ウェブアクセシビリティに関する試験の実施期間を記しています。
複数の試験結果が掲載されている場合は、直近の試験実施時期を抽出しています。

試験対象ページ数

直近の試験における試験対象ページ数を記しています。
複数のページ選択方法を組み合わせている場合には、合計ページ数のみを記載しています。

達成した適合レベルと対応度

直近の試験結果に示されている適合レベルと対応度を記しています。
各社が提供する評価サービス等において、JISやウェブアクセシビリティ基盤委員会が規定する対応度表記以外の指標が用いられているケースについては、当社がその定義・基準等を承知していないため「不明」として扱っています。

評価コメント

評価者からのメッセージです。
規格や指針に即していない点、試験結果に関する疑義、表現を改めるべき点、今後の取り組みを進める中で優先してほしいことなどを記しています。

自治体サイトWebアクセシビリティ調査2024を終えて

今年も行いました、自治体サイトWebアクセシビリティ調査。2024年の今年で22回目を数えます。今年のテーマは「JIS試験、正しく実施できていますか」です。

47都道府県・20政令指定都市が公表している「JIS試験結果」を調査させていただきました。一言で言うと不正確さが目立ちます。そもそも規定どおりの試験が行われていないことや、試験結果を適切に表明していないこともあります。このたびの自治体サイトWebアクセシビリティ調査では、各自治体が「JIS試験」を行っているか否かに加え、各自治体が公開している試験結果内での不整合な部分をつまびらかにしています。何のための「JIS試験」なのかを振り返る機会にしていただけると幸いです。

このコラムでは、自治体サイトWebアクセシビリティ調査の調査員である全盲の私が、調査をしながら感じたことを書いています。本体の調査とはまた違った切り口で自治体サイトに迫ります。

もう一度、代替テキストを見直しましょう

私は、ウェブアクセシビリティの確保のために、以下の3つのことをお願いしています。

  • 画像に代替テキストをつけること
  • 単語内のスペースをなくすこと
  • 「こちら」のみへのリンク設定をやめること

どれも徐々に良くなる中で、代替テキストをつけることは特に改善されたと感じていました。自治体サイトに関してはほぼ整ったと言っていいときがあったくらいです。

ところがです。このところはつければいいと勘違いしていませんか。つければいいのではありません。つけるべきところに正しくつける必要があるのです。今回は代替テキストの正しいつけ方の解説から始めたいと思います。

その画像やアイコンは本当に知らせなければなりませんか?

まずは、代替テキストをつけようとしているその画像やアイコンに、代替テキストが必要かどうかを考えましょう。なぜこんなことを言うかというと、ページ内にあるすべての画像とアイコンに代替テキストをつけまくっている自治体が散見されるからです。

カテゴリ名の先頭にあるアイコンのすべてに「ほにゃららの画像」「ほにゃららのイメージ図」「ほにゃららのアイコン」「ほにゃららのサムネイル」といった具合です。アイコンのあとには本物の(?)「ほにゃらら」が存在しますので、私の耳にはこう聞こえます。

「ほにゃらら1のアイコン」
「ほにゃらら1」
「ほやらら2のアイコン」
「ほにゃらら2」……

こんなふうに伝える必要があるでしょうか。「いやいや伝える必要あるでしょ、そこにアイコンがあることを伝えないと合理的配慮にならないでしょ」というような意見をお持ちだとしたら、私はそのアイコンがどんなアイコンであるかを伝える必要があると思います。

たとえばサイトのトップページに「知事の部屋」というリンクラベルがあったとして、その付近に知事の写真(画像)が存在するとします。この場合はそこに知事がいることを知らせた方が親切です。「笑顔の知事のバストアップの写真」とかね。知事がこっち向いて笑ってくれてるんだなと思うと、用はなくてもちょっとは開いてみる気になるというものです。

修正方法については次のとおりです。これはいらんなと感じたら代替テキストを「空」に設定してください。alt属性自体がないとファイル名が読み上げられてしまうので、あくまでもalt属性の「値」を「空」(alt=””)と設定することが大切です。表示する画像やアイコンのすべてに何らかの意図を含むようなイメージで取り組むと失敗がありません。

グローバルナビゲーションが聞こえてきませんよ

ちょっとびっくりしたことに、なんとグローバルナビゲーションに代替テキストがない自治体サイトを見つけました。リニューアルのタイミングを調べていませんが、1年以内にリニューアルをしていなければこれまでの調査でもそのことを聞き逃した可能性が高く、調査員としてはびっくりしている場合ではないと反省しています。

たとえ聞こえずとも、サイトの構造や内容の意味合いから気づかねばならない事象でした。過ぎてしまったことをとやかく言っても仕方がないので、該当の自治体はすぐに直してください。調査対象の自治体のウェブマスターは、自分のところでないことを祈りながら確かめてください。その結果、ほかにも私が聞き逃している重大な問題が見つかった場合は修正いただけると、来年以降の調査で私がびっくりしたり反省したりする事態が減ります。

地味に大切だと思う広告バナーの代替テキスト

広告バナーはサイトの訪問者には必ずしも歓迎されるものではないのかもしれませんが、自治体の収入源としては大切なのでしょうし、なによりも、広告主は対価を気にするところだと思います。

広告主は、バナー画像の表示方法や表示される位置はきっと気にしていると思います。けれど、見えない人や何らかの理由でバナーが表示されない人にどのように伝わっているかはご存じないでしょう。

広告バナーの場合も代替テキストのつけ方のルールはほかの画像と同じです。基本的には等価な情報を文字列にしてください。画像上にはキャッチコピーがあるのに代替テキストには会社名だけのものや、ひどいところではせっかく広告費を負担しているのに会社名すら伝えてもらえていない広告バナーがあることを私は知っています。

バナー画像は広告主側が用意することが多いと思われますが、代替テキストは誰がつけているのでしょうか。広告バナーの代替テキストを自治体側がつけているのだとしたら、広告主に失礼のない運用を心がけてください、失礼の範囲にとどまらず、詐欺に近い状況にもなりかねませんので気をつけましょう。

せっかくのホームページ、見られたいですよね

さてここからは、調査員が個人的に感じたことをお話します。今年は住民の視点でこのサイトに再び訪れたいかどうかを考えながら調査してみました。公式サイトと合わせてXの公式アカウントも覗いてみましたよ。

乗っかれるものには乗っかろう

個人的雑感なので本当に個人的なお話をしますが、私は大河ドラマを聴取しています。主人公の父親が“越前守”に抜擢され、主人公は父親の勤め先に滞在することになります。そこでウニを食べたり越前和紙に出会ったりしてとっても素敵なんですけど、そんなイメージで福井県のサイトを見ても『光る君へ』感はゼロでした。

また、「Yahoo!ニュース」にこんな記事がありました。

「虎に翼」ロケ地は微妙な反応…「イメージ悪くなる」はて?田舎民は腹黒い?(新潟日報) – Yahoo!ニュース

私は朝ドラ『虎に翼』は聴取していません。なので、新潟が舞台とは知りませんでした。そうかあ、新潟県は盛り上がっているかなと思って新潟県のサイトを覗いてみましたがこちらも『虎に翼』感はゼロでした。

NHKの大河や朝ドラが全体を代表する何かではありませんので、絶対に乗っかるべきとは言えませんが、せっかくだから乗っかればいいのにと思います。今、誰かが注目する何かが自分のところの行政区にある場合は、行政区として発信できる情報や紹介できる施設がないかに目を向けるくらいはしてもいいと思います。

ネガティブニュースのアンサーがない!

この夏もいろいろなニュースが流れました。地震に台風、相変わらずの感染症、個人的にはイルカに噛まれたり、登山中に亡くなったり、滝や湧き水で食中毒になったりしたらしいというニュースに驚きました。

イルカ(福井県)、登山(静岡県・山梨県・長野県)、食中毒(大分県・熊本県)のトップページを注意して眺めましたが、それらのニュースに関する何らかの反応は見当たりませんでした。山梨県が「富士登山」という小さなワードで富士登山についての一般的な情報を載せているくらいです。これで十分ではありますが。

地震と台風には騒ぐのに、事故や事象が地名入りで大々的に報じられていることには無反応というところが気になります。管轄外だとかまだ調査中とか理由はいろいろとあるのでしょうけれど、管轄の情報に促すことや事態の経過を示すことも自治体サイトの大切な役割ではないかと感じます。そうすることで訪問者に納得と安心感が与えられたなら、むしろ好感度アップというもので、ネガティブニュースへの反応は無視しない方がいいと思います。

「よく見られているページ」はよく見られていないのではないか

「よく見られているページ」をランキングで示している自治体サイトがあります。みなさんはこのランキングをどのように受け止めますか。

私は、よく見られてはいるだろうけれど、もしかしたら目的とする情報が見当たらなくてそれらしいページをうろうろした結果なのではないかと心配しています。「よく検索されるキーワード」というものもあって、これはまだ訪問者の能動的な行動が反映されている分いいような気がしますが、サイトの構成がわかりにくいから検索したという可能性も含みますので同じかなとも思います。

一方、静岡県のサイトに「みんなの「いいね!」ランキング」というものがあります。これは完璧に訪問者の能動的な行動のみの数だからいいのではないかと思いましたが、1位が「サイト内検索 検索結果」となっていてなんともうまくいかないものです。

しかし、このような取り組みを通じて訪問者の訪問意図を把握できるのであれば、「よく見られるページ」が本当の意味でよく見られている状況を作り上げるヒントになると思います。がんばりましょう。

「入札情報」はひっこめてみてはどうか

「入札情報」は自治体にとっては大切な情報でしょうけれど、一般の訪問者には必要ありません。目的とする情報を探している途中に必要のない小難しい入札情報が連続すると、訪問者は閲覧をあきらめます。

もちろん、住民の中には都道府県政、市政に目を光らせていたいのだという人もいて、入札情報も熟読したいという場合があるかもしれません。何よりも、自治体が入札情報を届けたい先の事業者の目にも情報が届かなければなりません。

でも大丈夫です。読みたい住民は多少ひっこんでいても探し出しますし、事業者もお金に直結する情報であればちゃんと見つけるものです。なので、多くの訪問者にとって閲覧をあきらめさせるような状態になっていないかを主軸に考える方がいいと思います。

「入札情報」をひっこめる方法として、情報分類の一階層目で「事業者の方へ」にまとめてしまうのはどうでしょう。一般の訪問者の目には留まらないけれど必要な人にとっては必要な情報だけがまとまっている状況をつくることができます。

それではトップページの配分の取り合いで庁内でもめますよということであれば、表示する数を決めることをおすすめします。そうすれば「入札情報」が新着情報を埋め尽くすという状況は避けられますし、訪問者もそういうものだと認識しやすくなるでしょう。

そのような場合の好例がありましたので紹介します。福岡市のトップページです。

福岡市のトップページの「新着情報」は、6つに分類したメニューごとに5つずつ、おそらく数を固定して表示するようにしているのだと思います。こうしておけば、訪問者は必要のないメニューを読み飛ばしたり、必要のあるメニューのところだけを読んだりすることができます。

「ああ、うちの自治体のサイトもこんな感じの作りだよ」と思ったウェブマスターがいるかどうかは知りませんが、福岡市のいいところはそれだけではありません。どのメニューのどの新着情報も、関係ないけどなんとなく読みたくなりませんか。私は毛嫌い(?)していた入札情報も熟読したくなりましたよ。

提案してきたように構成は大事ですが、やはり最後は記事そのものの魅力ということは意識しましょう。ひょっとしたら関係ない情報も読まれるかもしれないのですから。

「X」の発信はノリで行こう

各自治体、さまざまなSNS発信をする中で、「X」はどこの自治体でも利用しているようでした。見えない私にも比較的音声で情報を取得しやすいメディアであることから、各自治体の公式アカウントにアクセスしてみました。

私は「X」の発信はノリでやってほしいと思っています。もちろんふざけるのではなく真剣にやってほしいのですが、ある種のノリがあるといい。すでにご当地キャラなどをお持ちの自治体は、キャラにポストさせるのが手っ取り早いでしょう。たとえば、大阪府は「大阪府広報担当副知事もずやん」が関西弁でがんばっていました。方言もノリを生み出せていいです。

もう一つ、ノリに含んでいいかはわかりませんが、ターゲットをしぼって発信するのも手です。私の印象では、神戸市は「X」の利用者層にターゲットを絞って発信しているように感じました。利用者層のリズムにノリながら発信者側が言いたいことを言っていく、そんな雰囲気です。

すべてのSNS、すべてのメディアで発信する情報をすべての人に届けるのって難しいと思います。そのように努力したところ誰にも刺さらないという事態をよく目にします。

このように言うとアクセシビリティの観点からずれているんじゃないのと思われそうですが、いろいろなものを使っていろいろな方法でいろいろなタイミングで、届けなければいけない情報を少しずつ重ねながら、ここではあの人に、あっちではこの人にというイメージで発信していくといいと思います。

そうして訪問者が行き着く先はやはり公式ホームページ(Webサイト)です。だからちゃんとしておこう。たどり着いた人の目的が必ず達成しますように願いながら、今年も調査を終わります。