2026年1月5日 掲載
年々増える管理すべき情報
みなさんは、IDやパスワードをどのように管理していますか。私は、できる限り持たないように心がけています。
とはいっても、現代社会でそれらをまったく持たないというわけにはいきません。マイナンバーカードやスマートフォンのセキュリティ、金融機関の認証など、どうしても必要なものはあります。各種ウェブサービスの利用にも何らかの認証が求められることが多く、管理すべき情報は年々増える一方です。
手に入った契約の自由
視覚障害者になったばかりのころ、「見えないと契約書の自筆署名ができず大変な苦労をする」という話を聞いたことがあります。私は、晴眼者の親族が代筆を許可されることでさまざまな契約を済ませてきましたが、そのたびに自力ではできないのだという現実に気づかされることになりました。
インターネットの普及はこの障壁を低くしてくれました。代筆に頼ることなく、視覚障害者が自分自身で結べる契約が増えたからです。たとえ、何らかの壁があったとしても、別のアクセシビリティに配慮されたサービスを選ぶという自由も生まれました。
越えられなかったセキュリティ強化の壁
ところが、最近はこの状況に影が差しています。一例ではありますが、フィッシング詐欺対策として導入されたセキュリティ強化の壁です。
犯罪者を排除するための対策は重要であり、私も当然それに従いたいと考えています。しかし、現実は従いたくても従えないのです。強化された画像認証システムが、視覚障害者である私にとって壁となって立ちはだかりました。
「今は過渡期なのだろう、いずれ修正されるはずだ。」とのんびり待っていたところ、案の定、一度は改善されました。しかし、さらなる対策が講じられた途端、再び私のアクセスは拒絶されるようになりました。
セキュリティ強化のために忘れられた人々
こういうとき、私は猛烈な嫌気に襲われます。一度は正当な利用者を排除してしまったことに気づいたはずです。だからこそ修正されたのでしょう。それなのにどうして同じことが繰り返されるのでしょうか。その構造的な無理解に頭を抱えずにはいられません。
セキュリティが優先されるべき場面があることは理解しています。そのために待たされることにも慣れています。しかし、どうか待たせている人がいることを忘れないでください。
目を閉じてみれば改善は難しくない
年明け早々の苦言はつらいのですが、深刻な例を取り上げてみました。インターネットの普及により便利なサービスが増える一方で、その利用が妨げられる場面も散見されます。IDとパスワードをできる限り持たないようにしている私でもよく出会うのですから、もっと多くの不具合が存在するものと思われます。
このコラムで示した例の改善策は「代替テキストを付けること」だと思われます。実に簡単なことなのです。改善がここまで簡単なことはあまりないかもしれませんが、何か作ったら目を閉じて使ってみるといいと思います。不具合は簡単に見つかりますから。