だって結べちゃったんですもの

2023年5月8日 掲載

まずはコンバースの公式サイトをどうぞ

今回のお題は、コンバースの靴ひもの結び方のページです。

コンバースオンラインショップ「靴ひもの結び方 オーバーラップ」のスクリーンショット

靴ひもの結び方 オーバーラップ – コンバース オンライン ショップ | CONVERSE ONLINE SHOP

靴ひも完成までの私の道のり

結論から申し上げますと、見えない私は単独で靴ひもを正しく結ぶことができました。以下はその過程です。

「①と②の穴」ってなんだ?

私がこのページから得られる情報は、結び方を説明しているテキスト部分だけです。読んでみますとわかりますように、突然「①と②の穴」などと謎のワードが聞こえてきます。ここで私は、どこかに画像が存在するであろうことに気づきます。

画像:結び方のステップ1。靴ひもを通し始めた状況を示す写真には、一番つま先に近い外側のシューホールに①、内側に②と番号が付けられ、合わせて説明文がある
ステップ1に「①と②の穴」なる表現がある

心の3分の1はわからないことを覚悟し、3分の1は画像の代替テキストがあることに期待し、3分の1はテキスト部分だけで目的が達成することを願います。

画像の代替テキストを探す

「①と②の穴」の説明がされている画像部分を探してみました。見つかりません。見出しのあとで「オーバーラップ」と言っているところがそうかなあと想像します。いずれにしても、私が想定する代替テキストはなさそうです。

「動画をみる」に気づく

「動画でみる」というリンクテキストが聞こえてきました。こちらにヒントがあるかもしれませんので聴取してみます。

……。1分30秒の素敵な音楽を聞かされて終了しました。

コンバースに限りません。YouTubeなどの動画のコンテンツにはこのようなものが多々あります。「ナレーションなし」などがタイトル段階でわかりやすいといいかもしれません。

気を取り直して再び説明のテキストへ

説明を読みながら靴ひもを通していったら正しく結ぶことができました。①と②と③と④の穴は今も画像上ではわかりませんが、説明を受けて絵に描くことはできそうです。

絵に描くことができそうなくらい理解を助けた説明文を以下に抜粋します。

つま先側の左右の穴に上から靴ひもを通し、出てきた靴ひもの長さを左右均等に揃えます。
足の外側にきた靴ひもを内側の穴へ、上から下に通します。
足の内側にきた靴ひもを外側の穴へ、上から下に通します。
左右ともに、内側のシューホールから外側のシューホールへ向かう靴ひもが上になります。
靴ひもの表と裏の面が交互に出てきます。

https://converse.co.jp/blogs/shoelace/overlap

画像も動画も存在意義はある

上に抜き出した説明文は、画像で示しているであろう記述をカットしただけのものです。見えない私には、画像で示してしまったせいで説明文が複雑になっているように感じられました。

しかし、画像が説明文を補う役割をしていることが想像できますので、画像の存在を否定するものではありません。動画においても同様のことが言えます。

テキストと画像と動画のWin-Win-Winリライト

以下に、見える人にも有益で、見えない人にも疑念や不安を与えないための説明文をリライトしてみました。

リライト

ステップ1 つま先側の2つの穴に紐を通す

つま先側の左右の穴(①と②)に上から靴ひもを通します。
出てきた靴ひもの長さを左右均等に揃えてください。

ステップ2 足の外側にきた靴ひもを内側の穴へ通す

足の外側(①)にきた靴ひもを内側の穴(③)へ通します。
ひもは上から下に通してください。

ステップ3 足の内側にきた靴ひもを外側の穴へ通す

足の内側(②)にきた靴ひもを外側の穴(④)へ通します。
ひもは上から下に通してください。

ステップ4 ステップ2と3を繰り返す

ステップ2と3を、最後のホールの手前のホールまで繰り返します。
左右の靴ともに、内側のシューホールから外側のシューホールへ向かう靴ひもが上になります。

ステップ5 完成

最後のホールはひもを下から上に通します。
蝶々結びをすれば完成。靴ひもの表と裏の面が交互に出てきます。靴ひもがねじれないように注意しましょう。

画像に無理な代替テキストはいらない

アクセシビリティにおいて、「画像には代替テキストを」と口をすっぱくして言ってきました。業務に携わる方は耳にタコでしょう。

このページの場合、画像に代替テキストをつけるとしたら①と②と③と④の穴がどこかを書くのだと思います。でも、閲覧者の目的はそこではありません。靴ひもを正しく通すことです。

もしも私がこのコンバースのページを請け負ったとしたら、画像に代替テキストをつけざるを得ないかもしれません。でも、もしかしたら上のような説明文のリライトで済ませるかもしれないとも思いました。だって私、靴ひもが正しく結べちゃったんですもの。

このページのように、テキストと画像と動画の3者がある場合、どこが肝かを見誤ることなくつくりたいものです。抜け目なく書くところは書く、補助的事項はそれとして扱うという考え方もいいと思っています。