音の世界へ

2022年3月1日 掲載

アクセシビリティという響き

突然ですが、「アクセシビリティ」ってみんなが言えるようになりましたね。当社の創立時はみんなが言えるワードではなかったように記憶しています。

会社をやるぞとなりまして、「なにをする会社なの?」という質問に「『みんなが使えるホームページを作る会社だよ」というような説明をしました。そして、「『ウェブアクセシビリティ』と言ってね……」と話は続きますが、ここで「ウェブ……なになに、あくせさ……」というようになるのがお決まりでした。

みんなが言えるようになった「アクセシビリティ」

そんな日々が何年も続いていましたが、今は多くの人が言えるようになりました。

公的サイトだけではなく、身近なショッピングサイトやサービスのサイトにも「アクセシビリティについて」や「このサイトのアクセシビリティの考え方」というように一般の名詞として使われています。そして、なによりもスマホの設定に「アクセシビリティ」という項目が並んだことが大きな原因ではないかと私は考えます。

今一度振り返らないアクセシビリティ

そこで、今一度アクセシビリティを振り返りたくなりますが振り返りません。

ウェブアクセシビリティの普及が仕事です。ですから、研修でもお客様とのやりとりでも「ウェブアクセシビリティとは」を繰り返し説明してきました。飽きたなというのが正直なところですが、理解はどうあれこのワードが浸透したという喜びのほうに今一度浸りたいのです。それでも振り返りたいよという方がきっといらっしゃいますね。そういう方は、当社のトップページにぜひどうぞ。

アクセシビリティアナリストは失職か?

こうなると私はお役御免でしょうか。人々のアクセシビリティの理解のほどが正確にはつかめないまでも、このワードの浸透から、アクセシビリティが普及したという一つの判断ができると思うのです。大変です、私は失職するかもしれません。

もう大真面目にウェブアクセシビリティを説いて回る必要がないのだから、これから私は遊ぼうと思います。理解のほどを何か物差しで計るのではなくて、みんなをこっちよりに招く遊びを企てたいのです。

目隠し歩行よりもためになるアクセシビリティの設定

以前も書きました。
きっとこれからも繰り返し言います。

iPhoneユーザは多いと思います。お暇な時の暇つぶしでかまいません。「設定」→「アクセシビリティ」に進んで、「VoiceOver」をオンにしてみませんか。

私が見えていたとして、iPhoneを持っていたらやってみるような気がします。音で操るってどんなかんじだろうと好奇心がわきます。お子さんに触れさせてみるのはもっといいとかねがね感じています。目隠し歩行よりも安全で本質に近いと思います。

もっと強者どもへ本質を伝えよう

ついでに「設定」→「アクセシビリティ」の状態で「ショートカット」をVoiceOverにしておいていただけると、文字通りショートカットの操作でオン/オフが切り替わります。すると、こっちの世界にいつでも来られるようになります。みなさんにとってどうかはわかりませんが、私としては仲間が増えて喜ばしいです。

さらに、スクリーンカーテンをオンにすると何も見えなくなります。正真正銘の音のみの世界です。

いつも簡単にタップしているボタンでも、音だけで探すのは苦労だろうと予想します。苦労でしょうけれど、やっているうちに楽勝になってきます。この状態が、私のような全盲の視覚障害者の本質なのです。