2021年5月6日 掲載
アプリを利用して美術館をめぐってまいりました!レンズの向こうのあれこれです。
アプリが苦手です
使ってみれば便利かもしれないことはわかっていても、いわゆるアプリをインストールして全容を把握しなければ使えないことを思うと、その手順を踏むことが面倒でたまりません。
この目は残念ながら見えないのです。失った感覚器がアプリで補えるというのなら、何でもやってみるべきだと思っても、よっぽどの機会がなければ踏み出せないでいる近頃の私です。
実証実験のお誘いが来て
そんな私に「アプリを使った実証実験に参加してみませんか」というお誘いが来ました。アプリアレルギーを思って少し躊躇しましたが、1年以上に及ぶ新型コロナ対策を大真面目に実行しすぎて社会生活に支障をきたし始めていましたので、この機会にと考え直して体験させていただくことにしました。久しぶりに体を動かす仕事ができてありがたかったです。
ナビレンズというアプリを体験してきました
このたび、私が体験させていただいたアプリはナビレンズというものです。これを採用している美術館をスマホ片手に一人で歩き鑑賞してみました。アプリが道順と作品解説を音声でしてくれたのです。
結論から言いますと、作品鑑賞もできましたし、一人で歩くこともできました。少々お手伝いはいただきましたが、視覚障害者が一人ぼっちで美術館に行くことはまずないでしょうし、美術館のどこにもスタッフがいらっしゃらないということもないと思いますので、そうしたことを考慮すると十分なナビゲーションのアプリでした。
【参考:視覚障害者支援ツール「ナビレンズ(Navilens)」の導入について】
レンズというのはこんなにも
ナビレンズは、美術館に仕掛けてあるバーコードのようなものに訪問者がレンズを向けることで利用できます。訪問者はスマホにアプリをインストールしてそのアプリを起動しておくだけでいいのです。
私は驚きました。レンズというのはこんなにも簡単に鋭く対象をキャッチしてくれるのですね。見えない私はとうぜんそのバーコードのようなものがどこにあるかわかりません。でもスマホを前方に向けるだけでちゃんと情報をキャッチしてくれました。
視線とか指先とかレンズとか
少し話が横にそれますが、アプリだけではなくレンズも苦手かもしれません。
見えなくなってから、自分の視線とか指先とかが失礼なことをしていないか気になっています。電車で座席に座れた時は白杖をたたむことが多いです。そして、ふと気づくと自分の目がまっすぐ前方を見据えていることがあります。電車で眠れない私はすっかり空想の世界にひたっていで、びっくりするくらい強い視線でいることが非常に多い。その視線の先に他人の顔があったら大変です。多分いつもあることでしょう。白杖はたたまれていますので、ただの感じの悪いオバサンです。
写真を撮る趣味はありませんが、たまには記録として画像におさめたいということはあります。うまくは撮れないだろうけれど大体わかればいいようなという感じで。ですがそう思って向けたレンズの先に本当は何があるのかはわからないわけなので、やはりその行為もためらわれます。
レンズはもはや見えない人の目なのかも
最近はアプリで物体の色を教えてくれたり、文字を読んでくれたり、お札の区別をしてくれたりするようです。私はいずれも利用していません。利用してみたこともありません。
顔の認証や各種手続きなども、スマホのカメラを利用してできることが増えてきました。先日もマイナンバーカードの申し込みをオンラインで行いました。証明写真を撮ったりQRコードを読み取ったり、これらもスマホのカメラのおかげで自宅にいながらできるわけですものね。
せっかく体を動かして体験してきました。ナビレンズの反応のよさがこの体に感覚として残っているうちに、スマホのレンズ系のアプリや機能の習得に努めたいと思っています。