2020年12月1日 掲載
ホーム転落事故で亡くなられた視覚障害者のご冥福をお祈りします。
今回は、駅のホームの整備状況情報のアクセシビリティチェックです。
ホームと車両のすき間と段差は解消されつつあるようです
先日、このような新聞記事を読みました。
「段差3センチ」駅ホーム改修中 車いすも補助無し乗車:朝日新聞デジタル
国土交通省が示したホームと車両の「すき間7センチ、段差3センチ」という目安への対応状況についての記事です。
視覚障害者や、ベビーカーの親子連れにも使いやすい。多くはホームページで整備済みの駅やドア番号を公開している。
一例としてJR東日本の公式サイトを確認してみました。
歩行の不自由なお客さまへ:JR東日本 によるとこうあります。
⑤ホームと車両の段差・隙間の縮小対策
- 車いす等をお使いのお客さまがご利用しやすいよう、ホームドア整備にあわせてホームのかさ上げを行うことで、可能な限りホームと車両の段差を縮小しております。また、一部駅のホーム先端(各ホーム2か所)にくし状の部材を設置し、可能な限りホームと車両の隙間を縮小しております。
- 各駅の詳細につきましては、下記をご参照ください。
「山手線」「京浜東北線」「中央・総武線各駅停車」の情報があることはわかりました。
残念ながらPDFのみの情報提供のようです。音声で行けるところまで行ってみましたが、色の表現であったり画像であったりするようで内容はわかりませんでした。でも、見えればわかりそうな感じでしたので、車椅子を使用している方はぜひ確認してご自身の安全にお役立てください。
「らくらくおでかけネット」という情報サイトについて
JR東日本の公式サイトから以下のサイトへの案内がありました。
こちらを覗いてみると、「ホームドア設置状況」がテキストで記されていました。見えなくても音声で情報を得ることができました。
JRの駅に限らず多くの駅の情報が掲載されています。ホームドア設置状況以外には、車椅子を使用している方、トイレの情報を知りたい方への情報が充実しています。都心の駅に明るくない私なので正確さの検証は完全ではありませんが、私が知っている駅については正しい情報が掲載されていることを確認しました。
単独乗降が求められる時代?
JR東日本とらくらくおでかけネットのWebアクセシビリティチェックをしてきましたが、ここで元の新聞記事に戻ります。
駅の整備についてのお話でした。これは、単独乗降をかなえるための整備といえます。もちろん、障害者の側が求めてきたことでもあります。しかし、私などはこの記事を読んで、「これだけ整備してくださっているのだから一人でがんばらないといけないんだなあ。」という感想を抱きました。それはつらいなあという感情を含んで。
こう言ってしまうと元も子もないのですが、ホームドアが設置されて、どこに設置されているのかがアクセシブルなサイトのおかげでわかったとして、視覚障害者の私の行動が何か変わるかと問われると変わりません。どこもついてないという前提で細心の注意をはらってホームを歩くことでしょう。
じゃあ何なんだ!
自分でも書いていて「じゃあ何なんだ!」と叫びたくなりますが、何なのでしょう。
結局、駅の整備やアクセシブルなサイトなんかは、人々の親切にはかなわないということです。特に、ここを読んでくださるようなみなさんの親切に支えられて私たちの安全は確保できているということです。
引き続きの親切を感謝とともに求めます。そして、障害者の皆さんは今まで享受してきた親切が若干少なめに感じるかもしれません。しかし、それは周囲があなたを嫌いになったわけでも急に冷たくなったわけでもなく、コロナ禍という状況がどうしようもなくそうさせてしまっているということを理解しましょう。
そして私は、相も変わらず一文字でも多く正しいテキストをWebページに載せていく。アクセスしやすいサイトを構築していく。そういうWebページを見た人が穏やかな気持ちになっていつもより余裕を持てたとしたら、もしかすると誰かのホーム転落を助けることにつながるかもしれませんものね。