OneDriveのバックアップが勝手にされてしまう
たしかに、たしかにOneDriveにバックアップをするように指示した覚えはあります。けれども、私がクラウドとローカルとをくっきりと区別して保存しているフォルダやファイルたちをそんな風にいっしょくたにされてはたまりません。
Google先生に訳を説明したところ、オフラインのドキュメントにバックアップのチェックが入っちゃっているのではないですかということでした。私もそんな気がします。ついては、これこれこういうルートで進んでいくとチェックする・しないの設定ができますのでやってみてということでしたので、もちろん行ってみました。
最後の最後が開かない
Google先生がナビゲートしてくれた解決方法を実践してみたところ、悪くはない進み具合だったのですが目的は果たされませんでした。ここを押せば開きそうなんだけど、押してもそれっぽいものが開かれないのです。
正確には、開かれないと感じただけでちゃんと開いていました。読み上げ上の下の部分が切り替わる感じで展開されていたのでした。どうしてそのことに気づかなかったかというと以下のようなことが考えられます。
- (画像の赤枠内は同じ内容が聞こえてくるため)音声操作では切り替わっていることに気づきにくい
- OSやアプリの設定項目名は耳慣れていない
- 自分の想像よりも一段階階層が深かった


こういう状況をみなさんにお知らせしたい
今回私が体験したOneDriveのバックアップの設定のように、メニュー内容が切り替わって表示されるタイプのものが苦手です。
こういうタイプは、OSやアプリの設定にもウェブサイトにも増えていて、ものによってはスクリーンリーダーや音声ブラウザが「そういうものだよ」というヒントをアナウンスしてくれる場合がありますがそうでないこともあります。ユーザの力が試されるというか、試されるからといってちょっとマニュアルにも書きにくいというような状況が発生していて、ユーザの経験値に多くを求められているように感じます。
こういうときすごく嫌なんだよなとよく感じるのですが、コラムを執筆する段になるとどこでどのように嫌だったかを忘れてしまうことが続いていて、このたびやっと当該事象を捕獲いたしました。
じゃあどうしてほしいのよ
では、つくる側にどうしてほしいかということになりますが、どうしてほしいということもないのです。だってちゃんとできているわけですから。
強いて言えば項目名をわかりやすくしておいてということくらいでしょうか。Windowsの設定とかiOSの設定とかって、カスタマイズするとかなり便利だけどその設定項目がなにを示しているかがわかりにくいことが多いです。そのたびにくじけたり、私の場合は長年にわたって理解を進めるようなところがあります。
私の格闘の変遷
こうして振り返ってみると、さまざまなデジタルデバイスを使用する中で、大きなトラブルから小さな欲望まで、いろいろなことと格闘してきました。しかし、格闘の仕方は徐々に変化してきたように思います。
以下はあくまでも私の場合ですが、年代と私の年齢別に格闘の様子を示してみます。もしかしたらアクセシビリティの歴史が見えてくるかもしれません。
2000年代:30歳半ばくらいまで
30代半ばくらいまではトラブルのたびにいつもキレていました。
そのトラブルが自分のスキル不足によるものなのか、作り手のミスなのか、支援ツールの未熟によるものなのかの区別はまったくできないのに、自分で解決したくて、でもできなくていつも怒ってばかりいました。
2010年代:40歳を過ぎるころまで
怒り尽くしてその後、40歳を過ぎるころまでは人任せモードになっていました。トラブルの理由がわからないのに見えない私が自分で耳だけで解決するなんて無謀だ、こんなことを続けていたらいつか死ぬと思って人に頼るようになりました。
かすかな敗北を感じつつも人任せにしてよかったことは、本来の使用目的に集中できたことです。トラブルの対応には多くの時間が必要になります。その時間が短縮できたことで、多くの達成感と楽しさを実感することができました。苦手だったタッチスクリーン系のデバイスに挑戦したのもこのころです。
2020年代:40歳代
現在は、トラブルが生じたときに誰が悪いのか、もしくは誰も悪くないのだということがわかるようになってきました。自分で解決できることとそうでないことの判断もつくようになってきました。実に平和な日々です。
マニュアルは自分で更新していくイメージで
今日できなくても明日やってみよう、もしかすると明日になればできるようになっているかもしれない。若いころの自分には決してなかった思想が今はあります。
こういう感じを、トラブルに見舞われたユーザにどう伝えたらいいかなと考えています。
私が若いころは、OSやアプリやサイトの構造は多分今よりももっと単純で、支援ツールもそれに合わせてこう読む、こう操作するというように簡潔にマニュアル化できていたのだと思います。マニュアルどおりにやればできるし、マニュアルにないことはツールの能力の外というだけのことでした。
今もマニュアルのようなものはあって基本はそこで学んだり知ったりするのだけれど、対象物の構造がバリエーション豊かなので、自分が使いたいものを毎日使い続けることで自然と学んでいくというスタイルになってきていると思います。毎日、自分の経験でマニュアルを更新していくようなイメージです。
こういうことができたらいいんだけどなあと思いながら使っていると、ある日その方法が立ち現れるという現象を何度も繰り返しています。同じように困っている人がいたら教えてあげたいけれど、言葉にしにくいような、耳と指先は操作を覚えているけれど言おうとするとうまく思い出せないというような、独自のマニュアルが自分の中に重なっています。
だから、内容をというよりはその体験を、体験の仕方を共有できたらいいなあと思っています。現代は、ユーザとして楽しく使うことが一番のトラブル解決方法なのです。