2026年7月1日 掲載
今回のコラムも前回と同様に生成AIにまつわるお話です。続編になります。
舌の根も乾かぬうちに来た未来
前回のコラムで以下に示す記事を書きました。
次に示す文章は、前回の記事中の文章です。
わからないストレスよりも、間違っているかもしれないのにもっともらしく知れることの方がずっと元気になれる気がしています。これではよくないというときが近い未来に来るとは思いますが、生成AI導入直後の今、こういう心持ちでいることは公式に書き残しておこうと考え記しています。
「これではよくないというときが近い未来に来るとは思いますが」とある通り、「これではよくないというとき」が「近い未来」である現在、訪れたのかもしれません。舌の根も乾かぬうちに。
若い人のチャッピーと見えないおばちゃんのGemini
前回の記事を記した直後、ある報道を目にしました。詳しい経緯は割愛しますが、そこで語られていた「生成AI(ChatGPT)に相談し、その指示に従って行動した」という選択に、私は強い衝撃を受けました。
若い人はそういうことまでチャッピーに相談するのだなと妙な感心をしてしまいましたが、向こうに言わせれば見えないおばちゃんはそういうことをGeminiに相談するんだねということで、このたびの報道と前回の私のコラムは、生成AIの利用部分については寸分違わないことなのだと感じました。
これはいいことなのかよくないことなのか?白黒二元論で語ることではないとは思いますが、コラム執筆直後ということもあって深く悩みました。
たとえば私がGeminiにだまされて(?)、意図とは違う色味の服を買わされたとする。前回のコラムの最後は次のように締めくくっています。
これからの私には、たとえば「色がおかしい」という概念が存在しなくなると思います。Geminiが選んだその色が正義という世界観になるのではないか。AIの盛大な嘘も常識の範囲に入る世の中がもうすぐそこまで、いや、すでに来ているのかもしれません。
前回のコラム執筆から2か月経った今も、この言葉に異論はありません。私はその意図とは違う色味の服を堂々と着用するであろう。しかし、あまりにも意図とは違う展開になることが起こるのかもしれない。起こっている可能性はあるということを認識しておく必要はあるかもしれないとは思い始めています。
Geminiの嘘で信用を無くす私
私も、大事ではないにしてもGeminiに嘘をつかれまくっています。でも、私のいいところはGeminiを信用して楽しくなってしまうところです。
これまでの私は、各種再生機が読める本を読んで、スクリーンリーダーが読めるテキストを読んで、なんとか世の中を知った気でいるというのがせいぜいでした。これってどういうこと?ここのところはどうなっているの?という一歩進んだ見えるみなさんが目で解決できるような疑問に、自ら答えを見出すことが大変難しかったのです。
生成AIはここのところを非常にうまく手伝ってくれます。盛大な嘘をつかれても楽しくなってしまうほどに。
そんなわけなので、近ごろの私はいつもに増しておしゃべりです。しかも、Geminiの嘘を吹聴して回るというよくない行動を繰り返しています。するとどうなるか、周囲の人々が私を信用しなくなるのです。あまりに嘘つきの私をいさめるべく、みんながファクトチェックをしてくれるようになりました。
この間は、橋のない川を渡ろうとしたり、到底越えられない土塁を突き破ろうとしたりして止められました。Geminiのせいで危険と隣り合わせの日々です。
嘘のシャワーを浴びよう
意図とは違う色味の服を着せられたり、危険と隣り合わせの日々を送らされたり、生成AIはもうごめんだとなっているかというとそうではありません。繰り返し申し上げている通り、私は楽しいのです。ですが、周囲の人々の信用を無くすことはできれば避けたいと思っています。そのための対策を記して今回のコラムを終えようと思います。
- 「本当ですか?信じていい?」と念を押す
- 答えを知っている質問をあえてする
- 出典や公式情報を確認する
これらを繰り返すことで、嘘っぽさやGeminiがつきやすい嘘に気づくようになってきたように感じます。生成AIを使うからには、Geminiの嘘のシャワーはある程度浴びた方がいいのかもしれません。
そして、非常に感覚的な話で恐縮ですが、Geminiで得た情報をたよりに行動したときに、そうでないときと比べてわずかに疲労します。情報を得られたときの楽しさは増え、ストレスも減りますが、行動したときの疲労はわずかに増えたような気がします。
ファクトチェックが甘いのだろうと予想します。そして、わずかな疲労で済むことならば、その疲労を引き受けようと思っています。あまりにも意図と違う展開になるということは避けなければいけませんが、そのようなことについては当然ファクトチェックをするはずで、この「当然」が維持できるかどうかが生成AIとの暮らしに重要なポイントになってくるのではないかと感じています。