みんなにかかわるアクセシビリティ

我々の進む先にはアクセシビリティがある。老いとともにやってくるアレについてです。

縁が深いJIS(日本産業規格)

私は、Webアクセシビリティを法律や規格や指針にのっとって実装するためにさまざまな仕事をしています。その法律や規格や指針にはいろいろとありますが、なんといってもJISは大事です。

ユニバーサルワークスという会社は、このJIS(JIS X 8341-3)の制定を見据えて創業しました。2016年の改正のときには、当社の代表が改正のメンバーになりましたので大変に縁の深い規格といっていいでしょう。

頼むから、はっきりでっかく書いてくれ!

この改正のときにメンバー間でささやかれた笑い話があるのだそうです。それは「メンバーの我々も文字が見えにくくなってきた!」というもの。

アクセシビリティの推進をがんばってきてくださったみなさん。当社代表も私もアクセシビリティに取り組み始めたのは20代半ばでした。みなさんは同世代とちょっと年上の先輩といった年齢層だったでしょうか。

「頼むから、はっきりでっかく書いてくれ!」とこぼしながらJISの改正をされたのだそうで、そのお話をうかがいながら笑ってしまった私です。あれからもう5年くらい経ったでしょうか。

あれ?聞こえにくい?!

みなさんのことを笑っていた私ですが笑っていられない事態が起こりました。見えにくいということではありません。目はとっくに見えないわけなので。

そうです。耳のほうです。あれ?なんだか最近聞こえにくいような。イヤホンが壊れかけているのかしらなどとごまかしごまかし過ごしてきましたが、ひょっとしたら原因は私の耳ではないかと気づいたのです。

テスターたるものこうあるべき

私はWebサイトやWebページ、情報サービスやアプリを耳で調査しています。言ってみればテスターなわけです。誰に指示されたわけでもありませんが、自分なりにテスターたるものという条件がありまして、創業以来18年もの長きにわたりその条件を固く守ってきました。

自然でありたいのです。情報を音声化しなければ取得できませんので、音声化を不自然ととらえられるとつらいところですがそれ以外は自然に行こうと考えています。

普通のパソコンに音声化ソフトを入れる。今はiOSにVoiceOverをオンにするということもしています。ですがそれだけです。なにかいじるとしたら音量と読み上げのスピードくらいではないでしょうか。この状態であらゆる情報を聞きまくります。これが条件を安定させる一番の方法だと思ってきたので。

できれば男性の低い声が好みです

ですがこのところ設定をいじりたくなってきました。とりあえず音量は少し大きめ、スピードは相当ゆるめました。

今、テスターでなければ変更したいと思っているものは、音声エンジンとトーンです。これまではどんなキャラクターの声でも聞くに堪えられたのですが、最近は男性の声が聞き取りやすいような気がします。トーンやピッチも低ければ低い方がいいような気がします。

ちなみに肉声はまた別で、男性のサラサラした声は聞き取りにくくなってきました。男女ともに芯のある声といいますか、みなさんにとっての文字同様、はっきりでっかい声がいいようです。というわけで、アクセシビリティってあらゆる身体特性、普通の特性にもかかわりがあるということですね。