アクセシビリティの「ア」も言わずに

アクセシビリティの「ア」も言わずにアクセシビリティを語る本の紹介です。みなさんは、文章を書くときの「字下げ」の意味を知っていますか?

SNSでは字下げすんなよ!

いわゆる原稿用紙に文章を綴る場合、文頭を字下げしますね。SNSで情報発信するときは字下げすんなよと教えてくれる本はこちら、成毛眞さんの「バズる書き方 書く力が、人もお金も引き寄せる」(SB新書)です。

長い間気にしていました。こうして文章をWebページに綴っていますから、会社の人間の編集は入っていますし指導も受けます。しかしながら、こうだ!という型といいますか、定義まではいかなくてもそういったことがどこかにないかなあといいつも感じていました。

SNSで字下げはどう表現するの?

原稿用紙のお作法でいうところの「字下げ」は「段落」を表しています。SNSでは先ほど来、申している通り字下げはしませんとなるとどうすると思いますか?答えは行を開けるのです。

ですから、原稿用紙に向かって改行し、字下げをしたくなった時、SNSにおいては一行開けてみてください。ちなみに、ここでいうSNSとは、成毛さんにならいTwitterやInstagramなどの短文ではない、ある程度まとまった文章ということにします。

改行と字下げはセットだけど?

察しのよい人はここで疑問を感じたでしょう。原稿用紙のお作法においては、段落変えは改行と字下げがセットだったよねと。そして、現状のSNSでは改行と字下げ(=一行開け)が必ずしもセットになっていないよねと。

成毛さんはこのように説明してくださっています。

そこでSNSでは、段落を変えるときには1行開ける。

これはつまり、SNSにおける改行は段落変えを意味しないということだ。

縦書き1行40字といったフォーマットでは「改行=段落変え」である。しかしSNSでの改行には、見出しの役割を果たす1行を作ること、効果的に余白を作ること、改行前後の文章を強調することなど、これ以外の従来の文章の作法とは別の目的があるのだ。これらの機能と段落変えを明確に区別するために、段落変えは1行空きで表現するといってもいいだろう。

バズる書き方|SBクリエイティブ
https://www.sbcr.jp/product/4815606374/

わかりますか?SNSやWebページをその目で見ているみなさんにとっては当たり前の認識というところがあり、説明されてなるほどというところもありでしょう。しかし、見えない私は説明されてやっと安堵できたのです。段落内での改行もありなんだよね、文章の塊はこれくらいでいいんだよねと。感覚の中でふわふわと納得して書いてみているところに、成毛さんが「いいね」と言ってくれたみたいなそんな気がしました。

漢字を開くと目だけじゃなくて耳にもいいよ

ほかにも有益情報がたくさん書いてありますがもう一つ紹介したいことは「漢字を開く」というワザです。出版業界の専門用語なのだそう。何でも漢字にしておけばいいわけではないよということ。読みやすさを考えて漢字をひらがなに置き換えることを「開く」と表現するのだそうです。

「バズる書き方」の本文中に開く前と開いたあとの文章を例示くださっていました。目で見るほど耳での違いは感じられていないと思いますが、「読み辛くなる」や「次の様に」は「読みづらくなる」「次のように」と開いてもらえた方が私の音声読み上げ環境では素直でした。

そして、気のせいくらいの違いですが、開いた例示の文章の方が音声読み上げのぎこちなさが少なく感じました。これらが長文になると、我々視覚障害者の耳への負担や理解の度合いにも影響があるかもしれません。この本をKindle電子書籍で読まれる方で、iPhoneあたりの端末を使われるようでしたら、この部分だけでもVoiceOverを入れてみてください。漢字の開きを耳でも体験することができます。

バズりたくない人も

わが社のお客様は自治体のみなさんが多いので、どちらかというと品行方正な情報発信を求められていると思います。そのような理由から「別にバズりたいわけじゃないから」と申されるかもしれません。ですが、バズると炎上は違うということを前おいた上で、「バズる書き方」にあることは実践することをおすすめします。

ここにあることはバズるために必要な条件であって、その上でコンテンツとタイミングがきゅっとうまく合わさった時にバズるわけなので、条件を整えてもバズれるわけではないのです。逆を言えば、ここにあることくらいちゃんと理解してやっておかないとバズるどころか見られもしないという状況は簡単に起こるということです。そんなこんなで、アクセシビリティだけではなくいろいろと役立つ本でございます。