三重県

今回の調査で、miCheckerで「非常に良い」評価を得たのは静岡県と三重県のみであった。Lighthouseでは97、axe DevToolsで検出された問題は3と、ツール評価においては問題の少なさが際立った。提示される画像等はPCでの閲覧を前提としている印象を受けるので、スマートフォン向けの提示に関して質の向上を望みたい。

愛知県

直近のJIS試験結果として「適合レベルAAに一部準拠」が示されている。これは、達成基準Aをすべて満たしたうえで、達成基準AAの一部を満たしたことを意味する。達成基準ごとの詳細を確認したところ、「非テキストコンテンツの達成基準(適合レベルA)」の達成率が92%であった。これでは準拠とは言えないが、どういった試験だったのだろうか。

岐阜県

「県政ホットニュース」には動画のサムネイルと思しき画像が並んでいる。中央に「 」(再生マーク)があり、その場で再生できるかのように見えるのだが、実際には下部のテキストからのみ記事ページがリンクされている。他サイトでの経験やセオリーに反する視覚的な提示は、利用者の期待を裏切る危険がある。

静岡県

Lighthouse と miChecker の2つで満点を得た唯一のサイト。一方で、axe DevToolsでは11の問題が検出されている。3つのツールの結果が一致していないことは、ツールだけではJIS X 8341-3:2016準拠と謳えないことを表していると言えよう。

富山県

「魅力・観光」と「観光・魅力」と「魅力・観光・文化」、「産業・しごと」と「しごと・産業」など、ラベリングのミスなのか、実際に異なるコンテンツなのかを判断しづらい部分が散見される。さまざまな検索方法の提供を試みた結果と思われるが、選びにくさにつながってしまっては本末転倒である。

石川県

トップページのaxe DevToolsによる評価において、id属性値の重複が10、li要素の記述ミスが11と、文法上の誤りが多く検出されている。id属性値の重複は、トップページのみならず他ページのヘッダーでも検出されている。ウェブサイト内のすべてのページに関わる事項なので早めに修正をかけたい。

福井県

miCheckerの「知覚可能」のスコアが、他の調査対象はすべて80以上の中、福井県のみ大きく引き離された50に留まった。問題の多くは、画像の代替テキストと直後の同一テキストによるリンクが多数(19ヶ所)検出されたことにあるため、該当箇所の記述を改めるといいだろう。

山梨県

取組確認・評価表によれば、「毎年アクセシビリティに関する検証を実施し問題点を把握しており、来年度以降も実施する予定である」としている一方、「過去3年以内にアクセシビリティの実現内容について、最新のJIS X 8341-3:2016に基づく試験による確認を行っていない」とのこと。客観的な指標とすべく試験を実施されたい。

長野県

キーボード操作では、各ページ右下に配置されているチャットボットを呼び出すことができない。仮に何らかの方法で起動できた場合でも、質問の入力のみが可能で表示された回答からページを遷移することはできない。音声読み上げでも利用できない状況であり、閲覧可能な環境が限定されてしまっている。

新潟県

ページの先頭に「本文へ」のリンクが目に見える形で備わっている。それとは別に「メニューを飛ばして本文へ」が不可視の状態で置かれている。どちらもリンク先は「#skip」であり機能上の違いは見られない。意図したものではなく、構築業者が「いつも通りつけてしまった」のであれば早急な改善を望む。

三重県

最新の試験結果ページの「試験を行ったウェブページのURL」において、40項目すべてが同じリンク先になっています。
直ちに直しましょう。
方針に、目標とする適合レベルよりも上の達成基準を含める場合、試験時の達成基準チェックリストにはその達成基準が記されないことが多いのですが、AAAの4つの達成基準まで表中に記しているところがいいと思います。

愛知県

「ウェブアクセシビリティ方針」のページが見つけにくいです。
パンくずリストから判断すると「利用について」の配下に存在するようですが、そこには「ウェブアクセシビリティ方針」のリンクがなく、今もってサイト内検索以外からの導線を見つけることができていません。
試験結果についてはAA一部準拠が示されていますが、チェックリストからの判定ではA一部準拠に留まっています。
正しい内容を記載しましょう。

静岡県

令和2年度の試験結果において「2.2.2 一時停止,停止及び非表示に関する達成基準」を「例外事項(平成26年7月31日までに対応)」として記しています。
現在は対応済みということかもしれませんが、達成基準2.2.2は、非干渉要件、つまり、これが満たされないと他のコンテンツにもアクセスできない性質を持つ要件であるため、これを除外することは極めて不適切です。

岐阜県

「試験を行ったウェブページ」「試験を行ったページのURIリスト」「試験対象URI(令和2年度)」「JISX8341-3:2016の試験を行ったページリスト(令和2年度)」など、表記の異なる見出しやリンクラベルが並んでいることで混乱します。
「試験を行ったページのURIリスト(ランダムでない方法で選択)12ページ」の見出しの直後に、試験対象の40ページが列記されていることから、試験方法の理解が不十分なのではないかと不安を覚えます。
試験の実施や結果だけでなく、その記載の正確さにも意識を向けましょう。

長野県

試験対象ページや達成基準チェックリストをPDFなど別のコンテンツとせず、1つのHTMLページ内に記載しているので、試験の全容が把握しやすいです。
試験結果から適合とならなかった達成基準を見ていくと、当社が日々業務として実施する際の問題箇所と類似しており、リアリティのある試験結果という印象を受けます。
問題の具体が見えていると思うので、この流れで改善がすすむことを応援しています。

山梨県

平成30年3月31日までに試験を実施する旨の記載があるものの、平成28年度の試験結果(2017年3月21日~27日)を最後に新たな試験結果の掲載がありません。
ただ、「取組確認・評価表」で獲得しているポイントから判断すると、過去1年以内に何らかの検証を実施しているようです。
せっかくですから、その成果を踏まえた方針の見直しなど適切な取り組みができるといいと思います。

福井県

ウェブアクセシビリティ方針のページはあるものの、目標達成期限の記載も試験実施の形跡もありません。
「今後の方針」として「定期的にページ検証を行い、不適合となった箇所を可能な範囲で改善するとともに、必要に応じて本方針の見直しを行います。」ともあるのですが、検証・改善・方針の見直し、そのいずれについてもウェブサイト上には一切情報が存在しません。
残念です。

石川県

平成26年度以降7か年の試験結果が閲覧できます。
毎年、適度に対象ページを変えながらほぼ同時期に試験を継続実施していることに感服しました。
直近の試験結果を確認したところ、「試験を行ったページのURI一覧(令和2年度実施分)」では、URL文字列と実際のリンク先が異なっているのでさっそく修正してください。

富山県

2021年3月のリニューアルとともにウェブアクセシビリティ方針が示されています。
せっかくですから目標達成期限の記載もしましょう。
「1.2.5 音声解説(収録済み)の達成基準(レベルAA)」を例外として目標をA一部準拠」とするのではなく、音声解説を付けてAA準拠を目標とする方が自治体として格好いいです。

新潟県

ウェブページ一式のアクセシビリティ品質を端的に示すことは試験結果表示の一つの意義だと思うので、試験結果ページに適合レベルを記してほしいです。
現状では、PDFで掲載されている達成基準チェックリストを照らし合わせなければなりません。
試験結果ページが「しごと・産業」配下に格納されているところにも違和感を覚えます。
試験の実施や結果だけでなく、それをどこにどのように記載するかというところに意識を向けられると誠実さが増します。

三重県

三重県公式サイトのデザインやレイアウトをベースにしているが、グローバルナビゲーションなどを取り去って特設サイトとして公開している。ページタイトルが「三重県」となっているが、ページ内の表記に合わせ「三重県新型コロナウイルス感染症特設サイト」と改めるべきだろう。

愛知県

感染症発生状況については、画像で示されていて適切な代替テキストが設定されていないため情報が得られない。多くの情報が「県民の皆様へ」「県の情報」の2つにしか分類されていないうえ、分類内で類似する情報を近接させるような配慮もなされていないため、目的の情報が探しづらい。

静岡県

ページには多くの画像が用いられているが、代替テキストが壊滅的。状況を説明していないばかりか「torikumireiryuuitenniconn」「iryoujyuujisyaiconn」などローマ字表記のため、例えシンプルな文字画像だとしても音声ブラウザでは意味の取得が困難な状況にある。

岐阜県

「岐阜県 新型コロナウイルス感染症対策サイト」で用いられている水色がとても淡い色(#70C7EA)のため、白(#FFFFFF)との組み合わせでは、コントラスト比が2.0:1を下回ってしまう。誰にとっても見やすい配色とは思えないので、より高いコントラストが確保できるよう配色の見直しを検討してほしい。

長野県

知事記者会見などの動画は、公開から2ヶ月以上経過しないと(書き起こし)テキストが公開されない状況にある。全く公開されないよりはまだましとも言えるが、より早期にテキスト情報が掲載されることが望ましい。リンクテキスト色には県章と同じ緑色(#18844F)が用いられている。JIS X 8341-3:2016で求められるコントラスト比は満たすものの、より高いコントラストが確保されるのがベター。

山梨県

「広報広聴グループ」のコンテンツとして扱われているため、ローカルナビゲーションに、動画制作の業者選定やコミュニティラジオに関する記事へのリンクが並ぶ。サイト構成上仕方のないことかも知れないが、専用カテゴリを設けるなど、関連情報だけを効率的に閲覧できるような工夫が望まれる

福井県

マスクをした女性のイラストの代替テキストが「マスク」。それ以外にも「○○バナー」や「○○アイコン」を代替テキストとする画像が多数配置されている。これを以ってアクセスできないという状況にはならないものの、代替テキスト設定のルールを見直してほしい。

石川県

「東京都新型コロナウイルス感染症対策サイト」の派生サイトを、県の新型コロナウイルス感染症対策サイトとして位置付けているが、本体サイトにも個別の情報が掲載されている。ただ、パンくずリストが生成されておらず、所属カテゴリがわからないため、同カテゴリ内の関連情報を次々に見るという閲覧行動をとることができない。

富山県

ページ内のすべてのリンクテキストに下線がないため、リンク箇所の判別が難しい。そのうえ、複数のリンクを読点でつなぐかのような表現がなされていると、(リンクのない)普通の文章に見えてしまう。全く同じ文言のリンクテキストも多く、総じてリンクの認知・判別が困難な状態にある。

新潟県

各部署に点在する関連情報を集約し、新着情報やRSSを配信するなど丁寧な発信が行われているが、代替テキストが「基準」「推移」だけで、画像上に記された内容を一切反映していない画像が散見されるのはたいへん残念に感じる。

三重県

ページではなく「ドキュメント」が見つからないという表現が用いられている。提案されるリンク先になぜ「しごとガイドへ」が含まれるのだろうか。

愛知県

404エラーではなく、「Not Foundのページ(https://www.pref.aichi.jp/soshiki/notfound.html)」が正しく表示されたもの(ステータスコード200)として扱われている。

静岡県

特に必要とは思わないが「静岡県のホームページにお越しいただきありがとうございます。」とある。「せっかくお越しいただきましたが」や「いま一度」など独特の表現が見られる。

岐阜県

「・」(中黒)と改行を用いた箇条書き風の記述はいただけない。ヘッダーに広告が表示されていることもあって404エラーページにも広告が表示されているのが特徴。

長野県

リニューアル直後のため、直近の組織改編に関する記事に正しくリンクが張られているが、次回の組織改編時に404エラーページを忘れずメンテナンスできるのかが心配。

山梨県

表示された原因に対する対応方法の説明が簡潔かつ丁寧で好印象。無効なリンクを報告する方法が示されていないため満点ならず。

福井県

アドレス違いの原因として「数字の1とアルファベットのl(エル)が間違っている。」「半角ではなく全角の英数字が混じっている。」という入力文字(種別)の違いを挙げているのが独特。

石川県

404エラーのカスタムページが存在しない。ステータスコードは正しく404を返していたため0点を免れた。

富山県

「画面上部のキーワード検索、分野別案内、組織別案内、サイトマップから」と説明があるが、「分野別案内」「組織別案内」は言葉として見つからないので戸惑う。

新潟県

表示理由や行動提案が日本語だけでなく英語でも記されているのが特徴的。しかしながら、英文が404エラーではなく403エラーについて書かれているのが残念。

三重県

「ダメなALT」と考えられる画像

画像は犬の写真です。同じページ内にはこの写真のすぐ右にネコの写真もあります。そちらも同じく代替テキストは「左寄せパターン」になっています。犬の譲渡、猫の譲渡に関するコンテンツなので写真を置く意味はわかりますが、代替テキストにレイアウト情報(?)が入るというのは異質です。もし、三重県が導入しているCMSの仕様でこうなってしまっているのだとしたらすぐ改修してほしいです。

愛知県

「ダメなALT」と考えられる画像

女子中高生による理系大学・企業取材ツアーの紹介コンテンツ。5コース各20人の計100人が定員であることが画像からわかるのですが、それを集約した結果「バス100人」という日本語の助数詞の概念をも吹き飛ばした表現になってしまっています。

静岡県

「ダメなALT」と考えられる画像

代替テキストが「マイナンバー問合せ先」だけでは情報不足で、少なくとも「フリーダイヤル 0120-95-0178」は代替テキストとして表現すべきです。ですが、そもそも画像内の文字が小さく不鮮明なのでこの画像は使用されないことをおすすめします。大きな画像を改めて作成するぐらいなら、テキストで入力された方が、早くかつアクセシブルなので、ぜひテキストでの掲載をお願いします。

岐阜県

「ダメなALT」と考えられる画像

「ぎふの旅ガイド」が「岐阜の度ガイド」になっています。単なるケアレスミスと言いたいところですが「岐阜の旅ガイド」だったらいいかというとそうは思いません。「岐阜」は「ぎふ」にすべきではないかと思います。岐阜県の公式サイト自体の名称も「清流の国 ぎふ」となっていることもありますし、「岐阜」と「度」の両方を修正することをおすすめします。

長野県

「ダメなALT」と考えられる画像

長野県が文教大学と学生UIターン就職促進に関する協定を締結した際の様子を収めた写真です。ですが、そのことはテキストで記されていますので、どのような場面か、誰が何をしているところかなどを代替テキストで表現することがより望ましいです。いいaltの方も同じ「ほっとフォト信州」に収められた画像ですが、こちらのように場面が明確に示せるといいですね。

山梨県

「ダメなALT」と考えられる画像

画像の上の文字を「あぶない」と読むか「ぶいあな」と読むかはさておき、ブロック塀の点検に関するページへのリンクボタンとして用意されたものです。代替テキストは「注意喚起画像」。注意を喚起する目的の画像であることは確かですが、なぜ代替テキストになると急に役割を説明しだすのでしょうか。(「あぶない」が適切かは微妙ですが)画像に書かれたものと同じ文字を表現すればいいのではないかと感じます。

福井県

「ダメなALT」と考えられる画像

新着情報一覧のタイトルのすぐ横に、その記事のカテゴリを表す画像が付与されています。画像上には「医療・福祉」と書いてあるのですが代替テキストは「感染症・保健衛生」となっています。CMSから記事が登録されたカテゴリを自動で出力していると思われますが、画像の方が一つ上の階層を表示しているようです。「観光・文化」なのに「福井ブランド」、「県政情報」なのに「暮らし・経済」と混乱しています。

石川県

「ダメなALT」と考えられる画像

Instagramのテキストがそのまますべて(br要素も)代替テキストに収まっています。わりと衝撃的。

富山県

「ダメなALT」と考えられる画像

富山Uターンガイドという本体とは別デザインのサイトです。きれいにできているのですが、まさかの「検索」実行ボタンの代替テキストが空です。求職者向けと、企業担当者向けの2つの検索フォームが並んでいるのですがどちらの検索実行ボタンも同じようになっています。alt属性自体を付け忘れてしまったのではなく、属性値が空なのですが、何らかの意図があって行っているのでしょうか。

新潟県

「ダメなALT」と考えられる画像

画像上ではトップページを見た時点で緊急情報があることが判明しますが、代替テキストは「防災情報へリンク」と記されているため緊急情報の有無が判別できません。このことは本調査で長年指摘しているのですがいまだに解決されていない様子。ただし、以前は緊急情報があってもなくても「状態表示画像」という代替テキストでしたので、状況は改まりつつあるのかもしれません。