2024年11月1日 掲載
2023年7月3日掲載の当コラム『もはや情報弱者ではない』に、情報が音声で得られること、その手段が複数あることを書きました。今回のコラムはその続編です。
わたくし的平面情報:オンラインショッピング
「私は見えなくてもいろいろ知っています」と言える代表格は商品情報です。日用品や衣類など、現在店舗に出向くと並んでいるもののほとんどの情報を、見えなくても自力で知ることができます。
たとえば食器洗い洗剤がほしい場合、見えていたら店舗に出向いてその店舗が多く並べている商品の2、3をその場で見比べて買い物かごに入れるだろうと思います。しかし、見えない今はそれができませんから、ドラッグストアのECサイトでジャンルを絞って商品名を確かめ、いくつかのメーカーをピックアップし、メーカーの公式サイトの商品情報を熟読しています。
食器洗い洗剤は、同じ商品でも香りが数種類用意されていることはよく知られていると思います。しかし、商品情報をよく読むともっといろいろなことがわかります。商品名が同じでも液性が違ったり、野菜や果物が洗えるものとそうでないものがあったりすることがわかっておもしろいです。
また、私は商品情報だけでなく、商品名の表記を確認することも楽しんでいます。「きゅきゅっと」ってどこまでカタカナなのかなと考えながら確かめて、へぇー全部カタカナなのかぁとその表記を記憶するなどということがあります。
そして、散々商品情報を読んで楽しんだのちに、よし、「キュキュットクリア除菌」を買おうと決断してドラッグストアのECサイトに戻るのであります。再びECサイトを眺めると、今度は、本体は売られているけれど発売されているはずの詰替え用はない状況に遭遇することがあります。これも商品情報を熟読していたからこそ気づけることであり、こんなとき私は商品情報をくまなく読んだ自分をほめてやるのです。
とはいえ、これらのこと、ここに私がいて、店舗に何等かが売られていて、それがどのようなものでどれがほしくてこれを買おうという一連の作業は、点と点が結びついただけのことです。点と点が結ばれ直線をなすことから、私はこれらの情報を平面情報と呼んでいます。
わたくし的立体情報:乗換案内サイト
平面情報に対して立体情報と呼びたい情報があります。例を挙げると「乗換案内サイト」から得られるような情報です。
食器洗い洗剤に代表されるような「モノ」の情報は容易に得られるようになったのでした。これと同様に、行先の情報は得やすいと感じてきました。観光地やミュージアム、エンターテイメント情報などがそれです。
ところがです。情報が得られるわりには出向かない自分にも気づいていました。どうしたことでしょう。
おそらくですが、どこもかしこも遠いイメージがあったのだと思います。私が居住する静岡県三島市を起点にすると、東京と名古屋・大阪方面が東西逆方向にあるということや、東京までは新幹線こだまで1時間くらいという距離感がつかめているだけで、それ以外の行先は方面別にぼんやりと位置づいているというイメージです。
行先の情報にある「アクセス」のページを覗いてはふむふむと思ってそれだけで終わる日々。ある日、特別に行ってみようと思ったわけではないのだけれど、なんとなく気が向いてその行先の最寄り駅までを調べてみました。
するとどうでしょう。普通にGoogleの検索結果に所要時間が示されるではありませんか。検索結果をたどってみると、苦手だった「乗換案内サイト」がとっても見やすく調べやすくなっていることにも気づきました。
関心の薄さと苦手意識を大いに反省するところであります。現在は、行き先を訪ねずとも脳内で十分に旅行を楽しめるといった状況です。「結局、行かんのかい!」と自分に突っ込みながら、脳内であちこちを旅しています。
本当に3Dになれる日は近い?
いやあ、それにしても「乗換案内サイト」が使いやすくなってありがたいです。にわか鉄ちゃんです。「モノ」がわかり、「行程」「所要時間」「運賃」なんかがわかり、軸が幾方向にも増えてやっと3Dなのであります。
あとは、多分、デートピッカー。旅行サイトや宿泊予約サイト、鉄道のサイトなんかもそうかもしれませんが、実際に切符や宿の手配をするときの日付や時刻のデートピッカーがうまく操作できないものがあります。あそこが音声でうまく動くようになると完璧なんじゃないでしょうか。
見えない私の行動が本当に立体をなす日は近いと思われます。デートピッカーがまあまあ動くようになって、さらなる続編が掲載できる日が来ることを楽しみにしています。