ついでのアクセシビリティ

気が抜けない状況ではありますが、おそらく1波と2波の間にあると思われる今、芸能・音楽・ミュージアム関係者に告ぐ!ホントにちょっとしたついでのアクセシビリティのご提案です。

歌舞伎を観てみたくて

警鐘が鳴らされている通り、やはり2波は避けられないのではないかという不安が募ります。1波を振り返って思うことは、「また来るなら準備しておきたい」ということです。

以前から歌舞伎を観てみたくて、本年、ちょうど私の誕生日に出演者も演目も私の望みぴったりという機会に恵まれました。昨年末にチケット購入寸前までこぎつけたのですが、諸事情により叶いませんでした。

これまで歌舞伎を観られなかったのは?

これまで観たいと思いながら観られなかったわけは一言、単独で歌舞伎座に行くことが難しかったからです。どういうわけか、私の周辺に歌舞伎をいっしょに観てあげようという人がいなかったのです。見えていたら一人でじゃんじゃん出かけていたと思います。

一度、動画サイトで解説付きの演目を観ることができて大変感激しました。実際に観てみたいという思いは強くなりましたが、観劇に伴うさまざまな障壁を思うとこれはこれでとてもよいと思いました。

舞台上演が難しくなって

コンサートやミュージカルの上演も難しくなってしまって、無観客公演を動画で配信というニュースが聞こえてきました。演者のみなさんも観客のみなさんもライブでないことを残念に思う事態でしょうけれど、誤解を恐れずに言うと、見えなくてフットワークのよくない私は「いいね」とひそかに思ったのです。

見える見えないにかかわらず、望みを叶えるためにはさまざまな条件を整えてコトに当たるものです。しかし、そうは思っても見えない中で一つ一つ障壁を乗り越えていくのは苦労です。望むことはあっても、障壁の高いものほど後回しになり、なんとなくエネルギーが切れてやり損ねています。さまざまな障壁を乗り越えてまでという思いが頭をかすめます。

もしも何らかの配信をお考えでしたら

これまでライブで行ってきたことを、オンラインで配信しようという企てがありましたら、感染症への対応ついでに私のような気軽に出かけられない人の存在も片隅に置いていただけると幸いです。

つまり、感染症対応が新たなファン獲得につながるかもしれませんよというご提案です。

商業ベースで構いません。歌舞伎座に行くよりも簡単にコンテンツに到達できて、アクセシブルなコンテンツであれば、歌舞伎だけではなくミュージカルや各種コンサートもいろいろと観てみたいものです。

既存のコンテンツも使えそうです

たとえば、ミュージアムに関しては権利関係を上手に整えて「音声ガイド」を配信してみてはどうでしょう。元も子もないことを言えば、見えない私は展覧会に出向いても歩きながら音声ガイドを聴いているだけなのです。それでも、そこに価値があると考えています。

トーハクも科博も、もう私の足跡が着いているんじゃないかというくらい同じ会場を音声ガイド片手に歩き続けて幾年月……。こちらは歌舞伎と違って、ミュージアムが好きな人が私の周辺にいたことから、好む好まざるにかかわらず連れていかれることになってはまりました。

ですから、「友の会」的なものを音声ガイドストリーミング付きなんかにして高額で売ったらどうでしょう。ミュージアム側は固定費が確保できますし、観客は交通費考えたら多分安くなりますし、地方に住む人や障害者にはありがたいと思います。「密」も避けられますし、入場予約よりも簡単に人を捌けそうです。

変わるのか戻るのか

「新しい生活様式」とありますように、暮らし方にも働き方にも変容が求められています。私の周辺では、「変わらなければ」というよりは「できれば戻りたい」という動きの方が優勢のように感じます。

でも、せっかくですから変わってみませんか?変わらなければと強制されるのではなく、ついでにいろいろとプラスして変わってみようとか、変わっちゃえとかいう前向きな感じでやってみるのが吉だと思います。見えない私は、やっと世の中が私に寄ってきたかのような妄想の中で明るく生きています。