第1回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2018を終えて

今年も9月1日がやってまいりました。42歳にもなって、泣きながら(?)夏休みの宿題をやっとこさ終えたところです。

「入り口型サイト」の登場

今夏は酷暑でしたので、年々(読み上げ時間が)長くなる自治体サイトにおののきながらの調査開始でしたが、短いサイトというものも登場していました。具体的に言いますと、静岡県高知県のようなサイトです。少し前に神戸市が話題になったように記憶しています。「入り口型サイト」とでも名づけましょうか、トップページに多くの情報を持たせず、入り口としての役割を持たせたものです。見える人には画像でそのまちの雰囲気を伝えているのかもしれません。いいか悪いかと問われると、「別にいいんじゃない」と言うしかありませんが、音声ブラウザで閲覧したときの味気なさは否めません。来年あたりもう少しこうしたサイトが増えて、3、4年続いて減っていくのではないかと予想します。

タイムラインなるものの扱い

一方、おののく方のサイトというのは、TwitterやFacebookのタイムラインをトップに配するタイプのものです。こちらはピークが過ぎたのか減ってきた印象です。「百聞は一見にしかず」の逆ですが「百見は一聞にしかず」ですので、タイムラインご採用の都道府県、政令市のウェブマスターは、一度自分のところのトップページを音声ブラウザで聞いてみるといいです。最後まで聞くのがとってもつらいことがわかると思います。そして、次に東京都のトップページを同じように聞いてみてください。なるほどと思えるはずです。

カルーセルパネルって言うんですって

見える人たちはあまり気にならないと思いますが、音声ブラウザ利用者は「そうそう、あれウザいよね」と共感し合える部分が自治体サイトにはあります。見える人でも、音声ブラウザでの閲覧が可能な方は、都道府県から5つくらいランダムにトップページを聞いてみると気づくと思います。いくつかの画像が仕込まれていて、何秒ごとかに画像が変わる仕掛けになっているところです。これをカルーセルパネルって言うんですって。見えない人には写真は見えないんだからこれでいいじゃんと思うか、見えない上にウザい思いさせてごめんねと思うかはそのまちのウェブマスターのセンスですが、では、見える人に見てもらえているかということを考えるといかがでしょう。仕掛けからすると、画像の枚数 × 10秒(くらい?)トップページに滞在してもらわないと全部見てもらえないわけですよね。別に全部見てもらおうと思ってないしというのはそのまちのウェブマスターのセンスですが、一音声ブラウザ利用者としては、とっておきを一つ表示して適切なalt属性をつけてもらえたらなと思います。それを月ごとまたは季節ごとに変える方が、乙で粋というものです。

ウェブマスターに権限を

何かとウェブマスターのセンスのせいにしてきましたが、これらはウェブマスターに相当な権限がないとできませんね。あとは新しい地図じゃないけれど、Twitter担当、Facebook担当、インスタ担当、Youtube担当、ついでに音声ブラウザ担当(視覚障害1級の雇用になりますしね)……というように、それぞれの情報に専任できるような体制をつくることができると理想的です。とても大変なことなのでしょう。この巨大な組織の情報を日々束ねているみなさんに感謝します。

熊本市

「ダメなALT」と考えられる画像

熊本市には「ひごまるコール」というコールセンターがあります。その対応時間は画像では8時から20時、代替テキストでは8時から21時と差があります。他のページを見ることでどちらが正しそうか類推できるとは思いますが、速やかな修正が必要な部分と感じます。

福岡市

「ダメなALT」と考えられる画像

「福岡市LINE公式アカウント」の友だち数の数位を示したグラフです。記事の主題としては、本文に記載のとおり8月24日に100万人を突破したことだと思います。その参考として掲載されているグラフとは言え、代替テキストを「友だち数推移」だけにするのではなく、開始翌日に約10万人、開始一年で約32万人ということも代替テキストとして反映させることが望ましいでしょう。

北九州市

「ダメなALT」と考えられる画像

北九州市に来てもらう、住んでもらうためには他都市に対する優位性を打ち出すことが必要だと思います。この画像のように「子育てしやすい街 第1位」であることやここには挙げていませんが「オトナが住みたい街 第1位」であることもより伝わるようにすべきですが、どちらにも代替テキストがありません。大事なところだからこそ画像で強調したいはずです。であれば、代替テキストがいらないわけありません。

広島市

「ダメなALT」と考えられる画像

自治体サイトに広告が掲載されているケースは数多くあります。代替テキストという意味でいうと「広告:○○○○」(○○○○は社名・サービス名)が一般的でしょう。広島市では、広告代理店が広告枠の管理をしているようです。本来、広告募集中の枠にはその旨が記されるのですが、ここでは「株式会社ホープ」とあります。視覚的には広告募集中となっていながら、代替テキストとしては代理店自信の宣伝につながっていると考えられる状況と言えます。

岡山市

「ダメなALT」と考えられる画像

画像は、この調査結果ページに掲載する際に縮小したのではなく元々この大きさです。ですので代替テキストがどうということではなく、一部の文字しか読むことができません。そして、読むことができる文字以上に代替テキストとして表現されているという珍しい状況です。この画像を作成した方は、文字を読むことができるのでしょうか。

神戸市

「ダメなALT」と考えられる画像

親がこども2人を自転車に乗せているイラストです。「ひとり親家庭への支援」ページへの掲載ですので意味があるとも考えられるでしょうし、装飾であると見なして代替テキストを空にするのもありだと思います。神戸市ではそのどちらでもなく「 」(全角スペース)を用いています。どのような意図があるのか、どのような利用者にメリットがあるのか気になります。

堺市

「ダメなALT」と考えられる画像

窓口を示すイラストに対して「窓口のイラスト」という代替テキスト。何ら問題ないように思われるでしょう。ですが、このアイコンが「やさしいにほんご」のページであったら状況は変わると思いませんか。実際に、このアイコンが置かれているページでは、「窓口」という言葉ですら、「窓口(まどぐち)<手続き(てつづき)をするところ>」と説明しています。対象者の語彙・読解レベルに合わせたコンテンツということであれば、代替テキストであってもそうすべきと考えるのが自然ではないでしょうか。

大阪市

「ダメなALT」と考えられる画像

大阪市が発行する電子書籍の中の一つ「市民防災マニュアル」の表紙です。表紙をクリックすると電子書籍が閲覧できるようですが、この画像の代替テキストは空です。表紙画像下部にはテキストがありますがこのテキストにはリンクが設定されていません。代替テキストをこのままにするのであれば、テキストをリンク範囲に含めるという手法もあるので検討されるとよいでしょう。

京都市

「ダメなALT」と考えられる画像

「ブロック塀等の除去工事の費用に対する助成制度はこちらから」と明確な意味を持ったリンク画像ですので、この場合の代替テキストは画像上の文字列と同じにすべきだと考えます。現在の代替テキストは、「 」(全角スペース)です。ここに、どのような意図があるのか、どのような利用者にメリットがあると考えているのか気になります。