「お前んとこもか、お前んとこもか・・・。」とつぶやきながら、4月1日の年度始めを迎えた。巡回サイトのいくつかがリニューアルされたのだ。アク セシビリティを意識したり、単なるイメチェンだったりといろいろだが、どちらにしても、私にとっては覚え直しにほかならない。
まちのユニバーサルデザインにおいても同様のことが言える。誰かにとってのバリアや、時には自分にとってのバリアも、それまではランドマークにし て行動していることが多い。それが、突然「ユニバーサルデザインの駅前広場に変わりました」などといって、すっかりバリアが取り払われたところで、それは そうなのだが、その使いやすさを頭に叩き込むことは、意外と苦労なのである。「それじゃあ、どうしたらいいんだ?!」ということになってしまうので、そ りゃあ、がんばって覚え直しますよということにして、それでも、「こりゃ、ないっしょ!!」というところを、きっちりつついていきたいと思う。
自治体マニアの我が社なので、年度始め、自治体サイトをざっとチェックさせていただいた。「おうっ、フルCSSだ」という情報を聞きつけて、閲覧 してみることにした。とはいえ、音声ブラウザ利用の私にとっては、そのサイトがCSSであるかどうかの違いを知る術はなく、つまりは、それがどうしたくら いのことではあるのだが、それでも、私にも感じられる変化として、見出し要素(などの構造に関する記述)がついて、情報把握の手がかりが増えてくれただろ うということを期待するのは自然だ。ところが、そのサイトは私を違いがわかる女にはしてくれなかったのである。なぜだ?何のためにCSSにしたのだ?
このご時世、自治体サイトのリニューアルにおいて、アクセシビリティを意識しない自治体はないと思う。CSSの導入(やレイアウトのための TABLE要素の廃止)など、ウェブコンテンツJIS(JIS X8341-3)を意識しての最たるものであろう。そこで、「CSSありき」になってしまうことは悲しい。この場合「文書構造ありき」であるべきである。 何らかの指針をたよりにサイト制作をすることは重要だが、そのままなぞるのは危険である。そのことが何を意味するのか、そうすることで、どう有効となるの かを理解した上での実装を願う。