第85回 携帯サイトの制作者たち (2010年2月1日掲載)
昨年末に、携帯サイトを制作する方から視覚障害者の携帯サイト利用事情について質問をいただいた。時を同じくして、やはり同業の方から携帯サイトのアクセシビリティについてのご意見をいただいた。ほとんど引きこもり状態で仕事をしている私にとって、向こうからのご質問やご意見をいただくということは稀なので、ただいまの私にとって携帯サイトは熱いのだ。
とはいうものの、その質問に有益なお答えができたわけでも、そのご意見を有効活用できたわけでもない。なぜだ?それは、私が携帯サイトなるものを活用していないからだ。なぜ活用しないのだ?その必要が今のところないからだ。 必要がないと、視覚障害者における携帯サイトを切り捨てているわけではない。そこのところを今回は述べてみようと思う。
まず、視覚障害者の携帯サイト利用事情について。私が視覚障害者と触れ合って感じるところでは、携帯電話そのものの所持率は非常に高くなってきている。電話の機能、メールくらいまでは利用しているようだ。人前でも電話やメールをすることが多いので、利用している事実を認めることができた。また、使い方の伝授なども視覚障害者のコミュニティの中で行われることが多いので、それらを利用していること、また利用したいと思っていることもよくわかる。
さて、今熱い携帯サイトについてはどうかというと、私は利用しておらず、仲間内でも積極的に利用しているという話や、利用の仕方を知りたいという話は特にない。私の仲間内というのが高齢であったり、環境が田舎であったりというところも影響しているかもしれないが、PCでのサイト閲覧と比べて、携帯サイト閲覧の話題はさっぱりといってよい。ただ、私がPCサイトでわかりにくいという部分に関して、「そういう場合は携帯サイトの方が便利だよ。」というアドバイスはいくつかいただいたことがある。そうした意見をくださるのは、コンピュータやメカに長けた方なので、そういう方々には携帯サイトが利用されているのかもしれない。
次に、本題の切り捨てているわけではないが利用しない理由について。電話やメールは利用しているようだと前述した。その事実を認めることができたからだ。携帯サイトについては利用の事実を認めることができない。そう、PCにしても携帯にしても、サイト閲覧というのはあまり人前や人々が集う場では行わない。では、人々はどのような場で携帯サイトを閲覧するのだろう。ちょっとした待ち時間が多いのではないだろうか。そのちょっとした待ち時間というのが私にはない。実際はある。けれど、それは携帯サイトをいじる時間にはならない。私たち視覚障害者は家から一歩外へ踏み出した途端に緊張状態になる。一歩一歩に注意が必要だし、乗り物を待つにも人を待つにもぼんやりできない。耳は目のようにキョロキョロできないものだから、なんとなく時間つぶしに携帯サイトという雰囲気にならないのが現状なのではないかと思う。私はそうだ。
しかし、携帯サイトの制作というのは、PCサイトの制作よりも対象者を意識して制作しようとすることが多いようだ。端末そのものに制限があるためかもしれないが、そうした意識のはたらかせ方はPCサイトの制作の場にも活かしたい。このたびのご質問やご意見を受けて、携帯サイトの制作者たちの対象者を意識して制作する姿勢に感激した。このことを、みなさんにぜひお伝えしたいと思った。どんなサイトだったら携帯を利用する?という質問があるとすれば、私は電車やバスの時刻表がわかりやすいものであるとうれしい。特に、最寄のバス停の時刻表がわかりやすいと最高である。