第45回 勝手にサイト診断6 イー・トレード証券 (2006年11月1日掲載)
そこまで自腹を切る必要があるだろうかと悩んだが、尽きない興味を満たすためには立ち向かわねばならぬ。このたびおじゃましたのは『オンライントレード イー・トレード証券』。

「ライブドアショック」とか、「ミクシィ上場」とか、一応IT業界に身を置く人間としてはちょっと気になる。私の実家の目の前は某証券会社があって、ロマンスグレーのオジサマ方が通ってくるのを、見えていたころはよく目にしたが、今はロマンスグレー層だけの世界ではないらしい。デイトレードで3億円などという若者も登場した。となると、ナニナニ?デイトレードってナニ?となってしまうではないか。「見えないから無理だよ。」などと言われると、ムカッとするではないか。だから、挑戦してみました、自腹を切って。
登録と口座への入金は、信用できる者の手で行ってもらった。あとは、「ユーザーネーム」と「パスワード」と「取引パスワード」の3つを記憶しておこう。いざ、購入となっても、その銘柄のその株価は高いのか安いのかがさっぱりわからない。せいぜい、「前日終値」と「年初来高値」と「年初来安値」から推測するしかない。そんな適当な情報のみで私が有価証券購入に至るはずはなく、かなりローテクではあったが、気になる銘柄の終値を10日ほどメモして、ここ数日の底値を自分なりに判断して購入した。つまり、チャートというものが視覚的に得られないところが、音声ブラウザ利用者のつらいところということだ。(後に、ヤフーファイナンスのチャートの時系列というところを見ると、私の求めている情報がまとめてあることがわかった。)
「購入した」とひと言で言ったが、ひどく緊張した。いつかのジェイコムの誤注文報道が頭をよぎる。注文フォームを確かめたところ、音声ブラウザでも何とかできそうな感触は得ていたので、株数(もちろん最低単元株数)と指値を間違えずに記入することに集中した。だが、見つけておいたはずの指値の記入フォームが見つからない。あれ~?おかしいなあ・・・などとやっているうちに、株価は分速というか秒速で推移してしまう。あれよあれよという間に10円くらい上がってしまい、「10円で100株だから1,000円じゃ~ん!」と涙目になりながら格闘。
それでも、何とか約定。抜け目ない私は、約定通知をケータイメールでいただくように設定しておいたので、「ピロロピロロ、ピロロピロロ」と鳴り響くケータイを握り締めて、勤務中にもかかわらず少し興奮した。社長の冷たい視線を感じなかったわけではないが、「コラムのネタです。」と言っておいた。

そうそう、現在値で指していても買えないことがある。そのあたりを理解するのに「気配」は助けになると思うが、これを音声ブラウザで理解するのは少し難しい。だからといって、ほかに適当な表現方法も思いつかない。株独特の用語の理解とともに、サイトの側ではなく、音声ブラウザ利用者の側が知識を深める必要がある部分だと感じた。
このような調子で売り買いを1週間かけて3往復(3銘柄)してみた。幸い、どれもマイナスにはならなくて、14,325円増えていた。しかし、30年間生きてきた中で、宝くじすら買ったことのない私にとっては、精神的疲弊は甚だしい。見えなくても、音声ブラウザでもオンライントレードは可能でしたという報告をもって手仕舞いとしたい。
別件だが、このコラムはよく読むけれど「清家やすよ」実物に会ったことがないという方がちらほらいらして、「本当に実在するのか?」と怪しまれているとのことなので、いつかどこかでお会いすることがあって、「やすよさん、『アクセシビリティコラム』読んでます。」と言ってくださった方には、14,325円がなくなるまで、もれなくドトールコーヒーをおごってあげます。