第43回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2006を終えて(下) (2006年9月15日掲載)
「上」と書いてしまった手前、「下」を書くことを余儀なくされている。
毎年のように感じる憤りは「上」の方である程度伝えられたとして、「下」においては、2006年ならではの事項を取り上げたい。昨年もちらほら耳にしてはいたが、今年ぐっと増えたのは「バナー広告」である。そんなご時世ということで、バナー広告そのものについては特に言及するつもりはないのだが、その表示の仕方についてはみんなで考えていく必要があるのではないかと思う。
せっかくの47都道府県の横並び調査なので、バナー広告の取り扱いについて事例を挙げて紹介しよう。
多くの自治体は『バナー広告について』などというコンテンツを設け、説明をし、いくつかのバナーが登場するという形をとっていた。その中で特徴的だったのは、
- バナー広告部分を不可視のリンクで読み飛ばさせる設定がされているタイプ(三重県)
- バナー広告に空白のALT属性を設定しているタイプ(大阪府)
- (私にはALT属性の付け忘れかなあと感じられたのだが)
広告管理用URLを設定しているタイプ(高知県)
などがあった。目で読み飛ばすのと耳で読み飛ばすのとではずい分違いがあることはわかっていただけると思うし、それゆえの配慮であると思われるが、見ようと思ったわけではないけれどつい目に入ることが広告主の思惑であることを考えると、聞こうと思ったわけではないけれどつい耳に入るようになっていないと何だか悪い気がしてしまった。実に悩ましいが、一訪問者、一利用者としての私は、いくらか耳障りであってもバナー広告を受け入れる用意があることを伝えておきたい。広告の特性から、音声ブラウザ利用者にとっては、サイトの内容把握に支障のある位置にバナー広告を設置しなければならない場合もあるだろう。このあたりのことは、設置する側は熟考の上いたしかたなしと思える設置にすること、音声ブラウザ利用者は近ごろの自治体サイトにはバナー広告が付き始めたという認識を持つことで歩み寄れるとうれしい。
ただ、横浜市のように広告の数が多く、できるだけ関連コンテンツに付随させようという形でバナー広告を表示させようとすると、音声ブラウザ利用者の認識を越えてしまうかもしれないと感じた。
観光情報や都道府県に関連する外部機関のサイトへのリンクと並べて表示させる場合(情報設計を考えると確かにそのあたりに置きたくなる。和歌山県がそのタイプに当てはまるように感じた。)も、コンテンツと広告の別を理解させる必要が出てくるかもしれない。
だからといって、これがベストという答えを出すことはできず、ひたすら悩ましい。こうした新しい取り組みは、あれこれやってみてどうかしらと確かめながら修正するのがよいのではないかと思う。
自治体サイトにみられる新しい取り組みに、RSSやQRコードなどもある。これらも職員は率先して使ってみること、そして、不備に気づいたらすぐに直せるフットワークのよさが求められる。RSSやQRコードなどと言われても、よくわからないという利用者はまだまだ多い。自治体サイトがせっかく取り入れた機能であるのならば、わかりやすい形で提供し、わからずにいた利用者が自治体サイトでその機能を知り、ほかのサイトを訪れたときに応用できるような、そんな教育的な役割を持つ自治体サイトになれたら素敵だと思う。