第31回 JISやさしい寸評(1) 文書の構造 (2005年10月3日掲載)

Webサイトにおける文書構造の重要性を感じ始めたのはここ1、2年のことのように思う。私は中途失明者なので、文書構造そのものについての理解はあったし、点字文書やデジタル録音図書のつくりからしても、視覚障害者全体にその知識はあるだろうと感じている。しかし、情報がWebページになると、急にその意識が薄れていた。基本的に、私はWebサイトの制作に関しては素人であったので、Webページにおける「文書構造の記述」が存在することなど知らず、とにかく、そうしたことは視覚的なアクセント、インパクトで済ませているのだろうという感覚でいた。

スクリーンリーダーを用いて閲覧していたときは、情報の読み上げが可能ということに大感激で、アクセシビリティなどに意識が向かなかったわけだが、今、振り返ったり検証してみたりすると、実に平坦な情報に思える。とりあえず、Webページ上の情報を読み上げ、リンク設定箇所とそうでない部分の違いはわかるという感じだ。ここで音声ブラウザの導入となるが、「フレームの切り替えが楽だな。」という感想をもつくらいで、特に大きな変化は感じられなかった。しかし、これからのWebサイトの閲覧には、スクリーンリーダーではなく音声ブラウザにしようと決心した記憶があるので、それだけでも魅力だったのかもしれない。

音声ブラウザでの閲覧を続ける中で、ちょっとした効果音とともにゆっくり読み上げるところがあるということに気づいた。だが、それは、私に便利さを感じさせるような動作ではなかったので、そこに問題意識や好奇心がわかない時期がしばらく続いた。ユニバーサルワークスのアクセシビリティアナリストとして、できるだけ「普通の」利用者でいようというのが当社の方針であるので、ブラウザの使用や機能については、私自身の欲求が高まるまでは誰もアドバイスしないことになっている。しかし、ブログが流行り出して、いくつか閲覧するうちに、例の「効果音」と「ゆっくり読み上げ」が異様に耳に障るようになってきた。これは何だろうという疑問が発生し、やっと、Webページにおける文書構造というものを知った次第である。

知ってみれば、これは便利だと強く感じるようになった。視覚に代わる手がかりがひとつ増えるということになる。情報に強弱というか、凹凸というか、ちょっとしたリズムが生まれてわかりやすい。詳しいことはわからないが、HTMLの記述においても正しいらしく、それならなおのこと、理に適っているではないかと思った。特殊なテクニックを身につけなければアクセシブルなサイトができないなんてばかばかしいし、利用者としてもそこまで望みたくない。

「ほら、テキストちゃんと読むでしょ。」「ねっ、リンク設定箇所は声色が変わるのよ。」「でね、でね、この見出しの読み上げっつーのをさせてみると〜。あら不思議!」と、テレビショッピングのオバチャンのように大興奮できそうだ。

5. 開発及び制作に関する個別要件
5.2 構造及び表示スタイル
a) ウェブコンテンツは,見出し,段落,リストなどの要素を用いて文書の構造を規定しなければならない。