第9回 とんちんかんなスキップ (2004年3月1日掲載)
JIS素案の中にもうたわれている、『共通に使われるナビゲーションなどのためのリンクやメニューは,読み飛ばせるようにすることが望ましい』の機能を、私はとても便利に思いながら使用している。しかし、先日あるサイトで、たいへんとんちんかんな使い方をしているのを見つけてしまった。
トップページを閲覧中に、いわゆる“スキップボタン”を発見し、おおっ、アクセシビリティに配慮してつくってくれているなとうれしくなった。
しかし、いつもとは様子が違う。“スキップボタン”の設定というのは、上記のJIS素案にあるように、通常は、グローバルナビゲーションを読み飛ばすためのものである。
したがって、トップページの場合は、『新着情報』や『更新履歴』などの頭出しをすることが多い。ところが、そのサイトは、新着情報を読み飛ばして、グローバルナビゲーションの頭出しをしていたのである。
何だかなあとは思ったが、この情報発信者(制作者)は、「ここはサイトのトップページだから、ページの本文は何と言ってもグローバルナビゲーションなのだ!」と、主張したいのだろうと思い直し、それでよしとした。
そして、そこまで主張したいコンテンツとは、いかなるものか(いかなるつくりか)と、楽しみにエンターキーを押す私である。
ほうほう、ここにも“スキップボタン”ねと、エンターキーを押す・・・、
本文へジャンプしたなと、ホッとしたのは束の間のこと。
意地悪な私は、職業柄、何を読み飛ばしたかを調査にかかったのが悪かった。何をスキップしてくれていたかって、『パンくずリスト』だったのだ。そう、それだけ。行数にしてたったの2行。むしろ、私は聴きたかったぞと思わせる内容。平屋にエレベータをつけてしまったような、「ホップ、ステップ、ちょっとスキップ」と言いたくなるような・・・、
愕然とした。トップページの違和感は、勘違いではなく、やはり違和感だったのだと実感させられた。
基準を設けても、その項目の意味するところを取り違えてしまうと、大変なことになることを示すよい例である。制作者の満足が、利用者の不安につながらないことを切に願う。
(参考)JIS素案:高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器・ソフトウェア・サービス 第三部:ウェブコンテンツ