第5回 とびっきりのテスター (2003年11月1日掲載)
私は、ユニバーサルワークスに唯一常勤するテスターである。
「アクセシビリティアナリスト」という格好のよい肩書きで、とびっきりのテスターであると無理矢理自負している。今回は、そのとびっきりぶりを紹介してみようと思う。
とびっきりのテスターへの道はそれほど長くはなかったし、難しくもなかった。
つまりは、「偶然の産物」であったわけだが、これは、つくろうと思ってつくれるものではないようだ。
アクセシビリティアナリストの仕事は、簡単に言うと、「webサイトの間違い探し」である。その間違いが間違いであると断言するためには、間違いと感じることが、私のスキル不足によるものでないこと、それから、音声化ソフトの限界によるものでもないことを、見極めなければならない。私にその能力が備わったのは、失明後の生活の中に、インターネットが自然に存在したからだと思う。とにかく、失明後の私はインターネットに触れるたびに腹を立てていた。「ここが読めない、あそこがわからない・・・。」と、毎日いらいらした。
そこに、パートナーの登場である。原因を究明する作業が始まる。
「あなたの操作が悪い。」とか、「ソフトの設定を変えることで対応できる。」とか続けるうちに、私はwebサイトの間違い探しが上手になってしまったのである。
ところが、恐ろしいことは、パートナーが、この「偶然の産物」を商品に商売を始めてしまったことである。ひらめきや偶然が大商品に発展したという話は聞かないわけではないが、非常に稀なことである。であるから、私が「偶然の産物」であるならば、この商売の成功は難しい。しかしながら、いくらか成功してくれないと食っていくことができない。というわけで、私は「偶然の産物」ではないということにした。ということは、私はパートナーによって、巧妙に操作されているというわけである。
私のスキルが不足していることが判明すれば、あるレベルまでグーッとスキルアップを強いられる。反対に、あれこれ興味や関心を抱くと、場合によってはインターネットを取り上げられ、または、「そんなことは知らなくてよい!」と恫喝される。ある程度のスキルは保ちたいが、あまりに高いスキルを持つことで、不便を乗り越えられるようになってもいけない。この微妙な位置を保つことは結構難しい。
会社設立時に、私が「偶然備わっていた」と感じた能力は、実は、パートナーによって、意図的につくられていたわけである。つくろうと思ってつくることができる環境にあり、私はアクセシビリティアナリストである前から、「アクセシビリティアナリスト」になるべく、労働していたわけである。ナヌッ?と私は思う。今後の報酬に期待したい。
頼むよ、社長!