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アクセシビリティコラム

第92回 音声ブラウザ第一世代

音声ブラウザの発売とインターネットの普及などを総合して考えると、今、PCを日常的に使用している我々視覚障害者を「音声ブラウザ第一世代」と呼んでよいと思う。パイオニア的な存在は貴重である一方、二次被害というか副作用というか、弊害というものがわからず、毒味をする立場ともいえる。

私の場合で言うと、毎日、合成音声のシャワーを浴びているような状態だ。それは、朝のメールチェックから始まる。常時5つのメールアカウントを属性により使い分けているが、そのうち2つは崩壊している。毎日200通前後の迷惑メールが届く。メールサーバーやメーラーの設定で排除できるようだが、万が一誰かからの大切なメールが迷惑フォルダに入ってしまったらと思うとどうしても一つ一つをチェックせざるを得ない。毎日同じタイトル、しかも美しくない文言のものを聞き続けるのはどうかと思う。おばあさんになって、思考に障害が生じて、その美しくない文言をつぶやき続けてしまったらどうしようと真剣に悩んでいる。2ちゃんねるの閲覧なども同様で、特定の板を何の目的もなくだらだら聞いていることが多い。こちらは私が望んで閲覧しているのだから文句の言いようはないが、あるジャンルの今を知るにはもってこいというところがあるのでやめられない。すると、やはり聞き飛ばせないものだからあまり美しくない文言を望まずして耳にするという状況が生まれる。こちらも老後のつぶやきにつながるのではないかと心配している。

あとは、単純に耳の疲労が耳の障害につながらないだろうかという心配だ。音声ブラウザ・スクリーンリーダーと、FM・ラジオ、音訳図書、各種生音と耳が休む暇などまったくない日々の中で、私の耳は将来的に大丈夫であろうかと心配している。

これは、たまたま聞いていたテレビ番組の情報だが、手書きとタイピングでは脳の活性化する場所が違うとのことで、手書きの方がよいというようなことを言っていた。PCの普及を受けての警鐘だろうけれど、点字を打つ場合はどうかも合わせて研究してほしいものだ。同じように、音声ブラウザを聞き続けるとどんなことが起こるのか、生の体験だけではなく、脳波かなにかを調べてわかるようならば研究していただきたい。でも、「おばあさんになったらつぶやきつづけるでしょう。」という結果が出たら怖いので、やはり人柱になってがんばった方がよいかしら。私がおばあさんになって、あまり美しくない文言をつぶやき続けていたら、それは、この価値ある(?)仕事の弊害だということを忘れないでください。私の人間性の問題ではない旨、くれぐれもご理解ください。

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