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アクセシビリティコラム

第90回 読書環境

私は見えていたときからわりと読書が好きな人間だが、視覚障害者というのは読書好きな人間が多いような気がする。そのせいか、私たちの読書環境とい うのは配慮してもらいやすいジャンルのようだ。テレビ・ラジオ・インターネット・書籍というのは、私たちが日常生活を送ったり、娯楽を堪能したりに必要な 情報を提供してくれるメディアだ。その中で、書籍が私の耳に届くまでを紹介したいと思う。

と言いながら、実はあまり今風に読書を堪能しているわけではないのだけれど、いろいろとすごいことになってきている。書籍は主に、点訳図書と、点 訳データと、音訳図書と、音訳データという形で私たちに提供されている。それらは、全国に点在する点字図書館などとよばれる施設に所蔵されている。私たち 視覚障害者は、その点在する点字図書館のいずれかに所属し、所属図書館を経由して全国どこの施設からでも希望に応じて書籍を借りることができる。

点訳図書や音訳図書を借りる場合

  • 所属図書館に電話をして郵送していただく。返却も郵送。
  • 登録制のWebサイト『サピエ』にログインし、オンラインでリクエストする。
    待っていると所属図書館を経由して郵送で届く。返却も郵送。

点訳データを取得する場合

  • 所属図書館に問い合わせ、フロッピーで郵送していただく。
  • 登録制のWebサイト『サピエ』からダウンロードする。
    (私はあまり利用しないのでよくわからないが、点字ディスプレイを使用している視覚障害者や、テキストデータで検索をしながら読み進めたい人に便利らしい。ちなみに、点字データなのでカナによるテキストデータ。)

音訳データを取得する場合

  • 登録制のWebサイト『びぶりおネット』(もうすぐ『サピエ』に統合)にログインし、インターネットストリーミングの形で聴取する。専用のアプリケーションソフトが必要。
  • 登録制のWebサイト『びぶりおネット』(もうすぐ『サピエ』に統合)にログインし、音訳データをダウンロードする。専用のアプリケーションソフトが必要。

簡単に説明をするとこのような感じになっている。10年前に失明し、点訳なり音訳なりの書籍に出会ったときには、インターネットでデータをダウンロードするなどということはなかった。この10年で進歩したところだと思う。

しかし、これだけコンピュータに触れる日々の私も、まだダウンロードというのを積極的に行えていない。専用のアプリケーションソフトや機材(再生機、視覚障害者版iPodみたいなやつ、ちょっと違うか?)を購入してみたが、まだ箱を開けていない。使えれば便利だろうし、やってみたい気持ちはあるのだけれど、なんとなく追いついていない。

そのような中でふと思うのは、登録制のWebサイト『サピエ』に、視覚障害者はたどりつけているだろうかということ。冒頭で配慮されやすいジャン ルと申し上げたのは、この『サピエ』なるサイトは前身となるものを含め、改善・改良のためにがんばってくださる人がいたり、助成金がつけてもらえたりしているから。サイトのリニューアルのたびに必ずよくなるわけではなかったので気に入らないこともあったけれど、『サピエ』ができてからはまあまあで、使わざるを得ないこともありいつも注目はしている。でも、みんなが使えているかは疑問だ。

そろそろ視覚障害者、音声ブラウザ利用者側の教育が必要になっている段階なので、まずは『サピエ』を使ってみようというテーマで教育活動をしていくのはよいことのように思う。だけど、できることが増えてきて、便利な人には便利だけど、初心者にはよくわからずという感じも否めない。我々、視覚障害者も格差社会なんだなあと感じる真夏の日。

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