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アクセシビリティコラム

第76回 支援ツール

見えないというのは実にお金がかかるものだという事態がこのところ続いている。決して贅沢をしているということではない。かといって、節約の範疇にもないものだから困る。一応、日本は福祉国家であるので、いくらかの助けはしてくれるのだが十分とは言えない。働かねばと毎日思う。

福祉国家日本の助けの一つに日常生活用具の助成なるものがあって、近ごろは私の利用している音声化ソフトなども対象品目になっているようだ。しか し、収入額によっては負担額も結構なものになったり、買い替えとかバージョンアップとかには対応してもらえなかったりと、結局お金がかかることが多い。私 のように商売道具でなければ、型落ち製品を延々使用し続けることは少なくないと思う。

以前紹介したネットリーダーという音声ブラウザは3万円である。その前に購入したホームページリーダーは1万5千円で、その購入時に助成していただいたので、ネットリーダーは自腹を切るしかない。私は会社で買ってもらえたけれど、そうでなければ私のお財布から捻出しなければならない。いつも遠回しにお伝えしているが、日本の音声ブラウザのクオリティは低い。「これでどうだ!」という自信作一品提供いただくか、新製品に躊躇なく挑戦できる経済的支援を望む。それが贅沢と言われればそうかもしれないが、とりあえず、今回は必需品ということで話を進める。

この仕事を始めたころ、つまり約6年前くらいには、既に自治体サイトに支援ツールなるものがちらほら設定されていた。その後、年を経るにつれてその数は加速度的に増えた。そんなものを付けてもどうしようもないサイトにばかり付いているような有様に閉口したものだ。そのうち、よくわからなかったその支援ツールの導入価格がなんとなく私の耳にも伝わってきて、私の腰は危うく抜けそうになった。自治体はものすごくお金持ちか、騙されて無駄遣いしてしまっているかのどちらかとしか思えなかった。「そのお金、そっくりそのまま私にくだされば、我が社で結構いいサイト作れまっせ。」とずっと思っていた。思ったけれど黙っている。黙っていたら、おもしろい流れが聞こえてきた。支援ツールをあえて入れないというこだわりを持った自治体や、仕様には支援ツール導入が掲げられていたけれど取りやめたケースなどが出てきたのだ。どうやら無駄遣いに気づいたらしい。

私は、支援ツールが十分機能するサイトがゼロではないという意味では、導入が必ずしも無駄遣いではないと思う。しかし、音声支援だの文字拡大だのコントラスト変更だのというのが必要な人というのは、既に個人でその環境を持っていることが多い。だから、わざわざ大金をかけてサイトの方にその仕組みを設定しておく必要はあまりないと思う。その大金は、極々わずかなそれをどうしても必要とはしていない訪問者と、自治体の何もしていないのに大層なことをやってのけた感に使用されたということになる。もったいない。

自治体は、支援ツールを導入する経済的余裕があるのならば、その予算をそれを必要とする人の個人的な環境設定に当ててもらえたらと思う。3万円の音声ブラウザを必要な人に配布する額と、支援ツール導入、維持に必要な価格を比較して検討するというのはいかがでしょう。いや、ブラウザの配布などできないのはわかっているので、支援ツールの見積り額、または導入や維持に実際かかっている額など差しつかえなければ教えていただきたい。支援ツールの種類はいろいろだが、価格が公表されているものの概算ではとてつもなく高額なのだが…。

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