「みんな」が使えるWebサイトへ

アクセシビリティコラム

第58回 メディアとユーザの間 2 ~ユーザの現状~

私たち見えない人間は、スクリーンリーダーや音声ブラウザを利用してコンピュータを操作し、Webサイトを閲覧している。PC自体はみなさんが日常的に使用している一般の機種で構わない。それに、上記のものをインストールしてやるだけで基本的には設定完了である。

よく、

「あなたはプライベートでもビジネスでもコンピュータを上手に使えているようだから、その使い方を同じような立場の人に教えてもらえませんか?」

という依頼をいただく。

ユニバーサルワークスの目的は「みんなが使えるWebサイトを目指そうよ。」ということで、音声化ソフトに特化した何かをつくっているわけではないのだが、目的を明らかにするために、見えない私が耳で聞くWebサイト云々の話で前へ前へと出てしまうので、このような依頼が舞い込むのだと思う。それ はそれとして、見えない人がひとりでも多くWebサイトを利用できるようになることは、その人自身の喜びになるだろうから私も喜ばしい。そして、それは巡 り巡って我が社のビジネスの拡大につながるだろうから、さらにうれしい。

でも、私は見えない人にコンピュータ操作、Webサイト閲覧のための教育をつけてやろうという行動に出ることがどうしてもできない。自分がしてきたように相手を導いてやればよいのだとは思う。突き当たった問題は突き当たる前にアドバイスしてやることもできなくはないだろう。しかし、そうしてなるべくショートカットコースで教育方法を練ってみても、その道のりは果てしなく長く感じる。だから、簡単に言ってしまえば面倒くさくなってやめてしまっている。

「どうして?あなたが日々やっていることを教えてあげてと言っているだけなのよ。」というような、依頼者の非難の気持ちが混ざった反応を聞きながら、私もどうしてできないのかしらと考え込んでいる。そして、考えた末、見えないといってもさまざまなタイプの見えない人に対して、根気よく教育をつけるのが難しいからではないかと思った。そう、「根気よく」取り組まないとある程度のレベル、コンピュータの電源を入れるのが楽しくなるレベルに達することができないということを知ってしまっているからではないだろうか。私はできた。たまたまその環境が整ったからできた。でも、その環境が整わない人に環境を整えてやることは現状ではとても難しいような気がする。

では、その環境とは何か。見える見えないにかかわらずたくさんある。PCと音声化ソフトの選定、インストールなどの設定、コンピュータ周りのトラブルへの対応、基本的な操作方法、応用を利かせたテクニック……。順番にやっていけばできなくはなさそうなのだけれど、「応用を利かせたテクニック」あたりになると、言葉では説明しきれない。でも、ここに根気よく取り組まないと楽しくなれない。いや、テクニカルなことは何もわからない私が楽しめる程度のテクニックなので大したことはないのだが、それでも、経験で身についていくことを教示するのは難しい。

どうしたら難しくなくなるのか。経験などにものを言わせなければよいのだ。私たちユーザにとってもう一歩普遍的な環境が整えばよい。そのひとつが『ブラウザの成熟』ではないかと思う。ということで、次回は一応本題のブラウザの成熟について思うことを掲載したい。

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