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アクセシビリティコラム

第26回 聞き分けのよい中堅盲人

以前、『交信 ~すばらしきかな電子メール~』 で、中途失明者の点字についてお話した。そこで述べたように、私は点字があまり得意でなく、日常的にもほとんど利用していないのだが、点字を捨てきれない 状況がひとつだけある。たとえば、誰かの話を聴きながら、要旨をメモするというようなときである。これを、いつものようにコンピュータでしようとすると、 話し手の声と、コンピュータの合成音声が重なり、なかなか難しい。

私は今年の頭に失明5周年を迎え、現在6年目の中堅盲人?になった。以前と比べると、視覚以外の感覚器が敏感になったと感じることが多々ある。見 えなくなった直後は、民放のテレビを聴いていることができなかった。朝はフジテレビの『めざましテレビ』がお気に入りであったが、見えなくなった途端に聴 かなくなった。司会者の会話(かけあい)についていけず、人の声と効果音とBGMが同じレベルで耳に飛び込んできて、内容把握ができなかった。

同様のことは日常生活でも起こった。さまざまな雑音(車の走る音や鳥の声など)が、聴き取りたいと思っている音や音声と同レベルに聞こえてきて 困ったし、また、見えているときは適当に聞き流していたらしい音や音声までも一生懸命に聴いてしまうようになって、疲労することもあった。耳が慣れてし まっているだけで、本当は店内のBGMは大変うるさい。電気屋に入ったときなど、耳を覆ってうずくまりたくなったものだ。

しかし、中堅盲人になった今は、さまざまな音を自然に聞き分け、注目すべき音を聴き取ることが上手になった。だが、そうはいっても、Webサイト のBGMは耳障りである。制御できれば、アクセシビリティの観点で問題はないが、私が不思議に思うのは、音声ブラウザを利用しているであろう視覚障害者が 発信者であるサイトに、このような仕掛けがされていることがあることだ。自分のサイトを確認するときに耳障りでないのだろうか?

それとも、10年20年と時間が経ち、ベテラン盲人になるころには、それくらいの音の識別は障りにならなくなるのだろうか?

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