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アクセシビリティコラム

第23回 私の大失敗

3年半もの長きに渡り、私は小さな失敗を数え切れないほど繰り返していた。そのことに気づいて、問題は解決し、便利さを手に入れることはできたもの の、あまりにもマヌケな自分を思わずにはおれず落胆した。

ないーぶネット検索結果

これは、視覚障害者用の図書(点訳図書や音訳図書)の国内最大の検索システム『ないーぶネット』の「簡易項目検索」を用いて、有吉佐和子さんの著作を「資料 種別:録音」に絞って検索した結果である。ここで注目していただきたいのは、枠で示した「デイジー」と書かれている部分である。

少し余談になるかもしれないが、視覚障害者の読書環境について説明しておこうと思う。私たちは、みなさんのように活字本を読むことができないの で、「点訳図書」と呼ばれる点字で訳した図書や、「音訳図書」と呼ばれるテープやCDに朗読してある図書を利用している。私は、以前もコラムに書いたとお り、点字があまり得意でないので、専ら音訳図書に頼っている。この音訳図書は、「テープ録音図書」と「デイジー録音図書」の2つに大別される。簡単に言う と、前者はアナログ、後者はデジタルである。

私は、大容量の録音ができること、読み上げ速度の調節ができること、しおりをはさむことができたり、ページや見出し(章など)を指定して読み始め ることができたりすることから、「デイジー録音図書」(デジタル録音図書)が大のお気に入りである。一冊の小説を読み終えるまでに、カセットテープを A→B、A→B、A→B……と何回も繰り返し、まったり、のんびり読まれてはかなわんというのが、正直な気もちであった。それらを、一気に解決してくれる のがデイジー録音図書である。

図書検索システム『ナイーブネット』で、図書を検索する一番の目的は、私の読みたい本が音訳(点訳)されているだろうかということである。しか し、このように、視覚障害者それぞれの好みに合ったものを利用することができるようになってきているので、たとえば、私の場合は、「点訳ではなく、音訳図 書で、できれば、デイジー編集のものを……。」と探すわけである。

本題の有吉佐和子さんの検索結果に戻ると、私の条件(デイジー編集であること)に合った書籍は、No.2の「青い壷」なのだが、私は例の長きに渡 り、No.1の「青い壷」だと思っていたのである。今回は、情報を誤ってとらえていても、同じ「青い壷」なので、結果として問題はないのだが、そうでない 場合はいくらもあって、「デイジーがあると思うので、できればデイジーでお願いします。
なければテープでいいです。」と、99%デイジー録音図書がやってくることに自信をもって点字図書館に電話注文したのに、(これらはすべて貸し出し方式で 利用します。)どうしてか、大量のテープが届いた経験は少なくない。

おかしいな、おかしいなと思いながらも、徹底的な原因究明をせずに3年半……。
このたび私は気づきました。

本来の構造と、筆者の解釈の違いを示した図

情報の始まりが、リンクのはられた「書籍タイトル」からではなくて、「No.」からであるということを。頻繁に利用するYahooやGoogle といった検索エンジンは、検索結果ひとつひとつの情報の始まりが、ページタイトルにリンクがはられたところであるからして、『ないーぶネット』の検索結果 も何の抵抗もなく、リンクのはられた書籍タイトルを基準に情報をとらえていたのである。そりゃ、大量のテープが届くわけだとため息である。

冒頭で述べたように、マヌケな私が悪いので、何をどうしてほしいということはないのだが、盲人の情報処理の一例として紹介してみた。

そして、もっと落胆の後日談を……。

『ないーぶネット』は、メンバー登録をすると、「全項目検索」というものができるようになり、デイジー編集の書籍のみを検索することが簡単にでき た。そして、借りたい書籍にチェックして、「オンラインリクエスト」ボタンをポチッとおすと、登録点字図書館(私の場合は静岡県点字図書館)にメールが届 いて、あとは、郵便屋さんを待つだけというすばらしいシステムを兼ね備えていた。

しかし、メンバーになることの利点については、「ビジターページ」の本文に記述されているのみだし、それが理解できても、メンバー登録をするため には、トップページの別のリンクボタン(リンクラベルからはそれと判断しにくい)から進まねばならず、あまりメンバーになってほしくないのかなと思わせる サイトのつくりとなっている。

さらに、どんなにがんばっても、オンラインリクエストをした場合の図書の流れがわからず、オンラインリクエスト完了後も、なんとも心許ない様子な ので、結局、ないーぶネット事務局に、オンラインリクエストの流れについてを問い合わせ、静岡県点字図書館にも、「私のオンラインリクエスト届きましたで しょうか?」などと、実にアナログな行動をとってしまった。

それでも、手元にオンラインリクエストした図書が届いたときには、デイジー片手に“初オンラインリクエスト成功の舞”を踊らせていただき、次回 は、1口5,000円の寄付金を振り込むことを堅く決意したのである。

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