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アクセシビリティコラム

第125回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2017 を終えて(後編)

(よろしければ、前編もお読みください)

後編は、個別の調査結果にも触れながら、今回の調査で気になった箇所について述べていきます。

「alt=””」にしておけば問題ないか

alt属性は、画像などの代替情報を文字として記すものです。そのため、ウェブコンテンツ上で全く意味を持っていない画像に対しては、代替すべき情報が存在しないので、alt属性値は空(alt=””)としてもいいでしょう。ただ、「意味を持っていない」をどう捉えるかは、人によって異なるのだと感じます。

画像に、文字、数字、図表、物体の姿・形などが描かれていれば、誰もが意味があると解釈すると思います。ですが、画像に記されている文字などは周辺にテキストで示されている場合、つまり、代替情報を文字として記さずとも、すでにほぼ等価なテキストが存在している場合はどうでしょうか。この評価は非常に難しいと思いますし、誰もが納得できる正解がないようにも思います。これは、「そこに画像があること自体が意味を持っている」、あるいは「文字が書かれているのに、画像も置こうとしたことに意図がある」可能性が高いと考えるからです。

このあたりの話は、WEB+DB PRESS(技術評論社) Vol.95「実践 実装例でわかるアクセシビリティ」の記事にあった「地図画像のalt属性は空にする」に端を発した議論(地図の代替テキストを考える(togetter))がたいへん興味深いです。様々な立場や状況から考えが語られていますが、今回、調査をしていて感じたのは、「私には判断がつかない」ということでした。

横浜市の調査結果では、

安易に、「alt=””」を用いているように感じます。こう記述することで少なくとも、文法上の誤りはないことになりますが、同時に装飾以外の意味を持たないことを表明しているとも言えます。市長の写真が、議会の写真が、ビデオのサムネイルが、それぞれ意味があるから置いているのではないでしょうか。ひとくちに「適切な代替テキスト」と言っても、完全な正解がないケースもあると思いますが、画像があることの意味を代替テキストに込めてほしいと感じます。

とコメントを記しました。調査・評価と言いながら、推量とお願いを記しています。自身でもどうかとは思いますが、なぜそこに画像を置いたのかは、置いた人でないとわからないですし、第三者がその良し悪しを判定するのが適当ではないケースもあるように思います。「alt=””」としておくことで、(HTML5 ではそれすらなくてもいい場合がありますが)、文法上、あるいは、miChecker等のツール上は問題がないことになります。ですが、安易に「alt=””」を記し、「なかったことにする」のは、そこに込めた意図や思いもなかったことにしてしまうように感じます。

横浜市のサイトについて、どの画像を「alt=””」とすべきでないかは言及しないことにします。ですが、空のaltでいいのか、とても考えさせられたコンテンツとして印象に残りました。

altで機能を説明すべきか

もう一つ、alt属性に関して。

山形県では「○○○へのリンク」、川崎市では「○○○の画像リンク」、名古屋市では「○○○の画像です。クリックすると×××ページに移ります。」などの表現が確認できました。これらは、画像が表現している情報を正確に提供してはいると思いますので、これを以って、JIS X 8341-3:2016の達成基準を満たさないということにはならないでしょう。ですが、リンクであること、さらにはハイパーリンクがもたらす結果を、alt属性に反映する必要があるのかが気になりました。いずれのサイトもグローバルナビゲーションなど、一部分にのみ、この表現が用いられています。もし、これを是とするのであれば、なぜすべての画像にリンクの有無を反映しないのでしょうか、さらに言うと、なぜテキストリンクはこのような表現にしないのでしょうか。

想像の域を出ませんが、理由の一つとして、音声読み上げソフトが声や抑揚に違いで構造や機能を表現していることを知らないということが考えられます。視覚的には「ボタンっぽい見た目」によって、リンク箇所を識別することが多いと思いますが、音声ブラウザでは、読み上げられる対象文字列の中に、リンクであることを明記しておかないと、音声ブラウザ利用者がそのことを知る術がないと思っているのではないかと考えます。そのために「リンク」であることや、「リンク画像」であることを記しているのではないでしょうか。

だとすると、音声ブラウザ利用者は、テキストリンクにも気づかないおそれがあります。テキストリンクにも「へのリンク」を付加しないと配慮として不十分となりますが、テキストリンクに「へのリンク」を付加しているのはほとんど見かけません。その理由は、見た目に影響するからだと思います。見た目に影響しない範囲では、あえて言いますが「配慮っぽいこと」をするのは厭わない傾向があるように思います。場合によっては、それが「配慮している感じ」を演出しているかも知れません。ページ上の意味的なブロックの境目や、パンくずリストの中に、視覚的には確認できない情報を補うことも含め、様々な「配慮っぽいこと」の存在が確認できました。もちろん、過去の特定の音声読み上げ環境において、構造や機能を示してくれなかったとか、その当時の利用者の「慣れ」を尊重しているとか、そういったケースがあることは想像できます。また、実際の利用者の声を聞いた結果、現状のウェブコンテンツ技術仕様では最善と考えられる方法を採用していると、自信を持っているケースもあると思います。

コンテンツ、ブラウザや支援技術、利用者。本来、誰(どれ)が、満たすべき・備えるべき事項なのかは、その時々で変わると思いますが、特定の環境にしか提供されない情報がなくて済むのであれば、(特定の感覚に基づく体験が、効果的にコンテンツを伝える手段であるという場合を除いては)その方が好ましいと考えます。

ランキングではないのですが言っておきたい

和歌山県の調査結果コメントに、

このページは、昨年の調査以降にリニューアルされていますが、言及した以外にも様々な問題を有していて、品質は大幅に低下していると言わざるを得ません。

と記しました。

この調査は、加点や減点といった概念はなく、1位とか47位とかといった順位もつけていません。その上で……昨年から今年で、最もアクセシビリティ品質が低下した都道府県サイトは、和歌山県ホームページ Wakayama Prefecture Web Site と申し上げておきたいと思います。

(文責:代表取締役 清家順)

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