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アクセシビリティコラム

第115回 シネマ・デイジー

これまでに私の読書環境についてはこのコラムで何度か述べてきた。このたびは、新しく登場したシネマ・デイジーというものについてお話しようと思う。

私たち視覚障害者の映画鑑賞方法として、映画の上映に合わせてFMを利用して音声解説(テレビでおなじみの副音声です。)を入れるというものがある。残念ながら、今のところ、私の身近なところに音声解説つきの映画を体験する環境や機会がなく、私は一度もそれを鑑賞したことはない。時々、上映のお知らせを耳にするが、いずれも都心での開催のようだ。したがって、その普及の具合もわからない。

そのような中、著作権法第37条第3項の規定により、映画音声に副音声をのせた音声内容(映像がない音声だけの映画。)が、音訳図書と同じ扱いで提供され始めた。提供されるようになってからしばらくたつのだが、いずれのタイトルも貸し出し方式での提供だった。そのため、予約数がかなりの数にのぼりとてもお願いする気になれずぼんやりしていたところ、このたび、新着図書に混ざってインターネットでの配信がされるようになったのを発見!まるでサンタがやって来たかのようなタイミングで、大喜びの年末を過ごした。

この年末年始の休暇を利用して鑑賞してみたのは以下の3作品。

『八日目の蝉』『蝉しぐれ』『阪急電車』だ。まだ邦画のみ10作品程度しか配信されていないので選びようはないのだけれど、無音の映画を思えば大満足である。どの作品も十分に内容が伝わるもので、久しぶりに眠くならずに映画を見たなという感じだ。

今まで、よく言われている大根役者というのがどういうものかいまいちわからずにいたけれど、今回映画をじっくり聴いてみて、演技というのがうまい人はうまいのだなあと強く感じた。そうでない人が大根なのだなとよくわかった。という妙な感想を持ったのだが、そういう意味で音っていろんなことを教えてくれるものだと改めて思う。

当然、スクリーンを見ることができればそれにこしたことはないわけだが、これくらいの副音声があれば、中途失明の私には十分映画鑑賞を楽しむことができる。(洋画や、特にアクション系のものはどうなるのだろうという期待や心配はあるにしても。)そして、音の情報というのは不足がちでありながらよく伝わる要素なんかも持っているという印象。見える分見逃しちゃうというのはおかしいようだけれど、そういうこともあるのではないかと映画鑑賞から学んだ正月でした。

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