「みんな」が使えるWebサイトへ

アクセシビリティコラム

第108回 怠け心と秋の空

以前、何回かに分けて説明申し上げた私の読書環境。(第90回 読書環境第94回 読書環境その2 ~音訳データの利点~第95回 読書環境その3 ~ダウンロードの実践~第96回 読書環境その4 ~著作権法第37条第3項~

キンドルの発売に負けずに視覚障害者の読書マシンの話を続けたいと思う。

このたび私はデータのバックアップというものに成功した。サピエというサイトを通じてダウンロードするのが主流になりつつある読書だが、ときどき、読みたい本が貸し出しだけの扱いになっているものがある。そうなるとお借りすることになるわけだが、私の信条として「借りた本は必ず読む」というのがある。たくさんの人のたくさんの時間を使い、私たちのためを思って音訳してくださったものだから、私は「必ず読む」ということでそのご苦労に敬意を表したいと思っている。
ところがである。貸し出し期間以内に読めないことがある。みなさんが図書館を利用するときと同じで、後に予約者がいない場合は延長することも可能なのだが、それでも読めないことがある。

このようなとき、このデータをバックアップできたらなあと思っていた。それができることも知っていた。でもそのやり方がわからずにいた。取り扱いCDをなくしてしまっていたり、そこまでの必要を感じていなかったり、何よりもマシンを前に新たな使い方を習得すべく行動するのが億劫で仕方なかった。しかし、いつものことながらその必要に迫られてやっと取りかかってみた。私愛用のプレクストークのメニューボタンを押して、バックアップを選択し、決定ボタンを押して待つこと数分。えっ、これだけ?とこれまでの億劫さが何だったのかと思うほどあっけなくできた。

今回、私は便利な読書環境を紹介したいわけではない。見える見えないは別にして、我々人間というのは億劫になりがちだろうということ。また、私が自分を分析すると、相当な必要に迫られないとこうして実行に踏み切れないようだということ。同じように、見えない人にも共通する感情があるとしたら、コンピュータや何かの機械を使ってみることというのは結構エネルギーを必要とすることかもしれない。情報や製品の環境は整っているけれど、当の本人の気持ちが、億劫さを吹き飛ばせずにいたり、必要に迫られていなかったりして、必要な情報や出会えるとうれしい情報にたどり着けていないのではないか。背伸びをすれば届くのに、近くて遠い、簡単で難しいという非常にもったいない状況が私たちの周りにたくさんあるのではないか。さあ、秋本番!怠け心を吹き飛ばし、ちょっぴり背伸びをしてみませんか。

関連するコラムを探す

タグ: , ,