「みんな」が使えるWebサイトへ

アクセシビリティコラム

第107回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2012を終えて

自治体サイトWebアクセシビリティ調査2012を発表いたしました。今回は10回目の記念として、初回の2003年調査時のそれぞれの自治体サイトのキャプチャーを並べてみました。比べてみていかがでしょう。私も見てみたいものです。

さて、今回の調査についてです。近年言い続けていますが、どの自治体サイトも読めるし、わかります。逆に言えば、読めなくしようがないわけです。どの自治体もサイト制作や運用に、CMSというWebサイトをうまく構築できる仕組みを利用しているからです。

CMSの利用についてのよいところは、誰がつくっても(情報を入力しても)同じような体裁でサイト上に情報を表現することができることです。つまり、箱がきちんとつくられているので、何を入れてもとりあえず箱におさまります。自治体が採用しているCMSのほとんどは、箱におさめた内容をチェックし、たとえば、私のような音声ブラウザ利用者にわかりにくい表現があれば教えてくれるので、冒頭でお伝えしたとおり読めますよ、わかりますよという状態を保つことに何も苦労はないのです。便利ですね。

一方、CMSの利用についてよくないと感じ始めたことは、情報の入力者が上記のような理由から機械仕掛けになってしまっているのではないかということです。私が調査を始めたころは、アクセシビリティの「ア」の字も知らない人々がサイトを制作していました。年を追うごとに、そうかあ、自治体のサイトというのは、見えない人も手足の不自由な人も子どももお年よりも見るのかあと閲覧者の属性というものに気づいてくださるようになりました。こうしたらわかりやすいのではないか、ああしてみてはどうかと試行錯誤の日が続きました。このあたりが、私の出番がたくさんあって楽しかったです。見えなくなって使い物にならなくなってしまった自分を、価値ある存在として認められた束の間の時期だったと思います。

そして、CMS時代が到来しました。「ほれ、お前さんにも聞こえるだろ。」と大きな顔のサイトに語りかけられているようです。小さな私は、「あっ、どうも、ありがとうございます。」と申し訳ない感じでキーボードを操っているのです。私は、初回の調査時、このような気分でサイト閲覧する未来を思い描いていただろうかと少し疑問に思う10回目の夏なのでした。

関連するコラムを探す

タグ: , ,