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アクセシビリティコラム

第101回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2011を終えて(上)

やってまいりました防災の日、自治体サイトWebアクセシビリティ調査の発表日。

「やってまいりました!」というほどではないという自覚は一応ある。アクセシビリティという観点では、今年度調査サイトである都道府県、政令市の公式サイトにおいては、ほんの一部を除き十分であると言ってよいと思う。調査を開始した2003年当時は、音声ブラウザではまったく情報が得られないサイトがあったというのが信じられないほどよくなっている。多くの自治体で、トップページの最後の方に『アクセシビリティについて』というコンテンツを設け、ガイドラインを公表している現在を大変幸せに思う。ガイドラインに沿っている、沿っていないはもちろんあるわけだが、ガイドラインを表明する心意気とか意識とかいうものを高く評価したい。

さて、本日は冒頭でも述べたとおり、防災の日でもある。今年度、アクセシビリティとは直接の関係はないにせよ避けて通れないこの話題。東日本大震災関連のコンテンツ。都道府県サイトを横並びで調査することにより、震災に対する温度差やら取り組みの違いやらは自然と見えてくる。被災した県と、そうでない都道府県とでは、当然違いは出てくるし、また、被災した県の情報発信環境がどういう状況かはわからないので、東日本大震災を受けての情報を、今どのように表現するのが好ましいとか好ましくないとかいうことには触れることができない。しかし、被災した県の一つである宮城県のサイトを見ていて心打たれたので、ここに紹介したい。

現在の自治体サイトは、アクセシビリティの観点では配慮が行き届きつつある。そこで、次に自治体の立場から何を売りにするかというと、それはそのまちのアピールができているかということになると思う。魅力をどう発信していくかということ。ここまでできている自治体というのは少ない。調査もそこは評価の観点ではないが、アクセシビリティの次は魅力の発信だろうと思うのであえて取り上げる。

さて、宮城県の公式サイトについてだが、震災を受けてのコンテンツはもちろん魅力の発信ではない。でも、震災を受けた宮城の今を伝える媒体として、公式サイトはもってこいだし、それをうまく利用できていると思うので紹介する。宮城県のよいところは、震災を受けた今、厳密に言うと震災から半年経った今、被災した県民はどうしたらよいか、被災した宮城を応援したい県外の人々にどうしてほしいかがしっかりと記されていること。しかも、トップページにわかりやすく。

たとえば、

○地震や津波により散乱,流出した毒物及び劇物について
地震や津波により被害を受けた化学物質の製造工場から,毒物や劇物の入れ物が各地で散乱,流出している恐れがあります。もし「毒物」や「劇物」の表示がある入れ物(ポリタンク,ドラム缶,ビニール袋等)を見かけましたら,できるだけ近づかず,触らないようにお願いいたします。詳しくはこちらをご覧ください。

と、現地のみなさんへ向けたメッセージがある。そして、

○救援物資・寄附金等について
被災地への支援物資につきましては,当面の必要数が確保されるとともに,県の保管倉庫もほぼ満庫状態となっていることから,4月11日より支援物資の新規の受入れを一時停止いたします。今後とも,寄附金,義援金及び受け入れ再開後の支援物資のご協力につきましても重ねてお願い申し上げます。

○災害ボランティアの申し出について
各被災地では,現在もボランティア活動を必要とする状況が続いておりますので,今後も引き続き皆様のご支援を賜りますようお願いします。

→長期的・継続的なボランティア活動のお願い

と、応援したい人々向けのメッセージもある。

これらは、トップページの『震災関連・県からのお知らせ』という欄に記されていて、宮城県どうかな?と宮城県の公式サイトを訪れた人に、一番初めに見てもらうことができるようになっている。どんな立場の人が訪れても、たとえ、震災のことを気にせずに訪れたとしても、“今の私がどうしたらよいか”がよくわかり、自然と被災した県宮城に心を寄せられるメッセージになっていて感動した。

感情など無視して、できるだけ客観的に見ていく調査なのだけれど、公式サイトという媒体を、大変な震災の被害を受けながら冷静に的確に伝えようと試みている宮城県の姿勢を感じ、胸の奥がきゅうっとした。宮城県の復興を心から祈るところだ。また、ほかの被災された県で、どのような情報発信が好ましいかを悩んでいられるとしたら、宮城県を参考に公式サイトという媒体を利用してみることをお勧めする。希望と幸せに満ちた日本となるよう陰ながら応援しています。

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