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アクセシビリティコラム

第4回 ALT属性恐怖症

前3回のコラムを書き終えて、すでに息切れの私である。

そんなことで、アクセシビリティアナリストが勤まるのかと心配だが、勤まるのである。なぜな ら、誰もアクセシビリティをアナライズする人がいないからである。
「いやいや、私は、オレはやってるぞ。」という方はおられると思うが、その方の目は、きっと見えている。

私のパートナーはweb制作者で、私の失明前もweb制作者であったのだが、 私はパートナーの作品をほとんど見たことがなかった。興味がなかったのである。ところが、失明するとその作品が無性に見たくなった。ないものねだりであ る。真っ暗な部屋の中で、ぼんやりと明るい光(わずかな光覚がある)と、ささやかな温度を感じながら、ディスプレイを撫でて泣いた。

そんな涙目の私に朗報が届いた。スクリーンリーダーとか、音声ブラウザとかいうヤツがあるらしい。見えない人も音声でコンピュータを操作できるのだ という。メールもWebの閲覧もできると大はしゃぎの私は、「ねぇ、あんたの作品を見せてよ。」とパートナーに懇願した。「あいよ。」と開いてくれたはい いものの、さっぱり意味がわからなかった。

「こんな高い買い物をして損をした。」と、音声化ソフトを放り投げようとする私にパートナーが言うのである。「そのソフトが悪いんじゃなくて、俺が悪いん だよ。」と。唖然とした。私には、何の役にも立たないものをパートナーは作っていたのである。そんな作品のおかげで、私はマンマを食っているのだと思う と、ますます情けなくなってきた。

その原因は何か?それが、“ALT属性”であった。

トップページのリンク画像に、ALT属性がついていないがために、私は次の階層に進むことができなかったのである。失明して初めてインターネットに触れた あの日以来、私は“ALT属性恐怖症”である。トップページにALT属性がないなと思うと、私の手は止まる。こうして、目の前に広がる情報から締め出され てしまう人がいるのである。アクセシビリティの改善は、ALT属性をつけることだけではないが、失明後のインターネット経験の中で、一番不満を感じている 部分であることは間違いない。

「ALT、ALT」と、うるさいヤツと思われるだろうが、このような体験談を知って、もう一度、コラムの第1?第3回を読み返していただけると幸い である。稚拙な文章であることは自覚しているが、見えない目にしか見えないものを、何とか表現していきたいと思っている。

そして、「『みんな』が使えるwebサイト」の実現と浸透を願っている。

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