第17回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2004を終えて(3)

ユニバーサルワークスのサービス内容には、

ユニバーサルワークスでは、視覚障害者が専属スタッフとして業務にあたります。見えない人にしか見えない問題点を明らかにし、より確かな成果とします。

とあるが、「見える人にしか見えないもの」もどうしても存在してしまうわけで、今回のコラムは、「見える」ユニバーサルワークス社長に登場を願った。今年の調査を終えてのちょっとしたこぼれ話をお届けしたい。

宮城県、島根県、福井県、大阪府、鹿児島県の共通点

宮城県、島根県、福井県、大阪府、鹿児島県。
これら府県Webサイトの共通点とは何でしょうか?

A.(table要素を使用せずに)CSSでレイアウトされている
B.文書構造が(hn要素やli要素等を用いて)的確に記述されている
C.その他

「その他」などという選択肢がある時点で、設問自体に無理があることは明白なのだが、予想通り(?)Cが正解である。「その他」などと勿体ぶっても仕方がないので、具体的に申し上げると、Webサイトトップページのtitle要素に「Prefectural Government」が用いられている点が共通している。AやBは香川県や山梨県が抜けていることや大阪府が含まれていることから、不正解とはなるが 「Prefectural Government」というtitle要素を使用している自治体が、AやBに該当する確率が高いということは注目すべき事実であろう。(ちなみに香川県 は、title要素ではないものの、ロゴ内に「Prefectural Government」の表記を見ることができる。)

チャートが伸び悩んでいる自治体のみなさん、「Prefectural Government」と名づけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

市町村合併とWebサイト

昨年調査時74だった静岡県内の市町村数は、今年4月1日の2新市の誕生で69となり、さらに、自治体サイトWebアクセシビリティ調査 2005が行われるであろう時期には、45前後にまで減少する。そんな中、住民の意向・財政状況・施政方針の違いなどを理由に、大詰めの合併協議から「離脱」という選択をした自治体も存在する。

「大井川町」「松崎町」「森町」などがそうである。

この3町の今回の調査結果(大井川町松崎町森町)を見ると、比較的大きなレーダーチャートが形成されていることに気がつく。合併協議離脱には様々な思惑があると思うが、Webサイト一つとっ ても、その自治体の「意志」を感じずにはいられない。

逆に「合併待ち」の市町村にとっては、今さらWebサイトに手をつけるのは面倒くさいのかもしれないし、「そんなこと」には手が回らないの かもしれないが、Webサイトにおける情報提供も、住民サービスの重要な要素であるという認識をもっていただいて、合併後の新しいWebサイトでは、多く の自治体で、大きなレーダーチャートが形成され、より多くの住民が容易にアクセスできるWebサイトが構築されることを願っている。

テキストスクロールを見たければ、警察サイトへ

今回の調査では、調査の概要にあるとおり、 議会、教育委員会、警察など独立性の高い組織・部署も調査対象となっている。サイト全体を通じて統一感のあるつくりになっていたとしても、上記までそれが 及ぶことはなく、独自のWebサイトづくりがされているため、調査結果に影響を及ぼす場合が多い。そんな中、一つの特徴を見出した。

「テキストスクロールを見たければ、警察サイトへ」

ある時はステータスバーに、ある時はテキストフィールド(input type=”text”)に、ある時はmarquee要素でという具合に、以下19府県の警察サイトで画面上の文字が移動している。

北海道警青森県警宮城県警秋田県警茨城県警栃木県警山梨県警長野県警富山県警大阪府警京都府警滋賀県警和歌山県警広島県警山口県警愛媛県警大分県警宮崎県警鹿児島県警

これは47都道府県の4割に当たり、ほかの組織を横並びで比較してもそうそうお目にかかれる数字ではないだろう。JIS(JIS X 8341-3)にも速度、色彩・輝度の変化などに注意して作成するよう記載があるが、そもそも移動させる文言に特に意味がないものも多く、 「驚かしてやろうと思った。」なんて犯人の供述のようなことはやめてほしいものである。

以上。

だから何だ。と言われてしまいそうなことばかりだが、次回からはまともなコラムに戻ると思われるので、今回は「こぼれ話」ということでご勘弁いただきたい。(今回のみ執筆:代表取締役 清家 順)

第16回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2004を終えて(2)

昨年に引き続き、2回目の横並び調査である。当然、サイトをリニューアルした自治体があった。(ごく一部を除いて)リニューアル後の方が前よりも改 善されていた。

「おおっ、前と違うな。うんうん、いいんじゃあないの。」
などとつぶやきながら聞いているのだが、トップページを最後まで聞き終えると、
「えっ、ここで終わり?」とか、「あれっ、何の話だったかしら?」とか、
結局、全容把握ができないサイトにいくつか出会った。

このようなことはあってほしくないのでよいのだが、不思議なことに、都道府県や政令市のサイトにはこのような現象は見受けられなかった。都 道府県や政令市と同時に調査を行った静岡県内の市町村のサイトに頻発するのである。これが昨年よりも多い。つまり、リニューアルしてさらに?となってし まっているわけである。

音声ブラウザの利用による経験上、表(table要素)で表現されている内容が、制作者の意図しない順番に読み上げられてしまうことがある ことはわかっていたので、そのような現象が起きているのではないかと想像してみたり、読み上げられる内容を、私の頭の中のスクリーンにいろいろ並べ替えて みたりするのだが、どう考えても、制作者の意図するように読み上げられているとは思えない。

いったい何が起こっているのだろう?

これが、意図する順番で読み上げられているとしたら、制作者のおつむはかなり弱いだろうというところまできて、ギブアップである。

どうやら、これはホームページビルダー(IBM)の仕業らしい。ホームページビルダーの「どこでも配置モード」なるものを使用したサイト を、ホームページリーダー(IBM)で読み上げると、“あちこち読み上げモード”になってしまうようなのである。もちろん、ホームページビルダーのユー ザーズガイドの注意事項には、

どこでも配置モードの場合、読み上げられる順序はWebブラウザの表示とは無関係です。(ホームページビルダー Version.8 ユーザーズガイド302ページ「付録B 誰もが利用しやすいホームページを作る工夫」 )

とあるけれど、「どこでも配置モード」は基本機能のひとつにあげられていて、ユーザーズガイドの小さな注意事項よりも、ホームページビル ダーを使って制作する人の目に入りやすいことは明らかである。ホームページリーダー愛用者なので大変言いにくいのだが、(愛用者だからこそ言うべきかもし れないが)IBMさんには自社商品のマインドの統一を願うところである。

原因がわかって、私の脳裏には、ちまちまと自治体サイトを制作している市町村の担当者の姿がちらついて離れなくなってしまった。
「予算もない、スキルもない、だけどがんばっている“ほ?むぺ?じ”担当者の私です?。」
と、そのサイトが担当者に化けて語りかけてくるようである。
「その予算を取るのが仕事でしょう、予算が取れないならスキルを磨くのが仕事でしょう、格安業者に仕事を任せたのはあなたでしょう?。」と、必死な思いで 呪いを振り払い、「文句を言うのが私の仕事です!ごめんなさい!!」と、強気なコメントを書き続けた。

何とかならないものだろうか。サイトを利用する人のユニバーサルデザインのために、サイトを制作する人がバリアだらけというのはよろしくな い。このままの状態が続けば、ユニバーサルワークスの調査そのものがバリアになってしまう危険性だってあるわけだ。

「普通につくれば、みんなが使える。」
そんな日はまだ遠いのかなあ。

第15回 自治体サイトWebアクセシビリティ調査2004を終えて(1)

へとへとである。

8月の1か月間をかけて、約130の自治体サイトの横並び調査を終えた。現在へとへとであるが、調査中にへとへとになってしまうわけにはい かず、その点が一番苦労したところである。横並び調査といっても、同時にすべてのサイトの調査を行えるはずはなく。1か月という期間を要したわけだが、た とえば、最初に調査したサイトと最後に調査したサイトにおいて、調査員の調査の目(耳)に違いがあってはならない。

ユニバーサルワークスの調査のよいところは、診断ツールを使用するのではなく、ひとつひとつをこの手と目と耳で確認していく、はっきり言っ てしまえば、ばかばかしい作業の積み重ねである点だと自負している。したがって、調査員の心身が、調査期間中、常に健康で同じように平静であることは、大 変重要な条件と言える。

50のチェックリストは、できるだけ客観的に評価できるようにつくったもので、各自治体のレーダーチャートにその評価が反映されている。そ れぞれの自治体サイトの傾向の確認や、他の自治体サイトとの相対的な評価にご利用いただけると思う。

コメントについては、それぞれの自治体サイトの絶対的な評価ととらえていただきたい。レーダーチャートには反映されないが、がんばっている 姿勢だとか、「ここをこのようにすれば、グッとポイントアップですよ。」などという点について、具体的に述べている。

ここで、調査員の平静な感情というものが活躍するわけである。サイトを調査していて、ホッと心が和んだとき、また、ムッと腹が立ったとき、 それは、どこがどうしてだからなのかを言葉にしたいのである。平らな感情が波打つとき、そこには何か理由があるわけで、そこを言葉にできれば、一歩改善が 進むだろうと信じてコメントしている。ここに文句?を書くことがなくなったとき、今後も恒例となるだろうユニバーサルワークスの『自治体サイトWebアク セシビリティ調査』は終わるのだと思う。

今年の調査で、平らな心が一番波打ったサイトを紹介しておこう。
残念ながらマイナスの波である。

「“Webアクセシビリティ”なんて言われてもわからないよ。」という自治体があっても(担当者がいても)仕方がないかなと少しは思う。だ から、「お宅のサイト、ここがこんなふうによくて、ここはこんなふうに悪いんです。」ということが、いくらか?商売になっているわけである。だけど、「そ りゃないでしょ。」と言いたくなるサイト。昨年も忠告しているのに、改善の気配まるでなし。平らな感情が波打つというか、かなりモチベーションが下がっ た。

勝手に行っている調査であるので、怒りをぶつけるのは筋違いと思うが、このまちに住む音声ブラウザ利用者や、このまちの情報が必要な音声ブ ラウザ利用者はこれでいいのだろうか?というわけで、私が矢面に立とう!