第13回 スキップのテクニック

「テクニック」と言えばなかなかよい響きではあるが、ちょっとした「からくり」でもある。ここで言う「スキップ」とは、以下に引用するJISの項目 のことである。

共通に使われるナビゲーションなどのためのハイパリンク及びメニューは,読み飛ばせるようにすることが望ましい。
(JIS X 8341-3:2004 5..開発及び制作に関する個別要件 5.3 操作及び入力 h)項)

これを現状のサイトに反映させると「からくり」じみてしまうのは、メニューなどを読み飛ばすためのリンクボタンが透明の画像であることが多 いからである。ユニバーサルワークスのサイトも、なるべくJISの項目に沿わせようと、今回のリニューアルでそのようにしてみた。

JISでは、「透明な画像に埋め込んでおけ!」とは言っていないわけで、なにも透明な画像にせず、誰の目にも見えるようにしておけば、いく らか「からくり」っぽさをぬぐえるだろうとは思うのだが、そのようにしてしまうと、今度は見える人にその意味が伝わりにくいだろうという配慮から、今のと ころ透明(からくりのまま)である。

この、テキストで見せるか透明にするかの議論中、見えない私に「こんなサイトがあったよ。」という見える人の声が。
そのサイトでは、工夫してスキップボタンを見せていた。どのような工夫かと言うと(推測なのだが)、スキップボタンのテキストと背景の明度差を少なくして 見える人の目に主張しすぎないようにし、 「本文へ」と、文字数にしてわずか3文字という短さで表現している。「うまいっ!」とは思ったのだが、残念ながら私には快適に使えなかった。

音声ブラウザを最速で操る私が悪いと言えば悪いが、ここにそのボタンがあるとわかっていても、ポンッと飛べないのである。矢印キーやTab キーで追えば当然追えるが、スキップボタンの利用者の多くは、そのサイトのリピーターなのである。ポンッ、ポンッと飛び跳ねたいわけである。ゲームのよう に取り組んでみたが、「本文へ」の「へ」の直後でしかエンターキーを押すことができない。間に合わないのである。贅沢なお願いで申し訳ないが、もう少し長 いテキストにしていただけるとありがたい。

では、どこにどんな言葉でスキップボタンを設定してほしいかというお話である。
これもユニバーサルワークスではひと悶着。

私:ページの一番上(読み上げの最初)に置くのはやめてね。
制作:どうして?
私:ページに入ってすぐエンターキーを押せというのは酷ではないか!やってみな。
制作:なるほど。
私:いちいちシフト+Tabで戻らないといけないわけよ、もううんざり。タイトルタグの直後は聴き逃しやすいし、そうそう、音声ブラウザのデフォルトでは タイトルタグはそのページに入ったとき1回しか読み上げないから、ページの一番上にはもう1回ページ見出しを書いておいてもらえるとうれしいね。
このページは何のページだったかしら?って、よくページ見出しを読み直したくなるときがあるけれど、ページの最上部に戻ってもグローバルナビゲーションが 立ちはだかるばかりで、本文の頭出しは難しいし、スキップすればするほど迷子だし・・・。(ページ内リンクと同じことです。『ページ内リンクで迷子』を参照ください。)
そうすれば、スキップの準備もできるし、一石二鳥、どうだ!!
制作:それはむり、レイアウト上無理!!!

というわけで、スキップボタンの位置についてどのように折り合ったかは以下のとおり

  • ページの最上部にページ見出しは置かない。
  • 社名のロゴを読み上げた後にスキップボタンを置く。(いくらかリズミカルで、エンターキーを押す心の準備ができるでしょう。)
  • メインメニュー、ローカルメニューともにスキップさせ、そのページのタイトルから始まる本文の頭出しとする。

次は、どのような言葉で?ということについて。
これは私の経験上だが、「本文へジャンプ」という言葉でメニューを読み飛ばし、本文の頭出しをするのがいちばんしっくりくる。数少ない中でも「本文へジャ ンプ」の使用率が高い印象で、「本文へ」や「本文へ移動」など、短すぎたり耳なじみでないものは、その存在自体を把握できないことが多い。コラム中で「ス キップ」という言葉を意識的に使用したのは、JISの表現に沿わせたためである。あとは、もうイメージと無責任なようだがやはり好みでいくしかない。私の 好みは「?へジャンプ」で到達箇所を示し、必要ならば、「?をスキップ」で省略箇所を示すことにするかなあ。いずれにしても、『とんちんかんなスキップ』のようなことはやめて ほしいことだけは確実である。